中年に差し掛かったイザベル(ジュリエット・ビノシュ)は、シングルマザーのアーティストで、自由奔放で恋愛意欲が盛ん。残りの人生の伴侶を求めてデートを繰り返すが、どの相手も一長一短があり、なかなかうまくいかない。
やはりこの年になると難しいのかを問うが、最後にようやく”大本命”登場かというエンディングがニヤリとさせられる。その最後に登場する男優は現代フランスでトップにランクされる俳優で味わいがある。
主演のジュリエット・ビノシュといえば、1996年公開の「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー助演女優賞を受賞、また世界三大映画祭のすべての女優賞を受賞した女優である。最近ではアメリカ版ゴジラ映画「GODZILLA ゴジラ」(2014)や「ゴースト・イン・ザ・シェル」(2017)などがある。
映画の評価は賛否両論の様子。
酷評の中には「ただ顔のいい”メンヘラ女”がほいほい男に騙されて都合のいい女にされているだけの話」というのもある。
メンヘラというのは、ネット用語で、誰かに愛情を向けてもらいたい、そんな自分が何より愛おしいかに気を向いてもらうためになんでもする「かまってちゃん」行為がベースにあるのだという。
そんな時に、カウンセラーが登場して、イザベルの奥底の心理や望みを言い当てるように指摘していく。だんだん、イザベルの顔が希望に満ちた表情に変わっていく。
このカウンセラーに扮しているのが、フランスを代表する名優ジェラール・ドパルデュー。ドパルデューは、イザベルの魅力に惹かれ、たんたんと語るが自分に気持ちを向けさせるための伏線となる言葉を次々と並べ立てていくのだ。
「案外身近に理想の人が現れそうだね」「え、そうですか。期待していいですか。」
そのあたりの”間接的”口説き文句が、観客にも伝わり、笑いを誘っていた。ラストシーンで、登場人物(俳優)の名前が大きく映し出されていくところは、なかなか洒落ている。ドパルデューがほんの短い時間の登場だが、おいしいところを持っていったという印象。
フランス映画を見ていると、すべての根底に「ラブ」(恋愛)があるとでも言いたそうな映画ではあった。(シングルらしいとみられる)女性がいると、必ず男が声をかけてくるというのは、イタリアの定番だが、どうもフランスもそうらしい(笑)。
ビノシュは、雰囲気としては、フランスの石田ゆり子といったところか。
監督/脚本 : クレール・ドゥニ
脚本 : クリスティーヌ・アンゴ
撮影監督 : アニエス・ゴダール
編集 : ギイ・ルコルヌ
音響 : ジャン・ポール・ミュゲル
セット・デザイン : アルノー・ドゥ・モレロン
衣装 : ジュディ・シュルーズベリー
音楽 : スチュアート・A・ステープルズ
脚本 : クリスティーヌ・アンゴ
撮影監督 : アニエス・ゴダール
編集 : ギイ・ルコルヌ
音響 : ジャン・ポール・ミュゲル
セット・デザイン : アルノー・ドゥ・モレロン
衣装 : ジュディ・シュルーズベリー
音楽 : スチュアート・A・ステープルズ