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連続ドラマ「百万円の女たち」(全12話、2018)を見る。

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連続ドラマ「百万円の女たち」(全12話、2018)を見る。2年前にテレビ東京で深夜に放送されたドラマ。Netflixが配信。謎解きのミステリーに引き込まれる。「百万円と苦虫女」は蒼井優の作品だったが、まったく違ったテイストの作品。

一昨年に放送されたドラマ「あなたの番です」のような、犯人(黒幕)探しの面白さと、ラストの意外な展開がおもしろかった。

出演は、ドラマ「スーツ」の新木優子が人気女優を演じるほか、作家役に野田洋次郎中村倫也が扮している。リリー・フランキー筒井真理子古館寛治池田鉄洋などが脇を固めている。

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道間慎(みちま・しん:野田洋次郎)はさえない風貌の売れない小説家。 彼は半年前から5人の謎の美女たちと一つ屋根の下で暮らしている。

(1)コーヒーを愛する家では全裸の女・白川美波(福島リラ

(2)紅茶を愛するヨガと本好きの女・塚本ひとみ(松井玲奈

(3)ほうじ茶を愛する礼儀正しい女・小林佑希我妻三輪子

(4)アセロラ・ジュースを愛する訳アリ高校生の女・鈴村みどり(武田玲奈

(5)牛乳を愛する、大物感を漂わせる女・開菜々果(新木優子

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女たちにはある詳細な事柄が記された「招待状」が届き、やってきたといい、家賃兼生活費として毎月100万円もの大金を慎(しん)に支払うのだ。

共同生活にはいくつかルールがあり、彼女たちに対する質問は一切禁止。それぞれの個室に入ってはいけない。 5人の美女たちの年齢は17歳の高校生から30代と幅広い。普段は何をやっているのかなど一切が謎に包まれている。また、慎の元には「死ね!」「人殺し」といった嫌がらせのFAXが頻繁にとどく。いったいなぜ。誰が何の目的で・・?

彼女たちとの奇妙な共同生活を通じ、女たちの過去や存在理由などが少しずつ解明されていく…。 同時に彼自身の身にも思いもよらなかった変化が起き始め、彼を取り巻く環境はどんどん変わっていく。

実は、5年前に父親が、妻の浮気に激怒し、妻と相手の男、それに駆けつけた警察官の3人を刃物で殺すという事件があり、父親は死刑囚(リリー・フランキー)だった。そのことが、5人の美女のやってきた理由と関係があるのか・・・?

そして、ある日、美女たちとのちょっと奇妙な共同生活に幸せを感じ始めていた慎に、すべてを崩壊させる事件が起きる・・・。

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  女子高生が「今月の家賃です」と新札100万円の束を渡す。

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   優柔不断男の作家は、女たちに振り回される。

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   風俗(ソープランド)で指名するお気に入りの女と。

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出版業界の裏側や、最優秀文学賞の選定過程なども描かれ、古い固定観念に縛られた選定者をチクリと皮肉っている。謎の女たちの素性が明らかになっていく展開もおもしろい。

女子高生がなぜ毎月100万円の家賃を払えるのか、招待状を送ったのは誰か、主人公の売れない作家の心情である「殺される人が登場しない」という小説の一貫したテーマにもかかわらず、同居人たちの中からなぜ死者が出てしまったのか。また、ラスト最終話のあっと驚く結末も衝撃だった。

やや天狗になっているような小説家(中村倫也)が、売れっ子女優(新木優子)を呼びだすが、小説家が上から目線だったので、女優が「表現の商売をなめんなよ!」と啖呵を切るシーンは、夏目雅子の「鬼龍院花子の生涯」の名台詞「なめたらいかんぜよ!」のようなインパクトがあった。実際に、この作家は、別の作家(ドラマの主人公・慎)に対して、「表現の商売をなめんなよ」と使っている。

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【出演】

野田洋次郎、福島リラ、松井玲奈、我妻美輪子、武田玲奈、新木優子、 遠藤雄弥、 吉村界人保紫萌香井端珠里筒井真理子、古館寛治、池田鉄洋山中崇中村倫也リリー・フランキー

【原作】青野春秋「100万円の女たち」(小学館ビッグスピリッツコミックス刊)

【脚本】山田能龍(劇団山田ジャパン主宰)、室岡ヨシミコ、中園勇也

【監督】藤井道人(「オー!ファーザー」、「7s/セブンス」、「雲の糸」他)、原廣利、桑島憲司