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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(1942、イタリア、日本公開1979)。ヴィスコンティ監督初作品。>

 
イタリアのルキノ・ヴィスコンティ監督作品の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(原題:Ossessione (妄執)、1942、イタリア)を見た。同名タイトルの映画では、1981年版のジャック・ニコルソンジェシカ・ラング主演映画が有名だが、これまでに4度も映画化されている。
 
このイタリア版は、原作者の許諾を得ることなく映画化された違法な作品であったため、原作者のクレジットが登場しないばかりか、長いあいだ日本でも公開されず、ようやく1979年に公開されるという、いわば”幻の作品”と言われていた映画。
 
郵便配達は二度ベルを鳴らす」(映画化4度)  : ☆印の3作品鑑賞済み
制作年(国) 原題(意味) 監督・主演 備考
1939     フランス) LE DERNIER TOURNANT
(最後の曲がり角)
監督:ピェール・シュナル 主演:フェルナン・グラベ、コリンヌ・リュシエール、ミッシェル・シモン 日本未公開(未見)
1942
(イタリア)
Ossessione (妄執) 監督:ルキノ・ヴィスコンティ 主演:マッシモ・ジロッティクララ・カラマイ ヴィスコンティ
初監督作品)☆☆☆
1946
アメリカ)
THE POSTMAN ALWAYS 
RINGS TWICE

郵便配達は二度ベルを鳴らす
監督:テイ・ガーネット 主演:ラナ・ターナージョン・ガーフィールド (劇場未公開、DVD) 
☆☆☆
1981
アメリカ)
THE POSTMAN ALWAYS 
RINGS TWICE

郵便配達は二度ベルを鳴らす
監督:ボブ・ラフェルソン 主演:ジャック・ニコルソンジェシカ・ラング、ジョン・コリコス カラー作品
☆☆☆
 
タイトルの意味は、内容とは関係がない。郵便配達も郵便も一切登場しないが、郵便配達人は、自分が不審者でないということを判らせるために2度ベルを鳴らすという。二度目に真実があるということを示している。タイトルは、諸説あるようだ。

・・・
ポー河沿いのレストラン・ドガナの経営者ブラガーナ(ジュアン・デ・ランダ)の妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)は、一回りも年の違う夫との生活にへきえきし、退屈な毎日を送っていた。
 
そんなある日、一台のトラックから放り出されてドガナのカウンターを叩いた男、ジーノ(マッシモ・ジロッティ)に魅せられ、激情がわくのを感じた。一方、ジーノもジョヴァンナの官能的な眼差しに欲情をかきたてられていた。
 
ブラガーナが留守中のドガナの一室は、2人の愛欲の場となり、駆け落ちを決行するまでには時間はかからなかった。しかし、売春婦まがいの生活をしていたジョヴァンナにとって経済的に安定した今の生活を捨ててまで愛を貫く気はなく、30分もいかないうちに後戻りしてしまった。
 
一人で汽車に乗ったジーノは、イスパ(エリオ・マルクッツォ)と名乗るスペイン人の旅芸人と知り合い、気ままな旅を続けた。何も知らないブラガーナは気嫌をとる為にジョヴァンナを連れて町に来たが、そこで偶然ジーノと会い、再び彼を雇うために一緒に連れ帰ることにした。帰途、それはジーノとジョヴァンナにとって結ばれる最後のチャンスだった。
 
2人は泥酔する夫を事故死に見せかけて殺害した。警察の取り調べをうまくかわし、店を改装してジーノと平穏な日々を送るジョヴァンナだったが、ジーノは不安と悔恨に苛まれる毎日を送っていた。
 
町に出たジーノは、そこでジョヴァンナにはない清冽な魅力に富む娘アニータ(ディーア・クリスターニ)と知り合い、ジョヴァンナのもとを去り、アニータのアパートへと走った。一方、警察は、2人の噂を聞きつけてドガナを訪れたイスパの証言などから、ブラガーナの死を殺人と断定し、2人を指名手配した。
 
警察の動きを察知したジーノはジョヴァンナが売ったのだと思いドガナに行くが、ジョヴァンナのジーノに対する一途な思いを知り激しく心を揺り動かされる。ジョヴァンナはジーノの子を身ごもっていたのだ。幸福感にひたる彼女にとって、しかし目の前を走るトラックが運命を逆転するなどとは思いもよらなかった。追いこそうとしたジーノの車がトラックにぶつかり、ジョヴァンナは一瞬にして死人と化してしまったのだった(MovieWalker)。
 
・・・
愛人を使って夫を殺害するという話だが、愛人は自分が利用されているとは知らず、保険金までかけられていたことを知り、全て計画的だったことに驚き、一旦は失望するのだが・・・。戦時中のヨーロッパでの映画製作で、ファシズムへの批判が込められていたと言われている。
 
北イタリアの国道沿い、ふとっちょなブラガーナはガソリン・スタンド兼レストラン軽食堂を営んでいたが、年若い美しい妻ジョヴァンナは自分が家政婦だけの存在に嫌気がさしていた。かつて娼婦でしか生きていけなかったので、安定を求めて年の離れた男と結婚したのだった。
 
多情な彼女は行きすがりの青年ジーノに惹かれる。この男は、文無しだったが、機械修理が得意で、車を修理したりして、しばらく居座ることになったのだが・・・。
 
ジョヴァンナは特別美人ではないが、うら寂しい生活感を漂わせながら、扇情的で、多彩な表情で変化させていく演技はみどころ。
 
若い男が「シシリーは、ナポリジェノヴァなどがあっていい。高速道路も建設中だし、仕事も見つかる」と言うセリフがある。日本の終戦直後の状況を彷彿とさせるような言葉だ。日本も、1960年代には高度成長時代へと突入した。
 
ジョヴァンナは、嫌いだったダンナが亡くなり、若い男とくっついたが、旦那の残した店を維持して地元に残りたいと願うが、若い男は、「店のカウンターの後ろにはあいつ(=元ダンナ)の影がある」と嫌気がさしていた。店を売り払って、別の土地に行こうと提案するが、意見は一致しなかった。ようやく若い男もジョヴァンナを理解した矢先に、男との間の子供を身ごもっていたジョヴァンナだったが交通事故で亡くなるのだった。しかも、ダンナ殺害の容疑が若い男にかかってきたのだ。
 
70年以上も前の映画だが、ストーリー(原作)の力か、今見ても面白い。
 
■1946年版「郵便配達は二度ベルを鳴らす」記事:
 
 
☆☆☆
 
 
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