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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ハードエイト」(1996、劇場未公開):ポール・トーマス・アンダーソン監督の長編デビュー作。

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ハードエイト」(1996、劇場未公開)を見た。「ブギーナイツ」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ザ・マスター」「ファントム・スレッド」などで知られるポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督の長編デビュー作。

タイトルはもとは、登場人物名の「シドニー」だったが、制作サイドが、カジノのサイコロゲームの「4のゾロ目」を意味する「ハードエイト」に変更した。

アンダーソンの助監督時代の短編「Cigarettes & Coffee」をベースにギャンブルの要素を加えて製作された作品で「友情」「裏切り」「贖罪」をテーマにしている。

出演はクヴィネス・パルトロウ、サミュエル・L・ジャクソンフィリップ・ベイカー・ホールフィリップ・シーモア・ホフマンジョン・C・ライリーなど現在も活躍中(ホフマンは死去)の俳優が若い。 

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あるダイナーの店の入口の外にうずくまって座っている男・ジョン(ジョン・C・ライリー)に初老の紳士然とした男が声をかける。初老男・シドニーフィリップ・ベイカー・ホール)は、ジョンが母親の葬儀代6,000ドルを稼ぐためにベガスに乗り込むが一文なしになったことを知る。

シドニーは、ジョンにコーヒーを奢るとともに、ラスベガスでのいきさつを聞く。「ブラックジャックで負けた」ということが分かると「読み方を知らないならやめておけ」とアドバイス

 「もし50ドルを貸すと言ったら何に使うか」とシドニーが聞くと「食べ物に使う」と答えるジョン。50ドルを貸すから自分と一緒にラスベガスに来るか聞く。ジョンにしてみれば、見ず知らずのおっさんというよりじいさんが親切にするのにはなにか訳があるに違いないと思い、変な趣味があるのか口に出して言うと、きっぱりと否定される。

こうして、ラスベガスに向かうジョンとシドニーだったが・・・。

 

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初老のシドニーを演じるフィリップ・ベイカー・ホールは、何のためにジョンを助けるのか、目的は何なのかが終盤に明らかになるというところは見所。にじみ出る表情、風貌、身のこなしなどがアメリカ版”ジャン・ギャバン”に見えたが、最後に、ギャバンそのもののシーンがあった!

 

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シドニーはかつて賭博師として鳴らし、ジョンを2年間で一人前のギャンブラーに育てた。ジョンは、片思いのウエイトレス・クレメンタイン(クヴィネス・パルトロウ)とも結ばれ幸せな日々を送る。しかし、ジョンは、カジノの警備主任ジミー(サミュエル・L・ジャクソン)と関わりをもつようになり、ジョンは窮地に追い込まれていく。

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以下ネタバレ注意:

シドニーはかつて東海岸のカジノシティと言われるアトランティックシティである男を殺してしまったことがあり、その殺された男の息子がジョンだったのだ。ジミーはそのことを知っていて、ジョンへ口外しないという口止め料として10,000ドルをシドニーに要求してきたのだった。

ジミーは根っからのゴロツキで品が無い男。シドニーは、手持ちの6,000ドルをジミーに渡し、ジミーがその金を元手にサイコロゲームの「ハードエイト」に大金を投じて、宿に戻ってくるのを宿で待ち構える。アタッシュケースには数丁の拳銃があり、その一つを持ち、暗い部屋の椅子に座って、入口ドアに目を向けていたのだった。そこへジミーが女を連れて戻ってきた。

照明がつき、ジミーがシドニーの存在に気づいた瞬間に、シドニーの拳銃が火を噴いた。一発、そしてもう一発。

シドニーは、ジミーの内ポケットからドル札の入った厚い封筒を取り出すと、かつてジョンを発見したダイナーで、コーヒーを飲む。左のワイシャツの袖口に血痕がついているのに気づいたシドニーは、スーツの袖でそっと隠す。

宿に戻ったシドニーは、ジョンと結婚したばかりのウエイトレス・クレメンタインから渡されていた結婚式のビデオを見ていた。そこにカナダのナイアガラの滝に旅行に出ているジョンから、さまざま助けてもらったお礼の電話があり、シドニーは、ジョンを自分の息子のように思っていると伝えて電話を切った。

 

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ポール・トーマス・アンダーソン監督ののちの作品群と比べると、メリハリがない印象だが、ストーリーテリングの面白さの片鱗はあった。5作目の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007)はベルリン国際映画祭監督賞全米映画批評家協会賞監督賞などを受賞。石油王を演じたダニエル・デイ=ルイスはこの年の米国の主要映画賞を総なめにした。第80回アカデミー賞最多8部門にノミネートされた。

 

主な登場人物:

シドニー・ブラウン - フィリップ・ベイカー・ホール

ジョン・フィネガン - ジョン・C・ライリー

クレメンタイン - グウィネス・パルトロー

ジミー - サミュエル・L・ジャクソン

クラップスのプレイヤー - フィリップ・シーモア・ホフマン

ジミーの女 - メローラ・ウォルターズ