「天然コケッコー」(2007)を見た。
監督は「マイ・バック・ページ」「リンダ リンダ リンダ」「もらとりあむタマ子」などの山下敦弘。タイトルのコケッコーは、そのとおり、鶏の鳴き声だが、映画の最初と最後に鶏が登場する。映画の本筋とは関係ないが・・・。
原作は、くらもちふさこによる漫画。
大沢広海(ひろみ)を演じた岡田将生(まさき)は、この年(2007年)「アヒルと鴨のコインロッカー」と「天然コケッコー」で映画デビュー。その後は「告白」「悪人」「プリンセス・トヨトミ」などの映画のほか、テレビでは「リーガル・ハイ」などで活躍が続いている。ただ、出演映画が30本近くを数え、芸能界屈指のイケメン俳優と言われ、10代女子に人気があるものの、映画はヒットしないというジンクスがあるようで、映画関係者は落胆しているというのだが。
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「天然コケッコー」は、島根県浜田市周辺が舞台のモデルということで、登場人物たちも当地の方言である石見弁(いわみべん)を話す。「~じゃろうが」「(女子中学生が自分のことを)わし」「おおきに」など、広島弁に近い印象を受けた。ネットで見たら、やはりそうだった。
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田舎の学校といっても全校生徒が小学生、中学生合わせて、転校生を含めてたったの7人。日常のエピソードが淡々と描かれるだけで、ストーリー的には、なにも事件もおこらず、セリフもアドリブかと思われるほど自然で、自然の風景描写を背景に日常を切り取った感じだ。
主人公のそよ(夏帆)が初めて東京見物に行った時の新宿駅で、呆然と立ち尽くすシーンが印象的だ。周りの人達の忙しそうに動く光景にめまいすら感じるそよ。田舎とは大違い。地下鉄の行き先を示す案内図もたくさんあり、都会では当たり前の風景も、まるで別世界に映るのだ。
象徴的なシーンがある。
空一面に東京タワー、飛行機、「新宿」という看板などのイラストが流れるシーンだ。
そよも大沢も、一応地元の高校を受け合格するが、大沢は、東京の高校に行くことを決めている。大沢とそよは互いに好意を寄せていて、大沢がキスをしようとすると、そよが「これはわしの祝いなんじゃけ、わしがやる」とそよの方からキスをする。
2回ほど軽くキスをすると、大沢は「(もう)いいよ」。そよは「なして(=どうして)」というと「いいって、愛がねえよ」だった。
そよと大沢は、それぞれの道を歩むことになるが、そよが線路で転んだ時に大沢が助けたことがあったのだが「(東京に行っても)線路で転んだら、また助けてくれる?」「バレンタインの時には、またチョコレートを食べてくれる?」「わし、あんたと一緒に歩きたかった」と乙女心を覗かせていた。
大家族で、食事中に父・右田 一将が携帯で話し始めると、別の部屋に行く。
すると、そよの小さい弟が、「食事中にお父さんが電話を取って、別の部屋に行くのは浮気だよ」というのが、一家全員を笑わせた。じいさんまで笑っていた。「何笑ってんの」と母・右田以東子がオカズを運んできながら「父さんも忙しいんだから、たまには(浮気も)いいんだよ」というので、家族はまた大笑い。そこへ、父が「設計図の話だ」と戻ってきたが・・・。
高校生の制服を着たそよが、中学の校舎の中を改めて懐かしそうに眺めるシーンがいい。カメラは、教室の机や黒板など風景を移して移動。「黒板消し係」といった文字も見える。
最後にかかる音楽は「言葉は三角 こころは四角」(歌:くるり)で、歌詞は「言葉は三角で、こころは四角だな。丸い涙を拭いて ・・・ 繋いだお手手を振り払うように~」。
この映画をみるのが4回目という記事をひろちゃんが最近書いていたので、これまで何回かレンタルしようか迷っていたのだが、見ることにしたのだった。
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