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映画 「記憶にございません!」(2019)三谷幸喜の脚本・監督による政治ブラックコメディ。

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記憶にございません!」(2019)を見た。三谷幸喜の脚本・監督による記憶を失った総理大臣をめぐるドタバタ喜劇。人物設定が多彩で、特に女優陣の配役の妙がいい。中でも吉田羊、小池栄子木村佳乃が適材適所(笑)。

9月21日から9月22日の全国映画動員ランキングトップ10が興行通信社より発表され「記憶にございません!」が先週に続いて1位と2週連続で首位に輝いた。

(ストーリー)

病院のベッドで目覚めた男。記憶喪失に陥り、自分が誰なのかわからない中、そっと病院から抜け出すと、ふと見たテレビで、自分が国民から嫌われている内閣総理大臣の黒田啓介であることを知る。混乱を避けるため記憶喪失の事実を3人の秘書官以外には内緒で日々公務をこなすが、アメリカから大統領が来日することになる。

登場する人物は、実在するものとは一切関係ありませんということだが、近年の政界スキャンダルをそれとなく取り入れている。一昔前の時代設定なのか、携帯電話はすべて二つ折りのガラケー

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女優陣の豪華共演。

小池栄子は、秘書など、ダメダメ社長や政治家を適切なアドバイスで側面から支える役ではピカイチ。

木村佳乃は、アメリカ女性大統領を演じているが、その流暢な英語には唸らされる。3歳まで出生地のイギリスですごし、一度日本に帰国し、その後中学2年のときに父親の転勤でアメリカ・ニューヨークに2年住んでいたというが、その時に英語のスパルタ教育をみっちり受けたようだ。そのため、日本人が話す日本語英語ではなく、ほぼネイティブ。 

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吉田羊がなんといってもこの映画のぶっ飛びぶりがすごい。総理と同期で同じ党に所属していた過去があり、国会では、野党第2党の党首として総理を厳しく追及するが、プライベートでは、腐れ縁で愛人関係に。完全に総理を”尻に敷いている”。

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総理の妻が、自身の「不倫」記事が大々的に報じられ家を出たが、総理は自分にも原因があるので、なんとか戻って欲しいと伝えたいという。記者会見は弱いので、野党第2党党首の国会質疑を利用して、妻への愛をカメラを通して訴えることに。そのシーンが圧巻。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、中国語など数カ国語で「愛してる」と訴えるのだ。

テレビの夜のアンカーウーマン(ニュースキャスター)()は、まったく最後の出演者の名前を見るまではわからなかった(笑)。某国営テレビを退社しフリーになったからこそと言えそうだ。

男優陣では、草刈正雄が、影の総理とも言われる官房長官を演じているが、アメリカ大統領相手の総理のゴルフで「上手く打つな」というような「忖度」の権化のような人物。スキャンダルが明るみに出ると、辞任の挨拶をするのだが、これがとんでもない姿で・・・。ディーン・フジオカは、やり手の総理秘書官だが、全編登場する割には、イマイチ存在感が薄い。実力派俳優といわれる佐藤浩市は、ゴロツキのフリー記者だが、大統領が来日しての総理とのゴルフでは、とんでもな役で登場した。中井貴一は、生真面目な役から、コメディまで幅広く演じるが、特に近年ではコメディで大当たり。とぼけた役で味わいがある。ドラマ「あなたの番です」で主演を演じた旬の田中圭をちゃっかりと出演シーンを用意して使っている。

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■黒田啓介(中井貴一

第127代内閣総理大臣。憲政史上最悪の支持率2.3%を記録。演説中に一般人からの投石を受けて一切の記憶を失う。のちにあるきっかけで記憶を取り戻し、

性格まで変わり真面目に取り組む。

■井坂(ディーン・フジオカ

首相秘書官。啓介に記憶を失っていることは最高機密と伝える。いかにもクールな印象だが隠れた野心がありそう。

■黒田聡子(石田ゆり子

啓介の妻。夫に愛想を尽かしている。井坂と不倫をしているとの噂。

■番場のぞみ(小池栄子

事務秘書官。首相秘書官の井坂とともに啓介を支える。

■寿賀さん(斉藤由貴

官邸料理人。何事にもマイペース。10年間官邸で仕事をしている。

■スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃

米国初の日系女性大統領。英語はネイティブで、日本語も完璧。

■山西あかね(吉田羊

野党第二党・困民党党首。かつては啓介と同じ党の同期。腐れ縁で愛人関係?

大関平太郎(田中圭

警察官。いつか総理大臣に官邸に呼ばれることを夢見ている。

鶴丸大悟(草刈正雄内閣官房長官。政界を牛耳ろうと目論んでいる。

■古郡祐(佐藤浩市

フリーライター。かつて政治ゴロと呼ばれ、裏社会に通じている。基本は金で動く人物だが、依頼人は裏切らないが信念。

■南条実(寺島進

大工。庶民の生活実態を総理に訴える。

■黒田篤彦(濱田龍臣

黒田啓介の息子。家庭を顧みない父を尊敬できず、見下していたのだが・・・。

■柳友一郎(山口崇

元小学校教師。啓介の恩師。啓介が幼い頃の記憶だけは残っていて、「三権分立」などの基礎から叩き込まれる。

■小野田治(梶原善

小野田建設社長。啓介の小学校からの幼なじみ。第二議事堂建設のための裏金

を準備し、プロジェクトはスタートするのか?

■ジェット・和田(宮澤エマ

ナリカワ米国大統領に同行する通訳。

■戸波(小澤雄太

啓介の記憶喪失を診断した脳外科医。

 

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人によって笑いのツボは違うと思うが、いくつかのシーンで笑いをこらえるのに苦労した(笑)。気楽に見られる映画で、おすすめ。