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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ブラック・スキャンダル」(2015)を試写会で見る。

 
ブラック・スキャンダル」(原題:Black Mass, 2015)を試写会で見た。MOVIXさいたまにて。FBIが、アイリッシュ・マフィアのボスである凶悪犯を逮捕せずに、イタリア・マフィア撲滅の情報源として利用していたとされる事実に基づいたFBIスキャンダルを描いた犯罪映画。1月30日から全国公開される。
 
 
かなり残虐で非情なシーンが目立つバイオレンス映画で、要注意(R-15)。デップ・ファンだからと言って見に行くと、想定外の事態に・・・笑。原題は、黒ミサ、死者のためのミサの意か。
 
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ジョニー・デップは、ヒゲをはやして海賊になったり、白塗りの顔になったり、出演作によって、カメレオンのように変貌する。素顔に近い風貌で出ることが少ない。「ブラック・スキャンダル」などは、ヤクザの菅原文太のようにもみえる。
 
ボストン暗黒街のチンピラから大ボスにのし上がったアイリッシュ・マフィアのジェイムズ・“ホワイティ”・バルジャーを演じるジョニー・デップは、頭を剃りあげて、アメリカ犯罪史上に名を残す冷酷な凶悪犯で、2008年公開の「ノー・カントリー」の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)に匹敵するくらいの容赦ない残忍な男を演じている。
 
ブラック・スキャンダル」は”ホワイティ”がいかにして犯罪に手を染めるようになり、「ウィンター・ヒル・ギャング」のリーダーの座に上り詰める事になったのかを描いたクライム・サスペンス映画。
 
FBI捜査官コナリーをジョエル・エドガートン、バルジャーの弟で上院議員ベネディクト・カンバーバッチが演じるなど、実力派俳優が多数顔を揃えている。ケヴィン・ベーコンもFBI捜査官の一人として出演している。
 
       FBI捜査官コナリー(ジョエル・エドガートン、右)と

         ビリー上院議員ベネディクト・カンバーバッチ

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1970年代半ばのアメリカ。
アメリカのサウスボストンで育ったジェームズ・バルジャーとその弟ビリー、二人の幼なじみジョン・コノリーは、やがてギャング、政治家、FBI捜査官とそれぞれの道に進んでいった。
 
コノリー(ジョエル・エドガートン)はイタリア系マフィアの撲滅させるために彼らと抗争中のジェームズ(ジョニー・デップ)に敵の情報を流すよう持ちかける。FBIとの密約を利用し敵の組織を壊滅に追い込み、犯罪帝国を築くジェームズ。
 
そしてビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)もまたジェームズの力を借り権力を握る。利害を一致させ手を組む彼らの関係は、アメリカ史上最悪の汚職事件に発展していく(MovieWalker)。
 
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組織犯罪、殺人などあらゆる犯罪を犯しながら、ジェームズに関する情報を警察に流した手下やその情婦(売春婦)などは容赦なく殺害してしまうという凶悪ぶりのジェームズだった。ジェームズの仲間たちは、連邦検事の鋭い追求によって次々に逮捕されていくが、ジェームズだけは逃亡していたが、16年の逃亡生活の果てに、
2011年になって、カリフォルニア・サンタ・モニカで逮捕された。
 
        情けのカケラもない凶悪・極悪人を演じたジョニー・デップ
 
この映画では、ジョニー・デップの凶悪犯ジェームズ役は、デップの映画ではこれまでの最高の演技ではないかと思う。そのジェームズの弟ビリー役のベネディクト・カンバーバッチは、同じ兄弟といっても全く違った境遇にあり、ビリーは政治家として風格を感じさせた。
 

また、新任の連邦検事として着任してきたフレッド・ワイシャックを演じるコリー・ストールという俳優が素晴らしい。それまでの検事は、FBI捜査官と暗黒街の大物との”協定”(ジェームズは、ビジネスという言葉を使っていた)に目をつむっていたが、新任検事は容赦なくFBI担当官を追求していく。スキンヘッドの悪を許さない鋭い検事。
 
コリー・ストールは、ウディ・アレン監督作品「ミッドナイト・イン・パリ」で実在の小説家アーネスト・ヘミングウェイを演じていた俳優。
 
”悪に栄えたためしなし”という言葉があるが、徹底して検事としての正義を貫く。
このワイシャックを酒席を設けて懐柔しようとしたFBI捜査官が、「犯人を上げろ」と容赦なく切り込まれてきてタジタジになるところはすっきりした。
 
 
上の写真はFBI捜査官の自宅に招かれて、ジェームズが食事をするシーンだが、このシーンは、静かだが緊張が走る言葉の応酬があってハラハラさせられた。相手の反応を探る正気の問いかけとジョークの組み合わせである。
 
警察にベラベラ喋ってしまう口が軽い人間か、余計なことは言わず信用できる人間か”ハカリ”にかける言葉が巧みだった(実際に見てもらわないとわからないと思うが・・・)。
 
  予告編
 
犯罪映画だが、スキャンダルを含んだ実録というだけあって、それなりに面白い。
 
監督のスコット・クーパーは「クレイジー・ハート」(原題:Crazy Heart、2009)が監督デビュー作。その後「ファーナス/訣別の朝」(原題: Out of the Furnace、2013年)があり、今回のブラック・スキャンダル」(原題:Black Mass、2015年)は3作目。それまでは「オースティン・パワーズ:デラックス」(1999)「ザ・ハッカー」(2000)などに俳優として出演した。
 
☆☆☆
 
 
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