fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「ピーター・セラーズの愛し方/ライフ・イズ・コメディ!」(2004)</span>



ピーター・セラーズの愛し方/ライフ・イズ・コメディ!」(原題:The Life and Death
of Peter Sellers, 2004)を見た。

ピンク・パンサー」シリーズや「博士の異常な愛情」などで知られる天才的な喜劇俳優ピーター・セラーズの波乱に満ちた生涯を映画化したコメディ・タッチの伝記ドラマ。イタリアの大女優ソフィア・ローレンを始め、女優のブリット・エクランドや、映画監督としてスタンリー・キューブリックやピーターセラーズの映画を6本制作したブレイク・エドワーズなどのそっくりさんが実名で登場するのは、映画ファンにはうれしい限り。

1980年に54歳で亡くなるまで、コメディに命をかけた天才俳優の仕事と私生活を巡る真実の姿を描き出す。セラーズが出演した映画のタイトルや、主題歌も背景に流れ面白かった。

主演は「シャイン」などのジェフリー・ラッシュ(「英国王のスピーチ」でアカデミー賞助演男優賞受賞)だが、セラーズの七変化のような自在のなりきり演技を見事に再現しているのが驚きだ。共演に「モンスター」「トリコロールに燃えて」のシャーリーズ・セロンなど。

・・・
映画のオープニングでは、自伝的映画ということで、いきなり映画「何かいいことないか子猫チャン」(原題:What's New,Pussycat?、1965)のテーマ曲(歌は、トム・ジョーンズ)が流れる。背景はアニメ・シーンだ。

1950年代初頭のロンドン。人気ラジオ番組に出演する役者ピーター・セラーズジェフリー・ラッシュ)は、妻アンと2人の子ども、そして両親とつましくもそれなりに幸せな日々を送っていた。



映画界への進出を目指すピーターだったが、ハンサムでない彼にはなかなかチャンスはめぐってこない。しかし母ペグの励ましにも支えられ、ついに映画への出演を果たすと、天性の才能を発揮し順調にキャリアを重ね、大きな成功を手にする。

ある時、大女優ソフィア・ローレンソニア・アキーノ)の相手役に選ばれたピーターは、彼女に熱を上げるようになり、家庭生活は徐々に崩壊の道を辿ることになるのだった・・・。

・・・
ピーター・セラーズは、かなり瞬間湯沸かし器のような気性の激しい性格だったようだ。自分の愛車に小さな傷があり、困った顔をしているのを見た小さな息子が、その車の傷を隠すように、白く太い線を描いてしまう。子供が、父・セラーズに車の側面を見てというのだが、セラーズはショックを受けてしまう。

セラーズが次にとった行動は、子供の模型の列車を足で踏みつけて、粉々に潰してしまったのだ。息子に向かって「(車に落書きをしたことに対して、同じように)直してやったぞ」と言い聞かせた。

セラーズは、ブレイク・エドワーズ監督とは、20年来の無二の親友のようで、20年間で6本の映画に出演。エドワーズが、落ち込んでいるセラーズに語ったのは「そういう時はどうするんだっけ」というのだが、それは、母親ペグに相談することだった。ペグは、セラーズを一流の俳優にすることを願っていたが「チャンスは与えてもらうのではなく、自分でつかむものよ」というのが口癖だった。

映画の役の面接に行った時に、元大女優らしき人が対応したが、いったんそっけなく断られたが、役に合わせて変装して、臨んだところ「そんな人を探していた」と相手に言わせたが、すぐに素性がバレてしまったりする。

ゴージャスなソフィア・ローレンが登場するシーンには、なんと「慕情」のテーマ曲が流れる。スタンリー・キューブリックを演じるのはスタンリー・トッチ(「プラダを着た悪魔」)。

博士の異常な愛情」の撮影の時に、セラーズは、監督に「3役で十分だ」というと「ひとり4役だ」というのだった。「4人目の声が見つからない」と悩む姿も印象的だった。セラーズは、母ペグと食事をするときも、母を映画の共演者とみなして、映画のセリフの練習をするほど役作りに熱心だった。



気難しいセラーズに対して、エドワーズ監督は、占い師を使って、工作をしたりする。
占い師はセラーズに「B.V.じゃない、えーと、”B.E.”(ブレイク・エドワーズの意味?)が幸運をもたらす」と伝えたのだが、新聞記事で、「ブリット・エクランド(B.E.)」の話題があり、ブリット・エクランドに近づくのだった。このあたりでは、またトム・ジョーンズの「it's not unusual」(よくあることさ)などが流れる。

ブレイク・エドワーズは、セラーズに向かって「きみはとんでもない厄介者だ。スターだからな。素直なのは、トロイ・ドナヒューくらいだ」というのも笑わせる。

ピンク・パンサー4」の後、「チャンス」(原題:Being there、1979)で、アカデミー賞にノミネートされた。翌年最後の1本の映画を残して、亡くなった。

ピーター・セラーズ自身が語っていたが、「自分は個性がない。空の容器のようなものだ」という。空っぽの容器に色々と流し込むだけだという。

ピーター・セラーズの生き写しのようなジェフリー・ラッシュの名演を堪能する映画でもあった。

監督:スティーヴン・ホプキンス
ピーター・セラーズジェフリー・ラッシュ
ブリット・エクランド/シャーリーズ・セロン
ブレイク・エドワーズジョン・リスゴー
ペグ・セラーズ/ミリアム・マーゴリーズ
モーリス・ウッドラフ(占い師)/スティーヴン・フライ
スタンリー・キューブリックスタンリー・トゥッチ
アン・セラーズ/エミリー・ワトソン
東芝エンタテインメント配給・2004年・アメリカ・イギリス合作映画・125分

☆☆☆☆

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
 「にほん映画村」に参加しています:ついでにクリック・ポン♪。