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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ロンドン、人生はじめます」(原題:Hampstead, 2018)を見る。ダイアン・キートン主演。

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映画「ロンドン、人生はじめます」(原題:Hampstead, 2018)を見る。原題のハムステッドというのは、舞台となるロンドンの地名。野性の要素がある緑豊かなユニークな都会の中の村。東京でいえば井の頭公園といったところか。

原題そのままでは、わかりにくいので、邦題のようになった。

監督はダスティン・ホフマン主演の「新しい人生のはじめかた」(2008)のジョエル・ホプキンス。主演はアカデミー賞女優で、ウディ・アレン映画などでおなじみのダイアン・キートン。共演は「ハリーポッター」シリーズのブレンダン・グリーソン。老境に入った男女の第二の人生を実話をベースに描く。

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エミリー(ダイアン・キートン)は朝の日差しに目を覚まし、黒縁メガネをかけ部屋を出る。階段を降りると高級マンションの玄関にいるコンシェルジェが挨拶を交わし、玄関を出る。仕事場の入り口で、デモの参加を呼びかける青年がチラシを渡してくる。夫を亡くした後も、洋服店の仕事をボランティアで手伝っているエミリー。

「今度は何?」「サーモンの養殖反対です」。

若い母親と小さな娘が店に入ってきて、母親は娘の背中に付けているリードの紐をエミリーに渡して、奥の試着室へ服を持っていく。娘が母親の姿が見えなくなると、店内に掛かっている服を取っては散らかすので、仕方なく、リードを店の柱に括り付けと、試着室から出てきた母親がそれを見て、ものすごい剣幕で怒って店を出ていった。

エミリーは不満におもいつつも、我慢して自宅マンションに帰宅。その際に管理人から手紙で届いた税務署からの請求書を受け取る。エントランスでは同じマンションに住む奥様たちが待ち構えていた。

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彼女たちはマンションの老朽化に備え、負担額をエミリーに示す。

その金額はエミリーにとって、あまりにも高額。エミリーは冷静を装い笑って話を合わせる。エミリーは、実は、亡くなった夫は浮気者で借金まみれ。

マンションの奥様方は、暇を持て余し、友達のように振る舞うものの、心の中では足の引っ張り合い、しかも息子は薄情者と悩みは尽きない。

そんな中、部屋の窓から双眼鏡で森の中を見ていると、一人のひげもじゃの男がいた。どうやら小さな手作りの小屋のようなところに住んでいるようだ。あるとき、その小屋に2,3人の男が押しかけて、男ともみ合いになっている光景を見たので、警察に通報。しばらく時が過ぎてから、エミリーは、その小屋に向かって様子を見に行くと男はドナルド(ブレンダン・グリーソン)と名乗り、他人を寄せ付けない気難しそうな男で、十数年もの間、掘っ立て小屋のような建物に住んでいることがわかるのだが・・・。

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この映画は、いろいろな要素を盛り込んでいておもしろい。ベースになっているのは、実際に2007年にニュースとなった1人のホームレスがひっそりと原野に住み続け、所有者などから異議申し立てもなく時効になったとして、土地を無料で手に入れて一夜にしてお金持ちになったこと。

イギリスでは、管理されていない空き地や空き家に住み着いても違法にならず、この映画のドナルドのように自家発電でインフラをまかない、器物破損もせず、一定期間すみ続けばスクウォーター(無断居住者)の権利が保障されるという法律があるというのだ。イギリスの根底に流れているのは「人は好きなことをする権利がある」ということ。

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エミリーが、ドナルドに、侵入者ともみ合いになっているところを双眼鏡でたまたま見て、警察に連絡したことなどを話すうちに、一緒に魚釣りなどに出かけ、親しくなる。エミリーも、マンションの立ち退きもあって、ドナルドと、新たな人生をと考えてみる。一方、裁判で土地の権利と居住権を得て時の人となるも、ドナルドは、頑として現在の居場所を離れるつもりはないというのだが・・・。

ある日、新聞に「ホームレスで億万長者になったドナルドが土地を売却、20歳年下の彼女とアフリカへ」という記事がでたのに驚いたエミリー。エミリーが真相を確かめようとドナルドの元に向かうと「誤報」という。ただし、その記事が出たことで、マスコミに騒がれなくなるのは好都合だったようだ。

同じマンションの奥様がたの一人は、エミリーが1年前に夫を亡くしているので、なんとかパートナーを紹介しようとあの手この手というのがおかしいマンション立ち退き費用などの相談に弁護士の様な人物を紹介。

その男は、料金は無料でいいという。その代償として、下心丸見えなのだが、リゾート地への観光を目的に二人で旅行をしようとたくらむ算段(笑)。エミリーの誕生日には、楽団数人を連れてきて、その男自身もウクレレを弾くようなそぶりで、「ハッピバースディ~トゥ・ユー♪」を歌う。

すでに、第二の人生のパートナーはドナルドと決めているエミリーは皆の前で宣言をする。

ドナルドは、結局エミリーの説得などで、土地などを整理して、生活用の船を購入。第二の人生である、ロンドンの生活に向かうのだった。

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ダイアン・キートンは、この映画の撮影時(2016~2017年)、70歳を超えているが、活躍がつづくのがうれしい。