「嘘はフィクサーのはじまり」(原題:Norman: The Moderate Rise and Tragic Fall of a New York Fixer、2016)を見る。アメリカ・イスラエル合作の政治・ドラマ映画。日本での劇場公開は2018年。Netflixでは「NORMAN」のタイトルで配信中。邦題(タイトル)が軽すぎる(笑)。
ヨセフ・シダーが監督・脚本を務め、主演はリチャード・ギア、共演はリオル・アシュナケージ、マイケル・シーン、スティーヴ・ブシェミ、シャルロット・ゲンズブールなど。
リチャード・ギア扮する「自称フィクサー」の男ノーマンが、国際的な大騒動を巻き起こす姿を描いたブラックコメディ。2016年のリオデジャネイロ五輪閉会式で「君が代」のアレンジを手がけた三宅純が音楽を担当。
中世ヨーロッパで、キリスト教徒の貴族を相手に資金運用や資金貸付を行ったユダヤ人銀行家、金融業者のことを指す言葉として「宮廷ユダヤ人」という言葉があるようで、この映画の主人公のノーマン・オッペンハイマーは、その宮廷ユダヤ人に着想を得ているという。
上流階級との接点がある唯一のユダヤ人でもあり、一人の影響力のある人物に目をつけて、それを利用して、ほかの富裕層への食い込みを図りフィクサーとして注目されるさまが描かれている。
オッペンハイマーと言っても同名の原爆の父とは無関係。
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ノーマン・オッペンハイマー(リチャード・ギア)は、3年前にイスラエルの政治家エシェル(リオル・アシュナケージ)に偶然を装って近づき、そのエシェルが靴屋である靴を気に入ったが、値段が高いと諦めると、ノーマンは、自分の身銭を切って(カードを使ってかなり無理をして)買い与える。
その政治家は、ノーマンというユダヤ人に親切にされたとイスラエルの大物に相談するが、何か企みがあるだろうから気を付けるようにと言われるが、エシェルはノーマンという人物を信じてしまう。
やがて3年後、そのエシェルはイスラエルの首相になった。アメリカの政府高官や大企業のトップなど順番待ちでエシェルにあいさつをするための列に加わるノーマン。エシェルが一体自分のことを覚えていてくれるかどうかの賭けでもあった。
エシェル首相の側近は、挨拶の要人リストを持っていてチェックしていたが、側近がリストにないノーマンに不審な顔をすると、エシェルはノーマンに気付き「ノーマン!」と呼び寄せると、感謝の意を示し、まわりの要人たちに「友人のノーマンだ」と紹介するのだった…。
こうしてノーマンは「首相のお墨付き」という武器を利用して暗躍を始めるが…。
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アメリカの金融業などはユダヤ人に支配されているといわれるが、人脈、ネットワークをフルに活用して、存在感を強めていくしたたかさが描かれている。
映像面では、主人公以外が「ストップモーション」で静止したり、一部がスローモーションになったりとインパクトがある。
また、同一画面に、別々の場所にいる人物(電話の相手など)が二重、三重に重なり合って(しかも画面分割なしで)映し出される映像技術も目を見張る。
ストーリーとしてはやや単調で、面白みに欠ける。
<キャスト>
■ミカ・エシェル:リオル・アシュナケージ
■フィリップ・コーエン:マイケル・シーン
■ラビ・ブルメンソール:スティーヴ・ブシェミ
■タウブ:ジョシュ・チャールズ
■アレックス・グリーン:シャルロット・ゲンズブール
■キャロル・ラスキン:アン・ダウド
■ビル・カヴィシュ:ダン・スティーヴンス
■スラル・カッツ:ハンク・アザリア
■靴のセールスマン:イザック・ド・バンコレ
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