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映画「はじめてのおもてなし」(2016、ドイツ)見る。

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はじめてのおもてなし」(原題:Willkommen bei den Hartmanns、2016)を見た。ドイツ映画で、原題は「ハートマン家にようこそ」。ひとりの難民青年を受け入れた裕福な一家とその周囲で起きる珍騒動を描き、ドイツ国内で2016年度の興行収入第1位となった作品である。

ドイツ南部のミュンヘンの裕福な家庭では、外国からの難民を受け入れようと、希望者と面談し、ナイジェリアからの難民を受け入れるが、イスラム教過激派ではないかと疑われる騒動とハートマン家の家族の再生も描いている。

この映画には、往年の名女優センタ・バーガーが出演している。センタ・バーガーは、ウィーン出身。1961年「秘密諜報機関」で共演したリチャード・ウィドマークに見出されたことでアメリカ映画のほか、フランス、イタリア映画へも出演。その豊満な肢体を武器に各国の映画雑誌から「オーストリアのセックス爆弾」と評され、西ドイツ(当時)出身で同じく映画女優のエルケ・ソマーなどとグラビアを賑わせた女優。主な作品には「さらばベルリンの灯」「火曜日ならベルギーよ」「ナポリと女と泥棒たち」「ダンディー少佐」などがある。「初めてのおもてなし」の撮影当時75歳だが、美貌の面影がある。

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      「さらばベルリンの灯」のセンタ・バーガー(25歳当時)

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あらすじ:

「決めたわ。難民を一人、受け入れるの」。ミュンヘンの閑静な住宅地に暮らすハートマン家の豪華なディナーの席で、母親のアンゲリカ(センタ・バーガー)がきっぱりとそう宣言した。教師を引退して生き甲斐を見失ったアンゲリカは、医師としても男としても現役にこだわる夫のリヒャルト(ハイナー・ローターバッハ)と、ワーカーホリックのあまり妻に逃げられた弁護士の息子フィリップ(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)の反対を押し切って、ナイジェリアから来た難民の青年ディアロ(エリック・カボンゴ)を自宅に住まわせる。

 

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          複数の難民と面談をするハートマン夫妻

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31歳にして未だ大学生で“自分探し”真っ只中の娘ゾフィ(パリーナ・ロジンスキー)と、12歳にして“一流ラッパー”を目指すフィリップの息子バスティ(マルノス・ホーマン)は、心優しいディアロとすぐに仲良くなる。

しかし、近隣の住民の抗議が極右の反対デモに発展、一方で一家はテロ疑惑をかけられ大騒動に。さらにとどめに、ディアロの亡命申請が却下されてしまう。果たして、崩壊寸前の家族と、天涯孤独の青年は、平和な明日を手に入れることが出来るのか──?

 

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■アンゲリカ・ハートマン(センタ・バーガー)元教師。定年退職後は専業主婦。

■リヒャルト・ハートマン(ハイナー・ローターバッハ)アンゲリカの夫。大病院の医長。

■フィリップ・ハートマン(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)ハートマン家の長男。ワーカホリックの弁護士でビジネスマン。30代半ば。

■ゾフィ・ハートマン(パリーナ・ロジンスキー)ハートマン家の長女。自分探しを続けている万年学生。31歳。

■タレク・ベルガー(エリアス・エンバレク)リヒャルトの病院の研修医。ゾフィの幼なじみ。

■ディアロ・マカブリ(エリック・カボンゴ)ナイジェリア難民の青年。

■サーシャ・ハインリッヒ(ウーヴェ・オクセンクネヒト) リヒャルトの親友。遊び人の美容整形外科医。

■ハイケ・ブロジャー(ウルリケ・クリーナー)アンゲリカの友人の元教師。

■ベルント・バーダー(アイシ・グルプ)難民収容施設の職員。

■バスティ・ハートマン(マルノス・ホーマン)フィリップの1人息子。12歳。

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ドイツの豪華な住宅に住むハートマン家。ドイツでは定年は65歳で、ハートマン家の当主リヒャルトは、定年後の今も大病院の医長として仕事を続けている。常に気難しい顔をしている。とくに長女が、30歳になっても試験に落ちるなど、定職にもつかないのを心配している。一方でリヒャルト自身は、エアロビクスに精を出し、ランニングマシンで走り、鏡で頭部の後ろが薄くなっていることやお腹周りを気にし、Facebookもはじめて、ディスコのようなクラブにも出入りし、若作りに励んでいるところが、おかしくもある。

難民受け入れでは、さまざまな希望者と面談するが、ナイジェリア出身の青年ディアロに決める。リヒャルトの妻アンゲリカは動物愛護にも熱心で、専業主婦になってからは、人助けに精を出している。リヒャルトは、ディアロがテロリストのひとりではないかと疑心暗鬼。そして、妻との間に亀裂が生じて家を出てしまうリヒャルトだったが、やがてディアロがテロとは関係がなく、優しい人物であることを知り、妻とも寄りを戻す。

ディアロがリヒャルトに、「亡命申請が認められたので、家族をすべて呼んで一緒にここで暮らしたい」というと、リヒャルトは、眉をひそめる。デジアロは「冗談だ」と言って、お互いに笑い合うのだった。

シリアスなテーマを扱いながらも、時にユーモアもあって面白い。ディアロは、時々グループで集まっては、ランニングを行っている。男友達から「彼女はいないのか」といわれ「いない」というと、「後ろに走っている女の子はお前に気があるようだ」という。時々買い物に行く店の子だった。あるとき、集団でランニング中に、速度を落として、その女性の横で走り、互いにアイコンタクトをして微笑むのだった。味わいのあるエンディングだった。

 

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