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<span itemprop="headline">映画「スリー・ビルボード」(2017) アカデミー賞”有力”作品。</span>





今年のアカデミー賞戦線で、有力候補の一角を占めている「スリー・ビルボード(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri2017)を見た。MOVIXさいたまにて。

原題の直訳は、「ミズーリ州エビング郊外の3つの看板」。
ビルボードは、道路沿いに立っている広告立て看板のこと。映画の感想、説明はしにくいが、中身が凝縮された見ごたえのある映画だった。アカデミー賞の「脚本賞」「主演女優賞」はかなりの確率で獲りそうだ。
 
主演のフランシス・マクドーマンドは「ファーゴ」で女保安官を演じてアカデミー賞主演女優賞を獲得済み。「ファーゴ」のコーエン監督の奥さんでもあるが、化粧っけなしで、邪魔をする輩は叩きのめすといった激しい気性のマッド・ママを演じている。

どんでん返しではなく、常に観客の1歩半、先を行く展開に何度も、膝をたたくような傑作。どんなことがあっても、何を犠牲にしても、揺ぎ無い信念で突き進む、強い女性をフランシス・マクドーマンドが怪演。

ゴールデン・グローブ(GG)賞ではマクドーマンド主演女優賞のほか、作品賞、助演男優賞サム・ロックウェル)、脚本賞マーティン・マクドナー)の最多4部門を獲得。アカデミー賞でも最有力とされている。




            よくキレるディクソン巡査(左、サム・ロックウェル)と母親

アメリカはミズーリ州の田舎町エビング。
さびれた道路に立ち並ぶ、忘れ去られた3枚の広告看板。広告のシートははがれ、ボロボロだが、赤ん坊のおむつの広告なども混じっていた。広告の下に、広告窓口の会社、エビング広告社という名前があった。
 
7カ月前に娘を殺されたミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)エビング広告社を訪ね、責任者の若い男レッド・ウェルビー(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に、ビルボードの広告について聞く。レッドが資料を見ると、最後に広告があったのは1986年というからかなり前のこと。
 
1か月分の広告料5,000ドルを支払い、1年契約を結んだ。念のため広告規定によるNGワードなどの確認をして、3枚の広告看板には、メッセージが大きな文字が業者によって書かれた。1枚目は、「レイプされて殺された」、2枚目は「犯人は捕まっていない」、3枚目は「なぜ?ウィロビー署長」、というもの。



看板を見つけたディクソン巡査(サム・ロックウェル)が、自宅で妻と二人の幼い娘と、夕食を囲んでいたエビング警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)に連絡をする


 
一方、ミルドレッドは追い打ちをかけるように、TVのニュース番組の取材に犯罪を放置している責任は署長にあると答える。努力はしていると自負するウィロビーは一人でミルドレッドを訪ね、捜査状況を丁寧に説明するが、ミルドレッドはにべもなくはねつける。
 
町の人々の多くは、人情味あふれるウィロビーを敬愛していた。
広告に憤慨した彼らはミルドレッドを翻意させようとするが、かえってミルドレッドから手ひどい逆襲を受けるのだった。
 
今や町中がミルドレッドを敵視するなか、彼女は一人息子のロビー(ルーカス・ヘッジズ)からも激しい反発を受ける。一瞬でも姉の死を忘れたいのに、学校からの帰り道に並ぶ看板で、毎日その事実を突き付けられるのだ。


             「息子をいじめる奴は許さん」と犯人探し。

さらに、離婚した元夫のチャーリー(ジョン・ホークス)も、「連中は捜査よりお前をつぶそうと必死だ」と忠告にやって来る。争いの果てに別れたチャーリーから、事件の1週間前に娘が父親と暮らしたいと泣きついて来たと聞いて動揺するミルドレッド。
彼女は反抗期真っ盛りの娘に、最後にぶつけた言葉(「レイプでもされてしまえ」)を深く後悔していた。
 
警察を追い詰めて捜査を進展させるはずが、孤立無援となっていくミルドレッド。ところが、ミルドレッドはもちろん、この広告騒ぎに関わったすべての人々の人生さえも変えてしまう衝撃の事件が起きてしまう──。(HPより抜粋)
  

・・・
3枚の看板を掲げたことから起こる、さままな予測・予断を許さない事件が起こっていく。ミズーリ州というところは、黒人などに対して人種差別の激しい地域のようで、復讐が支配しているといった風土があり、暴力的な警官がいたり、ある課題を抱えている警察署長が実は人間味があったりと、イメージが次々に覆されていくところがおもしろい。
 
音楽が、主要な登場人物の背景に流れる。
これがなかなかいい。マカロニウエスタン風であったり、ABBAの曲だったりする。

舞台となっているミズーリ州(右・)には、カンザスシティセントルイススプリングフィールドなどがあるアメリカの中央よりやや東部に位置する州。

娘を殺された犯人探しのはずが、やや別の方向に話が進む。
犯人は捕まるのか・・・。それは映画を見てのお楽しみ。

あそこが笑った、といったユーモアもちりばめられていて最初から最後まで引き込まれた。あれも面白い、あそこもすごい、というのがたくさんありすぎて、書いてしまっては、興味が半減するので書かないでおきます。

監督のマーティン・マクドナーは、北野武監督のファンといい、マクドナー監督の前作「セブン・サイコパス」では主人公が劇中で観ている映画は北野監督「その男、凶暴につき」のワンシーン。 マクドナー監督は、同作を使用した理由を「このシーンも、映画自体も、そして北野武も大好きだから」と語っている。

■主な出演者:
フランシス・マクドーマンド: ミルドレッド・ヘイズ。
ウディ・ハレルソン: ビル・ウィロビー保安官(署長)。
サム・ロックウェル: ジェイソン・ディクソン巡査(警察官)。
ジョン・ホークス : ミルドレッドの元夫・チャーリー。
アビー・コーニッシュ : アン・ウィロビー、ビルの妻。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ : レッド、ミルドレッドに広告板を貸した男性。
・キャスリン・ニュートン : アンジェラ・ヘイズ、ミルドレッドの娘。
ルーカス・ヘッジズ : ロビー・ヘイズ、ミルドレッドの息子。
・アマンダ・ウォーレン : デニス
サマラ・ウィーヴィング : ペネロープ
・クラーク・ピーターズ : ウィロビー署長の後任アバークロンビー。

監督・脚本/マーティン・マクドナー

■2018年2月1日(木)公開 / 上映時間:116分
製作:2017年(英=米) / 配給:20世紀フォックス映画


今年の洋画の暫定1位。


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