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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「シシリアン」(1969)再見。

 
ジャン・ギャバンアラン・ドロン、リノ・バンチュラというフランスの豪華3大俳優が出演したアンリ・ヴェルヌイユ監督のフイルム・ノワールシシリアン」(1969)を40数年ぶりに再見した。英語吹き替え版で見たので、ジャン・ギャバンが英語を話すなど、やや面食らった。
 
初めて見たのは、初公開時(1970年4月)、東京・日比谷映画
全編に流れる哀愁を帯びたエンニオ・モリコーネの音楽が耳に残る。
音楽の中で、ボヨヨン~ボヨヨンという響きの音楽は、映画のシーンに似つかわしくないのでは、というコメントを見かけるが、むしろアクセントになっていいと思う。
 
映画の冒頭では、「私が馬泥棒のことを書くとき ー 私はその非を語らない。 それは法の仕事である。 チェーホフ」という字幕がでる。これからの物語を暗示しているのか。
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刑務所に、犯罪容疑者たちが続々と車から降りてくる。その中に、ロジェ・サルテ(アラン・ドロン)もいた。所長が、犯罪容疑者を検察庁に送る前に、名前、生年月日などの書類のコピーを確認させ、サインさせるのだ。
 
「ロジェ・サルテ。1935年10月15日コルシカ生まれ。1953年フランスに移住。学校に通ったのは、11歳まで。小学校時代の教師サンティーニによれば、”笑みを絶やさぬ人好きのする子”。これが唯一の好意的な評だ。逮捕歴は14歳から」。この書類に署名するサルテ。
 
シシリアのギャングのボス、ヴィットリオ(ジャン・ギャバン)は、シシリアの島という島を買い占め、悠々と老後を暮らしたいと思っていた。「5月の蝿」と呼ばれるサルテ(アラン・ドロン)の脱獄を手伝う。監視たちを買収し、そのうちのひとりが、手錠を解除して、電動ノコギリのようなハンディタイプの機械を、サルテのポケットにそっと忍ばせて、渡す。
 
 
ここからの脱出劇は、ヴィットリオの手下たちがシームを組んで、護送車を車で取り囲み、車の前をエンストしたふりをして、ふさいでしまう。その間に、護送車の床を電動ノコで四角に切り、そこから脱出して、そのまま車の下を這いながら用意された逃走用トラックの床から入り込むという大胆なものだった。
 
サルテの妹はヴィットリオの仲間に「彼(サルテ)と話せる?」と聞くと、「何かあれば、彼から連絡するさ」(You can contact him, but ”No News is Good News”)だった。
 
ヴィットリオは、サルテがもちかけた5000万ドルの宝石の強奪話にのり、ニューヨーク・マフィアの組長トニーを仲間に引き入れる。パリで開催する宝石展に出展する世界的な宝石を、ニューヨークに空輸中飛行機ごと奪う大胆な計画を立てるのだった。
 
 
サルテはヴィットリオの息子の嫁(イリナ・デミック)と不倫関係になる。
シシリア人の家族の結束は固い。ヴィットリオはサルテを許さず、ハイジャックは成功したがサルテへの分け前はなし。
 
 
ニューヨークからパリにもどり、金を取り返すために現れたサルテの足元に、ヴィットリオは現金入りのケースを投げつける。中の現金を確かめケースを取り上げようとしたその時、ヴィットリオのコートの中から拳銃が火を噴き、サルテを射殺、いっしょにいた嫁も殺してしまう。情け無用である。
 
なにごともなかったように家に戻ったヴィットリオを待っていたのはゴフ警部(リノ・ヴァンチュラ)だった。ゴフ警部は、サルテの脱獄からハイジャックに至るまで、後手にまわり煮え湯を飲まされていた。
 
警部はヴィットリオに近づき、コートのポケットにこげた穴があいているのを見る。
拳銃をにぎったままコートの下から撃ったためだった。
 
警部は、ヴィットリオに一言「大当たりのようだ」(Another lucky break)というと、ヴィットリオは「そうかもしれん」(You could say that.)とじたばたせず、観念して「では行こうか」と警部を促すのだった。
 
ゆっくりとドアに向かう背中に孫が声をかけてくる。
「おじいちゃん、何時に帰る?」。ふりむいたおじいちゃんは「うむ。今夜は帰らないよ」とやさしく答える。
 
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ジャン・ギャバンは、名作「望郷」などあまたのフランス映画の傑作に出演したフランスの大俳優。父親は下町のミュージックホールの役者、母親は歌手、ギャバンもまた若くして芝居の道に入り、歌もダンスも筋金入りという。白髪で、太い額のシワは、まさに男の履歴書。
 
 
リノ・バンチュラの警部も、額に刻まれた深いしわがあり、苦労してきたことを物語る。苦みばしった表情が額のシワにも現れている。
 
アラン・ドロンの眉間の縦ジワ2本は当時からもはやトレードマークとなってしまった。ドロンはこの映画に出演時は34歳と最も脂の乗った時期だった。ジャン・ギャバンは65歳だったが、年齢よりも老けて見える。リノ・バンチュラは50歳だった。
 
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