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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「銀座カンカン娘」(1949)を見る(Netflix)。音楽映画の傑作。

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銀座カンカン娘」(1949)を見る(Netflix)。音楽は服部良一、主題歌は主演の高峰秀子が歌っているが、劇中では、高峰秀子笠置シヅ子灰田勝彦も主題曲を歌っている。監督は俳優としても活躍し監督に転じた「風の又三郎」などの島耕二

落語家・新笑の家に居候する3人が、お金を稼ぐために銀座のバーを流しながら歌う。当時の銀座を舞台に貧しいながらも希望を捨てずに生きる若者たちを描く。東宝が誇る歌謡映画の傑作。

大家のおばさんから、迷い犬「ポチ」を捨てて来いといわれて、あちこちに置いて来ようとする高峰秀子だが、何度も何度もあとを追いかけてくるポチの運命やいかに…というのも面白い。

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落語家の新笑(古今亭志ん生 5代目)は、現在は引退し、妻のおだい(浦辺粂子)と子供たちと、ささやかな生活を送っていた。

その一家のもとへ居候として入ってきたのが、新笑が昔世話になった恩人の娘のお秋(高峰秀子)と、お秋の親友のお春(笠置シヅ子)だった。

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明朗快活な性格の2人だが、朝からを唄い、おだいは次第にイライラしていく。新笑の甥の武助(灰田勝彦)は、会社の合唱隊を組織して歌に精進。お春は声楽家、お秋は画家と3人とも芸術家になるべく意欲を燃やしている。

しかし現実は厳しい。文無しの娘たち。お秋は「絵具を買いたい」お春は「ピアノを買いたい」と思うがままならず10銭硬貨をビンに貯めている。10円、100円、1,000円、万円になればいいな、

そんな中、お秋が職を探しに出かけようとすると、おだいに飼っていたのポチを捨ててきてくれと頼まれる。「今の世の中、人間でも食べるのに事欠くというのに、かわいそうだけどね」というのだが。

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  「かわいそうだけどポチを捨ててきてね」

ポチを連れたお秋が捨て場をウロウロしていると、とある映画会社のロケ隊に出会う。しかもなんとその撮影にポチと一緒に出て欲しいという話になり、一日だけエキストラとしてカメラの前に立つことになった。

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   飼い主以外にはテコでも動かないポチ。

撮影は進行するが、女優の山田が池に放り込まれることとなる。というのも、山田がお秋をエキストラに使うことに承知しなかったからだった。そこで代役を立てることとなり、お秋は早速お春を呼び、代行させる。お姫様抱っこから、池に投げ捨てられるところだけの代役というわけだ。

2人は出演料として1000円という大金を手にした。しかもそのエキストラの撮影で知り合った白井哲夫(岸井明)の世話でバーで歌うこととなり、歌手の道を歩んでいくことになる。夜の銀座のバーやカフェで、流しとして歌うのだが…。

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オープニングでは、家主の甥が表から二階のお秋に向かってサンタルチアのメロディーで日本語の歌を歌い、お秋が詩で答えるシーンなどは「ロミオとジュリエット」を思わせるミュージカル仕立て。

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終戦後間もない時期の銀座を舞台にした音楽映画。終戦後の焼け野原の日本に元気を与えたのは「リンゴの唄」や「青い山脈」「銀座カンカン娘」といった映画。

笠置シヅ子といえばブギの女王として「東京ブギウギ」の歌が有名だが「銀座カンカン娘」でも、歌っている。題名の「カンカン娘とはナンですか」と高峰秀子笠置シヅ子が監督に聞いたところ「知らない」と答えたという。当時、まだ合法だったアメリカ兵相手の売春婦はパンパン(俗語でパン助)と呼ばれていたが、それに関連して、カンカンといったのかもしれない。

高峰秀子は、食事の時に、お椀にご飯を山盛り。味噌汁のお椀にご飯をそのまま入れて、かき込むように食べる。戦後の風俗、銀座の風景の一端を垣間見ることができる。

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1階の大家に気づかれないように外でかごで二階に釣り上げられるポチ。

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■主な出演者:

お秋:高峰秀子

お春:笠置シヅ子

武助:灰田勝彦

新笑:古今亭志ん生 (5代目)

おだい:浦辺粂子

白井哲夫:岸井明

ヒヨ子:服部早苗

映画監督:山室耕

助監督:松尾文人

女優・山田:三村秀子

男優・上原:中原謙三