幽霊が登場するラブストーリーということで、関心も薄く、長らく遠ざけてきた。テレビで放送されたこともあったが、陶芸作業で、粘土を両手でこねるシーンなどは断片的には見ていた。
「ダーティ・ダンシング」(1987)は公開当時試写会で見ていたが、パトリック・スウェイジが踊りだけはできるが、ごっついおっさんという印象で、主演には役不足ではと思って敬遠していたのだったが、先日の「泣かせる映画」の投票で、タイトルが挙がっていたので、”重い腰”を上げた。
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映画はスリラー、ホラー、ラブストーリーをミックスしたような内容だったのが意外だった。死者が、ゴースト(幽霊)になると、一般の人には見えないが、ゴースト同士では話ができるという世界。ゴーストの中でも、現実のモノを動かしたりできる能力も
訓練次第(ベテラン・ゴースト?によると、へそに下に力を集中させるなど)でできるようだ。死者と会話をしたといっても警察等は信じてくれない。亡くなった本人しか知りえないことを聞いたといっても証明できない。
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モリーはサムと暮らして平和ではあったが、サムはいつかはこの幸福が崩れるのではないかという不安がなんとなくあった。モリーが「愛している」という時は、いつも「同じく(Ditto)」と答えていた。(この「同じく」という言葉が最後に効いてくる)。
そのとき、暗がりから一人の暴漢がサムを襲った。もみあいになり暴漢が持っていた拳銃が発砲された。暴漢は逃げ、サムは諦めて戻ると、モリーが血だらけの自分を抱いていた。サムは死んでゴーストになってしまったのだった。
ある日、サムは自分を殺した男を目撃し、その男がウィリー・ロペス(リック・アビルス)という名であることを知るが、それを伝える術もなく途方に暮れている所に、霊媒師オダ・メイ・ブラウン(ウーピー・ゴールドバーグ)に出会う。
オダ・メイは詐欺まがいの行為で客の金を巻き上げるような女だったが、サムの言葉に反応した。そこでサムは彼女を説得し、モリーとの伝令役を引き受けてもらう。
ウィリーの家に向かうカールの後をつけたサムはそこで、カールが、不当な金を銀行を経由させることで正当な金に見せかけるマネー・ロンダリングに関わっている事をサムに気づかれたと思い、ウィリーと共謀して自分を殺したことを知る。
そしてサムがオダ・メイの手によってカールの秘密口座を解約したことで、サムが生きているのではないかと疑い始めたカールは、ウィリーと共に、モリーに襲いかかるが、サムとオダ・メイの助けによって救われ、カールはガラス窓に突っ込み死ぬ。
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映画のオープニングは、画面いっぱいに「GHOST」の文字。続いて、何やら廃墟のような煤(すす)けた壊された建物のような場所を背景に、出演者の名前が大きく現れる。音楽は、なんとモーリス・ジャール(「アラビアのロレンス」「ドクトルジバゴ」など)。主題歌は、ライチャス・ブラザーズの「アンチェインド・メロディ」(もともとは、1955年の映画「Unchained」(日本未公開)の主題歌だった。作曲はアレックス・ノース)。
ウーピー・ゴールドバーグが、怪しいインチキ占い師を演じてアカデミー助演女優賞を受賞。作品自体もアカデミー作品賞、編集賞、作曲賞にノミネートされたが、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」が大半の賞を獲ったため、脚本賞(ブルース・ジョエル・ルービン)受賞にとどまった。
独特の世界を描いているが、ファンタジーとしてみれば見どころがあった。
サムとモリーの会話で、「”ニューヨーク・タイムズ”の芸術担当は、芸術家になれなかった落ちこぼれの社員だ」「ニューヨーク・タイムズといっても、(読者が読むのは)スポーツ欄だけだ」「それでも読者数は800万部よ」と言ったセリフが面白い。
亡くなったサムの言葉をモリーに伝える仲介の役目を担っているのが占い師(ウッピー・ゴールドバーグ)だが、サムしか知りえない、モリーの服装、イヤリング、「同じく」といった言葉で、サムがゴーストとなって身近にいるということをモリーが理解する、といった脚本が面白い。
1990年前後というと、日本のバブルも下火になってはいたが、日本がアメリカのランドマークとも言うべきビル(ロックフェラーセンターなど)や映画会社(コロンビアなど)の買い占めで話題になっていた時期。銀行員同士の会話で「日本人(コバヤシの一行)にはどんなジョークが受けるのかな?」といった会話も飛び出していた。
主役のデミ・ムーアは、この映画の当時、28歳で「ダイ・ハード」でスターになったブルース・ウィリスの妻で、もっとも充実した時期だったかもしれない。その後、ロバート・レッドフォードと共演した「幸福の条件」(1993)や海軍特殊部隊に志願したタフな訓練生を演じた「G.I.ジェーン」(1997)などが印象に残る。
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