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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「愛の嵐」(1973、日本公開1975)</span>



愛の嵐」(原題:The Night Porter、イタリア)といえば、シャーロット・ランプリングと言われるほど有名だが、ようやく見ることができた。

この映画は、ルキノ・ヴィスコンティが絶賛した映画と言われ、ヴィスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)にも似た耽美的な映像である。

映画のポスターは「エマニュエル夫人」と並んで、女性が上半身はだけた写真でエロスを感じさせるものだったが、倒錯した愛などを描いて、当時はセンセーショナルだったかもしれない。R18指定。

こんな話:

ウィーンでホテルのフロントマンとしてしがなく働くマックス(ダーク・ボガート)は、ある日ホテルに宿泊した指揮者夫妻を見て驚いた。指揮者の妻を見て動揺が走った。その女性こそ、マックスが第二次世界大戦中に収容所で弄(もてあそ)び慰み者にしていたユダヤ人の少女ルチア(シャーロット・ランプリング)だったからだ。再会した二人は、まさかの運命に驚愕するものの、やがて、かつて体験した禁断の世界を呼び戻し、愛欲の日々に溺れていくことになる。

「忘れた過去が、再び蘇えった。亡霊が再び私を支配しようとしている。 私はあの声と肉体から逃げられない」とマックスは独白するのだった。

・・・
1957年、冬のウィーン。ホテルで夜番のフロント係兼ポーターとして働くマクシミリアン(マックス)(ダーク・ボガード)は、戦時中はナチス親衛隊の将校だったが、現在は素性を隠してひっそりと暮らしていた。

ある日、客としてアメリカから有名なオペラ指揮者夫妻が訪れる。
マックスは、フロントに現れた指揮者の妻を見て困惑する。

彼女、ルチアは13年前、マックスが強制収容所で弄んだユダヤ人の少女であったからだ。ルチアもまた驚きの表情を隠せなかった。

ルチアは夫に早くウィーンを発とうと促すものの、出発の直前になって何故か一人で留まることに決める。自らの出身地でもあるウィーンの街をさまよいながら、彼女は強制収容所での異常な体験を追憶していた。

収容所に入れられた当初からマックスに目をつけられ、カメラで裸体を撮影されるなど、彼の倒錯した性の玩具として扱われたこと。周囲の冷たい視線を浴びながら、着せ替え人形のように順応せざるを得なかったこと―。

一方で、弁護士のクラウス(フィリップ・ルロワ)やバレエダンサーのバートら、元ナチ将校の面々がホテルの一室に集まっていた。

彼らは戦後のナチ残党狩りを生き延びるために、ナチス時代の所業を互いにもみ消し合い、時には証人の抹殺まで行っていた。そんな彼らの会合の中で、奇しくもルチアの存在が取りざたされたのだ。

会合を盗み聞きしていたルチアは、身の危険を感じ今すぐ出発することに決めた。部屋で苛立ちながら荷造りをするルチアのもとに、マックスがやってきた。

彼はいきなりルチアを殴りつけ、詰問する。
「どうして今さら、目の前に現れたんだ!」しかしマックスは、ルチアの腕に残る囚人番号の入れ墨に、思い出したように唇を寄せる。2人は激しくもみ合ううちに、熱い息を吐き、けたたましく笑いながら交わっていた。たちまち13年間の空白は消え、ルチアとマックスは再び倒錯した愛憎の嵐へと叩き落とされたのだ・・・。


・・・

戦時中、ハンガリーの収容所で、ユダヤ人狩りのために男も女も全員が裸にされ、並ばされ、ナチ親衛隊から「名前、住所、宗教」と次々に質問を繰り返していた。そんな中に、美しい少女を見つけたマックス。多くの人間が後に殺されることになるが、ルチアだけはなんとか逃げおおせた。



ナチの親衛隊員を前にして、歌うルチア。
「何が欲しいと聞かれれば わからないと答えるだけ。いいときもあれば
悪い時もあるから 小さな幸せと言っておくわ。だって幸せすぎたら
悲しい昔が 恋しくなってしまうから♪」といった物悲しい歌詞だった。

ナチの残党が生きていた時代。かつての幻想を未だに抱いていた元・親衛隊のグループは、自分たちの所業を公にする証人の存在を恐れ、証人探しに必死だった。その残党の一人、マックスも、女(ルチア)を知らないかと聞かれるが、知らないと言い通す。

残党が人目につかないところで集まって、密談している時に、「第三帝国ナチスドイツ支配による帝国)に仕えたことを誇りに思う」という言葉が出たり、かつての総統(ヒトラー)の話になると、「ジーク・ハイル (Sieg
Heil) !」(ドイツ語の”勝利万歳”の意)と叫び忠誠を誓っていた。

やがてマックスとルチアの関係が残党に知られることとなり・・・。

ダーク・ボガードは英国人だが、軍服がよく似合う。
シャーロット・ランプリングは、ショートカットの少女時代と、13年後の現在の妖艶さと同じ人物かと思うほど、うまい。



■スタッフ
監督 : リリアーナ・カヴァーニ
製作 : ロバート・ゴードン・エドワーズ / アメディオ・パガーニ
原作 : リリアーナ・カヴァーニ / バルバラ・アルベルティ
脚本 : リリアーナ・カヴァーニ / イタロ・モスカーティ
撮影 : アルマンド・ナンヌッツィ
音楽 : ダニエレ・パリス

■キャスト
ダーク・ボガード(マックス)
シャーロット・ランプリング(ルチア)
フィリップ・ルロワ(クラウス)
イザ・ミランダ(スタイン伯爵夫人)
ガブリエル・フェルゼッティ(ハンク)

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