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<span itemprop="headline">映画「社長千一夜」(1967):社長シリーズ第26作。</span>



森繁久彌の社長シリーズ第26作「社長千一夜」(1967)を見た。
三木のり平フランキー堺が出演するのはシリーズでは、このあとの「続・社長千一夜」で最後となった。

1960年代後半の東京オリンピック開催後の日本の旅行・観光ブームを先取りするような映画だ。社長秘書役だった小林桂樹が開発部門に異動となり、後任には26歳の若い秘書として黒沢年男が初めて登場した。

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東京オリンピックも終了し、日本も景気が上昇、3年後の1970年に開かれる大阪万国博を目の前にして、上潮ムードいっぱいの庄司観光会社。

目下、庄司社長(森繁久彌)を中心に、社内は猛ハッスル。東京オリンピックではガッチリ儲け、次の大阪万博では、観光客誘致事業の手始めとして、木村開発部長(小林桂樹)を現地調査に派遣し、九州の天草五橋プラン、つまり大阪→別府→熊本という、新ジェット・コース完成事業に着手したのだった。



ところが、道は敷かれても、庄司社長、常務(加東大介)、開発部長(小林桂樹)、秘書(黒沢年男)たちも、その先の宿泊施設等については妙案もなく、思案するばかり。そこへ、営業部長(三木のり平)から、「大ニュースがある」と信じられない話が飛びこんできた。

自称、南米の大富豪の三世、ペケロ・ドス・荒木(フランキー堺)なる人物が現れ、天草に超近代的なホテルを建設するために来日したというのだ。

半信半疑ながらも、渡りに舟とさっそく、庄司建設会社の現地案内珍道中となる。
南米男特有の雰囲気をムンムンさせた三世という人物と会うためという口実を設けて、この時とばかり浮気を目論む庄司社長。大阪のバーのマダム、鈴子(新珠三千代)が加わり、お色気合戦が展開されていく。

一行は瀬戸内海を経て、別府で一泊、車で快適に九州を横断し、めざす天草に到着。ペケロ・ドス・荒木は、仕事もそっちのけで、女性にばかり目を奪われる始末。

そこに、荒木の親類と称する連中が押しかけ、天草ホテル建設計画を横どりしようとした。防戦する社長、常務、秘書路線の苦心を後目に、当の御曹子、荒木は女の姿ばかりが気になる。

そのうちに南米の富豪の三世というのもホラだという噂も出る始末。
一方、社長は楽しみにしていた浮気も、つぎつぎに失敗。ホテル建設計画も、もはやこれまでと、皆で帰京の相談をしているところへ、青天のへきれき、ペケロ・ドス・荒木が事業計画書と仮調印書を、皆の前に差し出した。一同は来るべき万国博を夢見るのであった。

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ブラジルの日系3世といういかにもインチキ臭い男を演じるのはいつものようにフランキー堺。気に入った女性を見つけるや、プロポーズ。実は、三十代も後半で、日本には仕事のことは二の次で嫁探しに来たのだった。別府で、オープンカーでドライブしたいと言い出す。


営業部長の三木のり平が「ポンコツのオープンカーしかない」というと、ブラジル三世は「”ポン”でも”コツ”でも、オープンカーならいい」ということで借りてくる。三木のり平は、「パッパと案内します。セニョリータ専門にバンバンと行きましょう」と例の調子で、社長に了解をとるのだが・・・。

インチキと思われたブラジル三世は、めでたく結婚にゴールインしたことから、庄司観光の計画に2,000万ドル(70億円)の資金を投入することになった。90分程度の短い映画だが、最後の5分間で、めでたしめでたしとなるのはお決まりのパターンのようだ。


マダムを演じる新珠三千代は、今回がシリーズ一のお色気と言われているようで「会いたかったわ」と庄司社長に迫るシーンなどは、ゾクゾクとさせ圧巻。いい雰囲気になったところで、必ず邪魔が入る。気が利かない秘書と営業部長が大変です、と言って押しかけてくるのだ。

仕事優先の社長の予定変更の行動に、マダムも「私、帰るわ」といういつものパターン。慣れない秘書の役につき、早とちりや、その場の空気を読めない黒沢年男には、社長でなくともイラつく。前秘書の小林桂樹が、秘書の心得を話すから、遊びに来なさいというので、家に黒沢を招くと、いつまでも酒を飲み一向に帰る気配なし。さすがの奥さんや、小林はあっけにとられ、遠まわしにいうのだが、効き目なし。雰囲気、場を読めない、堅物の若い社員を演じていた。

このシリーズも、ここまでワンパターンになると、さすがというべきか。マンネリを通り越して、安心してみていられる面白さがある。



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