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映画「シャフト」(原題:Shaft、2019)を見る。リメイクの続編。

 

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シャフト」(原題:Shaft、2019、Netflix)を見た。2000年に公開の「シャフト」の続編にあたるが、その「シャフト」(2000)は「黒いジャガー」(原題:Shaft)のリメイク。オリジナルのアイザック・ヘイズの音楽も踏襲しているので懐かしい。最新作は、これまでのシリアスな刑事モノからコメディに大転換している。

全世界の黒人俳優たちの映画進出の礎となった「ブラックスプロイテーション映画(ブラック・パワー・ムービー)」と呼ばれる映画の先駆けの1本となったのが「黒いジャガー」(1972)だった。「黒いジャガー」3部作は、私立探偵のジョン・シャフトが、ニューヨークを舞台に活躍する作品。同3部作とテレビシリーズではともに、リチャード・ラウンドトゥリーが主役を演じた。

ブラック・パワー映画としてすぐに思い浮かぶのは「ボクサー」(原題:The Great  White Hope, 1970)、「ロールスロイスに銀の銃」(原題:Cotton Comes to Harlem,  1970)などがある。当時活躍していた黒人俳優(アフリカ系アメリカ人)といえば「夜の大捜査線」「招かれざる客」などのシドニー・ポワチエ一人だった。ポワチエは、差別を描いた映画の1ピースに過ぎなかった。一般的に、白人から見た黒人の理想像のような描き方とされた。

最新作「シャフト」は、前作から20年、「黒いジャガー」から50年近くが経過しており、「差別」の表現も大きく変わり、「白人」的な生き方をしている主人公JJ(シャフトの息子)を親のシャフトが嘲笑するシーンすらある。世間が多様性を受け入れる時代になったことがありありと分かる「シャフト」となっている。

・・・

1989年、ニューヨーク市警に勤める破天荒な刑事シャフト(サミュエル・L・ジャクソン)は妻のマヤ(レジーナ・ホール)と共にハーレムにいるところを麻薬の売人ゴルディト(イザック・ド・バンコレ)の手下に襲われた。

危険には慣れっこのシャフトはゴルディトの手下を難なく返り討ちにするが、マヤはシャフトといることで子供に危害が及ぶと考え距離をとることになる。

30年後、不動産王の息子ウォルターが起こした殺人事件の捜査をきっかけにニューヨーク市警を辞職し私立探偵となったシャフト。

一方、息子のJJ(ジェシー・T・アッシャー)は父の破天荒さとは真逆にFBIの情報分析官として真っ当な人生を歩んでいた。

FBIではハーレムを拠点としアフガニスタンにも出入りしているとされる、ラシャド・モスクを一斉検挙するための作戦が始まっていた。

幼馴染のカリム(イザック・ド・バンコレ)に呼び出され、同じく幼馴染のサーシャ(アレクサンドラ・シップ)と共に久々に3人で飲み明かそうとするJJは、退役軍人であり薬物依存症だったカリムが同じ境遇の退役軍人のためにリハビリのビジネスを始めようとしていることを聞く。

仕事に呼び出されたと言ってその場を抜けるカリムの様子を不審に思いカリムを追いかけ話すJJだったが、カリムはJJに今までいろいろなことで心配をしてくれたことに感謝を述べると去っていった。

翌日、母のマヤからの連絡でカリムが死体で発見されたと聞き葬式に駆け付けるJJ。FBIの権限を使い死亡診断書を見るJJは、カリムの死因が薬物の過剰摂取による中毒死であったことを知る。

薬物依存症の定期検査にも合格し、薬物をすでに断っているはずのカリムの死因に疑問を持ったJJはたった1人で、カリムといざこざのあった麻薬の売人マニーのもとに向かうが、頭を殴られ病院に運ばれてしまう・・・。

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       3世代のシャフト(左からシャフト、シニア、ジュニア)

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     シャフト親子が口論中、向こうからバットを持って迫ってくる悪玉。

私立探偵のシャフトと幼い頃別れた息子のシャフトジュニア(JJ)とが再会して”バディ”を組んで麻薬密売人たちと戦うが、なんとシャフトの父親であるシャフト・シニア(「黒いジャガー」でシャフトを演じたリチャード・ランドトゥリー)まで登場して、3世代のシャフトが3人揃うというのがすごい。

 

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         マトリックス」にも似た扮装。

新米のFBI情報分析官だったJJが活躍して、辞職を迫っていた上司が上級職のポスト(捜査官)を提案してきたが、ノーを突きつけてFBIの職を辞する潔さ。

映画としては、コミカルになり、興行成績も振るわず批評家の評価はイマイチのようだが、”3代目”シャフトとして更に続編がありそうな余韻を残している。

幼い頃、父親が捨てたと感じていたJJにしてみれば、JJの今の仕事に「協力する」と申し出てきても「いまさら、父親ヅラをするな!」だった。「シャフトか父親かを選ぶときに、シャフトを選んだんだ」というJJの言葉が印象的だ。

サーシャを演じるアレクサンドラ・シップがキュートで可愛い。「X-MEN: ダーク・フェニックス」などに出演している。

 

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主な登場人物:

■ジョン・シャフト:サミュエル・L・ジャクソン

■ジョン・シャフト・ジュニア(JJ):ジェシー・T・アッシャー

■ジョン・シャフト・シニア : リチャード・ラウンドトゥリー

■サーシャ・アリアス :アレクサンドラ・シップ

■マヤ・ババニコス: レジーナ・ホール

■ゲイリー・カットワース少佐: マット・ローリア

■ヴィエッティ特別捜査官 :タイタス・ウェリヴァー

■フレディ・P : クリフ・"メソッド・マン"・スミス

■ピエロ・"ゴルディト"・カレッラ :イザック・ド・バンコレ

■カリム・ハッサン:アヴァン・ジョーギア

■ベニー・ロドリゲス:ルナ・ローレン・ベレス

■キース・ウィリアムズ軍曹 :ロビー・ジョーンズ

■エディ・ドミンゲス二等軍曹 :アーロン・ドミンゲス

■マヌエル・オロスコ :イアン・カッセルベリー

■アナム:アルメーラ・ジワ

■ファリク・バハール :アマト・ダポリト

■ロン :リーランド・ジョーンズ

 

 

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「シャフト」シリーズ5作品:

「黒いジャガー」 (原題: Shaft、1971)✩✩✩✩

「黒いジャガー/シャフト旋風」 (原題:Shaft’s Big Score!,1972)✩✩✩

「黒いジャガー/アフリカ作戦」 (原題:Shaft in Africa,1973)★★

「シャフト」 (原題:Shaft, 2000)(未見)

「シャフト」 (原題:Shaft, 2019)★★

 

セリフで、シャフト(S.L.ジャクソン)が「アスタラ・ビスタ。シュワルツネッガーのセリフだ」と言ってみたり、おふざけのセリフも多い。

アスタ ラ ビスタ (スペイン語: ¡Hasta la vista!)は「さようなら」「またいつか」の英語の"See you again" とほぼ同義。「ターミネーター」(1991)でシュワルツェネッがーが「アスタ ラ ビスタ、ベイビー」(=地獄で会おうぜ、ベイビー)と話している。

それにしても4文字言葉やマザー・ファ〇〇ーなど、ダーティワードが多い。日本語字幕もそれ相応で「あの野郎」「くそ野郎」など負けてはいない(笑)。

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