「アガサ・クリスティー ねじれた家」(原題:Crooked House、2017)を見る。劇場公開は2019年。クリスティの1949年の作品で、原作と映画では一部変更がある。ねじれたとあるのは、屋敷に住む家族の心がねじれていることを示す。
出演は「危険な情事」のグレン・クローズ、「コレクター」「ワルキューレ」などのテレンス・スタンプ、マックス・アイアンズ(ジェレミー・アイアンズの息子)、ステファニー・マティーニなど。登場人物のいずれにも動機があってというストーリーだが、真犯人は最も意外な人物だった。「オリエント急行殺人事件」のように全員が…ではなかった。
監督はフランス人のジル・パケ=ブランネール。物語を通して誰が犯人か観客は推理をし続けることになるが、最後にその正体が明かされるサプライズに驚かされる。
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大富豪の一族の中心人物であるアリスタイド・レオニデスが亡くなった。アリスタッドの孫娘ソフィア(ステファニー・マティーニ)が、かつての恋人のチャールズ(マックス・アイアンズ)が営む探偵事務所に現れる。
チャールズにしてみれば、突然自分のもとを去ったソフィアだったが、まだ未練があるチャールズは冷たくあしらうが、犯人はまだ家の中にいるかもしれないと言うソフィアの言葉が頭に残る。秘書から有名人死亡事件を扱えば評判が上がると言われ、チャールズは事前調査に乗り出すことにした。
ロンドン警視庁を訪れたチャールズは、タヴァナー主任警部(テレンス・スタンプ)から、レオニデスの死因は毒殺だと知らされる。
タヴァナーから、緑内障用の目薬に使われる成分が遺体から検出された事を知る。直接血管内に入れば心臓発作を引き起こす成分だった。アリスタイドが糖尿病だったため、インスリンと取り違えた可能性を示唆する。殺人だと報道されれば大富豪家族を巡りメディアが騒ぎ立てるので、慎重に行動するようチャールズに助言し、警察が関与開始するまで2日の猶予を与えた。
大豪邸に到着したチャールズを迎えたのは、レオニデスの前妻の姉イーディス(グレン・クローズ)だった。
イーディスを筆頭に聞き込みを始めるが、強烈な個性を放つ人々を相手に、捜査は一向に進まない。しかも、愛人のいるらしい若い後妻ブレンダ(クリスティーナ・ヘンドリックス)から、破産・倒産寸前の二人の息子とその妻に至るまで、全員に殺害の動機があった。
ソフィアは、アリスタイドの次男フィリップの娘で、ほかに兄弟でユースティス、ジョセフィンがいる。ジョセフィンは、11歳の娘で、専属のナニー(家政婦)がいる。常にノートを持ち歩いて、家族たちの様子などを日記として細かく記している。また、屋敷の一角にある建物のロフトのようなところで、望遠鏡で、家族を覗いたりしている。
大伯母イーディスは、猟銃をモグラにぶっ放す、豪放磊落なキャラクターで、もっとも怪しいとみられる。ところが、終盤になって、急展開。大伯母の予想を覆す大どんでん返しの真犯人が登場する。あっと息つく暇なく、映画は「The End」。
■主な登場人物:
タヴァナー主任警部: テレンス・スタンプ
チャールズ・ヘイワード: マックス・アイアンズ
ソフィア・レオニデス: ステファニー・マティーニ
ジョセフィーン・レオニデス: オナー・ニーフシー
ロジャー・レオニデス: クリスチャン・マッケイ
クレメンシー・レオニデス: アマンダ・アビントン
マグダ・レオニデス: ジリアン・アンダーソン
ブレンダ・レオニデス: クリスティーナ・ヘンドリックス
■映画は見ないが真犯人を知りたいという人は下に。
真犯人は「(11歳の少女)ジョセフィーン・レオニデス」