「リグレッション」(原題:Regression、2015、日本公開2018年9月)を見る。スペイン、カナダの合作。監督は「アザーズ」のアレハンドロ・アメナーバル。主演はイーサン・ホークとエマ・ワトソン。1980年代以降にアメリカ各地で悪魔崇拝者たちによる儀式が執り行われたとして社会問題となった実話から着想を得たホラーサスペンス。
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1990年のミネソタ州。ブルース・ケナー刑事(イーサン・ホーク)は虐待事件の捜査に当たっていた。
加害者のジョン・グレイ(デヴィッド・デンシック)は17歳の娘・アンジェラ・グレイ(エマ・ワトソン)を虐待した容疑で告発され、本人も容疑を認めていたが、グレイには娘を虐待した記憶がないという奇怪な事件だった。
ケネス・レインズ教授(デヴィッド・シューリス)の協力を得て、捜査チームがグレイに回復記憶療法による治療を受けさせたところ、事件にジョージ・ネスビット刑事(アーロン・アシュモア)が関与している可能性が浮上。
捜査チームはネスビットを調べ上げたが、事件への関与を示す確たる証拠は出てこなかった。その後、捜査チームはアンジェラの証言から悪魔崇拝カルトが事件に関与しているのではないかと疑い始めた。
ケナーとレインズはアンジェラの兄・ロイ(デヴォン・ボスティック)の元へ行き、なぜ実家を離れることになったのかを尋ねた。
ロイも記憶があやふやだったため、レインズが退行療法を施したところ、ロイは子供の頃に自室に入ってきたフードを被った人間の存在を思い出した。
2人はその人物がロイの祖母・ローズ(デイル・ディッキー)ではないかと疑うが、ローズが虐待に関与した証拠を発見できなかった。
その後、ケナーは悪魔崇拝カルトの儀式に巻き込まれるという悪夢に苛まれるようになった。恐るべきことに、ケナーはアンジェラの母親に起きたものと同様の出来事に遭遇するようになったのだ。
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すべては、”退行催眠”を利用した被害者のはずの娘が仕組んだ、家族憎しの作り話だった。退行催眠は、思い込みや、暗示の刷り込みなどで事実であるかのように思い込ませてしまう催眠術の一種。
映画に登場する悪魔崇拝儀式はおぞましいもので、赤ん坊を連れてきては、ナイフで殺して食べてしまうという儀式。「エクソシスト」や「ローズマリーの赤ちゃん」のようなホラー的要素のあるサイコホラー・サスペンスだった。
刑事がベッドの上で両手に手錠をかけられ、身動きできない状態で、黒装束の何人もの人間が見る前で、醜悪な老婆が馬乗りになるシーンは、トラウマを起こしそう。
社会問題になった事件をベースにしているものの、その後、確たる証拠がなく、収まったというテロップが最後にある。
サイコサスペンスであることから、後味のいい映画ではなかった(笑)。
おすすめ度: ★★