「嵐の中で」(原題:Durante la Tormenta、2018、スペイン)をみる。原題は「嵐の間」。監督は「ロスト・ボディ」「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」のオリオル・パウロ。Netflixオリジナル映画。
ジャンルは、タイムループ、SFサスペンスで、最近のどんでん返し映画のランキングには必ず登場するという一見の価値ある映画。
オススメ映画なので、これから見る人はスルーしてください。
嵐の中で、過去と話せるTVを見つけ、死ぬはずだった少年を助け過去を変えてしまったばかりに、現在の世界が大きく変化しパラレルワールドとなり、自分の人生も大きく変わってしまう女性を描く。殺人事件、夫の不倫、消えた我が子といった複数の世界が描かれる。
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1989年、ベルリンの壁が崩壊した日の夜のイベリア半島。外は嵐がふきあれていた。少年ニコ・ラサルテ(フリオ・ボイーガス=コウト)はビデオカメラで自分のギター演奏を録画していると、突然向かいの家で悲鳴のようなものが聞こえてきた。
恐る恐る家の様子を見に行ってみると、知り合いのヒルダ夫人(クララ・セグラ)が血まみれになって倒れていた。そして、夫のアンヘル(ハビエル・グティエレス)が血のついたナイフを持って階段から降りてきた。
それを目撃したニコは逃げる。アンヘルが待てと追いかけるが、ニコは車に衝突。近所の人達や、警察がやってくるが、ニコは亡くなってなってしまう。アンヘルは、ショックでその場にうずくまる。
25年後、看護師のベラ・ロイ(アドリアーノ・ウガルテ)は夫ダビド(アルバロ・モルテ)と幼い娘グロリア(ルナ・フルジェンチオ)とともに、ダビドの友人アイトル(ミケル・フェルナンデス)の近所の家に引っ越してくる。
そこはかつてニコが住んでいた家で、アイトルはベラたちに25年前の事件について語る。その日の深夜、嵐の中で、テレビアンテナに雷が落ちたせいか、時空にズレが生じ、ベラは古いテレビとビデオカメラを通じて事件直前のニコと対面することになる。
ベラは、ニコに外へ行かないよう忠告する。
ベラが朝、目を覚ますと、病院のベッドに横たわっていた。そしてどうも周りの様子がおかしく、混乱する。自分が脳外科医になっている。夫ダビドが別の女性と結婚していて、自分を知らないという。最愛の娘のグロリアが存在しないのだ。
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(ネタバレ)
ベラは、真実が明らかになる中で、その世界でニコと結婚しているという現実があった。そのためグロリアは生まれてきていなかった。
しかし、ベラはグロリアに会いたい一心で、ニコに過去を変えるように懇願する。嵐の中で、自分が過去にタイムリープした状況になれば、またグロリアのいる世界に戻れると思ったのだ。ニコは、ベラと一緒にいたいと拒むが、ベラが自殺したことで、過去を変えることを決意する。
ベラが目を覚ますと、ちゃんと元通りグロリアがいた。
喜んだベラだったが、隣人のアンヘルとクララは警察に捕まっていなかった。ベラは、ニコの無念を晴らすためにアンヘルの食肉工場に埋まっている死体を掘り出し警察に通報する。すると、現場にはベラを覚えていないというニコが、捜査担当として現れて自己紹介した。
ベラは「(ニコは)私のことを必ず思い出すわ」と言って微笑んだ。
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現在と過去の話が入り乱れることから、やや戸惑うが、最後には繋がって面白く見られた。1989年当時のテレビ、ビデオカメラ、カセットなどが、今見るとレトロで懐かしい。過去に戻って運命を変える、といった展開は「バタフライ・エフェクト」(2004)にも通じる。
登場人物で、スペイン人はヒゲ男が多いので、誰が誰というのを識別で迷うことがある(笑)。この監督の「ロスト・ボディ」も見なくては。
主な登場人物:
■アドリアーノ・ウガルテ(ベラ・ロイ)看護師
■ルナ・フルジェンチオ(グロリア・オルティズ)ベラの娘
■チノ・ダリン(レイラ警部補)
■フリオ・ボイーガス=コウト(ニコ・ラサルテ)
■アルバロ・モルテ(ダビド・オルティズ)ベラの夫
■ミケル・フェルナンデス(アイトル・メディナ)ニコの友人
■ノラ・ナバス(クララ・メディナ)アイトルの母
■ミマ・リエラ(マリア・ラサルテ)ニコの母
■アルベルト・ペレス(ロマン)
■ベレン・ルエダ(カレン・サルドン博士)小説家
■アナ・ワヘネル(ディマス警部補)