ひとりの将校が華やかな政界の裏で渦巻く国家的陰謀に立ち向かう社会派サスペンス。洗脳された人物をホワイトハウスに送り込み世界の支配を目論む巨大企業と、その企みに気づき真相の究明に乗り出す男のスリリングな攻防を描く。
出演は「マルコムX」「インサイド・マン」のデンゼル・ワシントン、「マディソン郡の橋」「恋におちて」のメリル・ストリープ、「脱出」「ミッション・インポッシブル」のジョン・ヴォイト、「ソルト」「身代金」のリーヴ・シュレイバー、「オータム・イン・ニューヨーク」のヴェラ・ファーミガなど。メリル・ストリープが、悪徳政治家を演じている。
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湾岸戦争の英雄として政界入りしたレイモンド・ショー(リーヴ・シュレイバー)は、上院議員を務める母エレノア・ショー(メリル・ストリープ)の後ろ盾を受けて、大統領選で党の副大統領候補に指名されることになった。
ショーのテレビ演説を複雑な気持ちで見つめる元上官のベン・マルコ少佐(デンゼル・ワシントン)は、ショーを名誉勲章の叙勲者に推薦した一人だったが、一方で記憶にあるショーの英雄的行為が幻覚ではないかとの思いにとらわれていた。
やがてマルコの脳裏に蘇る悪夢。そこに登場するショーは、軍の仲間を平然と殺す殺人者だった。この謎の解明に乗り出したマルコは、やがて自分の体の異変に気づく。
肩に覚えのない傷跡があり、ナイフでそこをえぐってみると、カプセル状のチップが埋められていた。マルコは、昔なじみの科学者デルプ(ブルーノ・ガンツ)を訪ね、これが人間の記憶を操作し、意識をコントロールするチップだと知る。
英雄に仕立て上げたレイモンドを意のままに操り、彼を通じてアメリカの政策を自在に動かそうとする巨大組織の企みに気づいたマルコは、真相を告発すべく、副大統領候補の最有力であるジョーダン上院議員(ジョン・ヴォイト)に働き掛ける。
やがてレイモンドは副大統領に当選。その祝賀会の際、マインド・コントロールされたマルコは大統領候補の暗殺に向かう。だがレイモンドとエレノアを同時に射殺する結果に。そして政府は、映像操作で暗殺者を別の人物に仕立て上げ、真相は闇に葬られるのであった(MovieWalker)。
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シュライバーは戦争の英雄であることを売り物にホワイトハウス入り(副大統領候補)を目指す。シュライバーの母親(メリル・ストリープ)は、大富豪の上院議員であり、裏で癒着しているのは、共産国ではなく、マンチュリアン・グローブ社という名の軍需産業を含む巨大なコングロマリットである。
大企業の狙いは、金持ちボンボンの大統領を文字通りロボットのように操り、企業の利益のために対テロ戦争をデッチ上げるということのようだ。この映画は、当時のブッシュ政権に向けて作られているのは明らかのようで、大統領選挙を中心に物語が展開し、対テロ戦争の真っ最中という設定となっている。
ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)は、自身の肩にキズがあることから、ナイフで切ってみると、チップが埋め込まれていたことで、洗脳の事実に気づいたのだった。そして、シュライバーのホワイトハウス入りを阻止するため孤軍奮闘するが、周りからは狂気の沙汰のように写る。
遺伝子組み換え、皮膚に埋め込むバーコードなどの技術で、スイッチを入れるだけで性格が変わり、人格が変わると科学者は言う。科学者は、これを応用すれば記憶を埋め、また染色体の対合を組み替えることで、重荷となっている過去の障害から患者を救うという精神障害治療が可能であると主張する。チップが人類を救うというマインド・コントロールを行う秘密の研究所も登場する。
自分の息子を「(チップを使って)少し変えてもらって、危機に瀕しているこの国を救う」というメリル・ストリープの考えも恐ろしい。この映画では「リッチな会社がホワイトハウスを乗っ取る陰謀」として描いている。メリル・ストリープが、日本の女優でいえば、怖い姑を演じた野際陽子のような存在に思えてきた(笑)。
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