映画「サラリーマン忠臣蔵」(1960)を見た。「サラリーマン忠臣蔵」は森繁久彌が主演の社長シリーズの第8作目で、東宝社長シリーズは、1956年の「へそくり社長」を第1作として、1970年の第33作「続・社長学ABC」まで続いた。
1950年代から60年代にかけての日本の映画の全盛期の頃の作品で、東宝の豪華俳優陣が総出演で、病みつきになりそうなくらい、見応えがあった。
本作は「東宝サラリーマン映画100本記念作品」と銘打って作られた作品で出演俳優も、レギュラーの森繁久彌、小林桂樹、加藤大介らに加えて、東野英治郎、志村喬、三船敏郎、池部良、宝田明、有島一郎など大物俳優も登場する。女優陣では、新珠三千代、団令子の他、OL役の司葉子、バーのマダムの草笛光子、エレベーターガー・堀部安子の中島そのみなどが出演、味わいがあった。
”忠臣蔵”をサラリーマン社会に置き換えたもので、会社名が赤穂産業で、社長は浅野卓也、赤穂をいじめるのが丸菱銀行頭取の吉良剛之介と、名前もそっくり拝借。
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丸菱財閥では、同財閥で招待したアメリカ経済使節団の到着を明後日に控え、その準備に追われていた。本社では足利直義会長(柳永二郎)を中心に、赤穂産業社長・浅野卓也(池部良)、若狭金属社長・桃井和雄(三船敏郎)、丸菱銀行頭取・吉良剛之介(東野英治郎)ら18社の社長が集まっていた。
その席上、接待委員長・吉良は使節団に兜をプレゼントしようと提案したが、桃井に兜を「ニセモノ」だと言われて険悪な雰囲気となるが、その場は桃井の親友である浅野のとりなしで治まった。
その夜、浅野はヨーロッパに出張する大石良雄専務(森繁久彌)の壮行会に出席した。お開き後、大石は浅野に芸者・加代治との結婚を勧めた。翌日、若狭の角川本蔵専務(志村喬)は桃井が吉良と口論したことを知って恐れ、吉良と彼の秘書・伴内耕一(山茶花 究)に大判をプレゼントをし、吉良のご機嫌をとった。
だがその直後、吉良は日頃から妬んでいる浅野(かつて吉良は赤穂産業の社長の座を浅野と争って敗れた)が、吉良の贔屓の芸者加代治(新珠三千代)といちゃついていたのを目撃し、すっかり浅野を憎んだ。
そして翌日、使節団が到着した。レセプションの開始直前、吉良は遅れてやって来た浅野と松のロビーで鉢合わせとなり、浅野に罵詈雑言を浴びせた。
自分のことばかりか父である先代社長のことまで侮辱された浅野は激怒し、吉良を殴りつけてしまう。その場は角川のとりなしで治まったが、浅野は接待委員を解任され、足利会長から謹慎を命じられた。
ショックを受けた浅野は気晴らしに自動車旅行に出かけたが、そのまま事故死してしまった。これを知り、大石はすぐ帰国した。
本社では後任の社長人事が議論され、吉良が後任の社長に決まった。
小野寺部長や(加藤大介)、吉田課長(宮田洋容)は左遷、一方で大野久兵衛常務(有島一郎)は自分の安泰を図ろうと吉良側に寝返り、道楽息子・定五郎(三橋達也)を入社させるなど、会社はバラバラになってきた。そんな中、大石はバー「祇園」に入り浸りになり、社員たちは大石への不信感を募らせる。
やがて吉良の横暴は激しくなり、赤穂産業が創業時から進めてきたアーマン商会との契約を破棄し、更には大石の息子・力(夏木陽介)と定五郎の妹・小奈美(団令子)との縁談も妨害された。
流石の大石も怒り、アーマン商会との契約を個人契約に切り替え、赤穂産業から分離し、新会社を建てることにした。吉良新社長の披露の場となる宴会の席で、大石の反撃が始まった・・・。
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東野英治郎が演じる丸菱銀行頭取・吉良剛之介がとにかく悪い奴で、会社を乗っ取り、社長になってからは、亡くなった創業者やその息子の前社長に近い人物を左遷したり、役員を入れ替えるなど、独断専行の傍若無人ぶりを見せる。
社員は、戦々恐々だが、本来No.2の専務である大石も、ゆったり構えて、吉良の言うなりになっている姿を見て、不満を募らせていた。小野寺部長(加藤大介)、吉田課長(宮田洋容)らは辞表を持って、大石専務に「本心を聞かせてほしい」と談判に行くが、辞表提出は、吉良の就任宴会にだけは出てからにしてくれというのだった。
いよいよクライマックスの吉良新社長歓迎会の席。
大石専務(森繁久彌)は、赤穂浪士四十七士の剣舞を吉良(東野英治郎)に見せつけ刀を突きつけた上で、小野寺十三郎・営業部長(加東大介)、寺岡平太郎専務付き運転手(小林桂樹)らの辞表をとりまとめて吉良の膳の上に叩きつける。
「新会社を設立します」という大石の啖呵に、「君らごときに何ができる」と言い捨てる吉良。
「それは見てからのお楽しみだ」と言い返した大石は、小野寺ら、そして先代社長と恋仲であった芸者加代次(新珠三千代)と宴会の部屋を勇ましく出て行く。
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