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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「0.5ミリ」(2014):3時間16分は長い!

 
安藤サクラ主演の「0.5ミリ」〈2014)を見た。
生活のため町で見かけた訳ありの老人の家に押しかけ身の回りの世話をするヘルパーと、彼女と触れ合ううちに固く閉ざした心を開き生の輝きを取り戻していく老人たちを描いた人間ドラマ。
 
デビュー作「カケラ」で満たされない女心を描いた安藤桃子監督が、8年におよぶ介護体験に着想を得た自身の小説を映画化した。
 
癖の強い老人たちと真正面からぶつかっていくヘルパーを「かぞくのくに」で第86回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を、「愛と誠」他で同助演女優賞のダブル受賞を果たした実妹安藤サクラが演じている。
 
また、安藤サクラは、今年の日本アカデミー賞で、「0.5ミリ」の演技により主演女優賞にノミネートされた。
 
 
今年1月に見た「百円の恋」は、安藤サクラがぐーたら生活から抜け出して、ボクシングで生きる希望を見出すところで感動したが、「0.5ミリ」は、安藤サクラの素晴らしさは相変わらずだが、映画としては、196分(3時間16分)というのが長すぎる。
 
全体として2時間くらいにコンパクトにできなかったのか悔やまれる。
いたずらに長い感じがした。見ている方が辛い。
 
原作者でもある安藤桃子監督が、初の姉妹タッグということになる。
姉の安藤桃子は、女優としての安藤サクラのファンといい、自身の体験を丁寧に描こうとしたのか、いろいろなエピソードを散りばめ、結果、3時間16分となってしまったようだが、何を言いたいのか、印象がぼけてしまったようだ。
 
 
老人介護をテーマにした出だしは面白かったが、後半では、押しかけ介護ヘルパー先の老人(津川雅彦)に、海軍に参加した体験を延々と語らせて、「今だから言えるが、戦争くらい馬鹿らしいことはない。亡くなった方がお気の毒です」と3回くらい繰り返す。「何のために(戦争を)やっているのか、わからない。答えがないんだ。根拠がないんですから」などと、当然のようなことを理屈っぽく、カメラに向かって何度も語る。「チャップリンの独裁者」のチャップリンのメッセージのよう。
 
タイトルの「0.5ミリ」について言及するシーンがある。
津川扮する老人のセリフで「ひとりひとりの心は、0.5ミリ程度の違いがある。これが動いた時に革命がある」と言ったセリフだ。
 
映画の導入部は、老人を介護するヘルパーの苦労(愛用のコップを尿瓶に使う羽目になったなど)や、「冥土の土産に添い寝をしてほしい」と家族から頼まれたりと、大変さが描かれ引き込まれたが、街中で知り合った老人(それも万引きしたり、エロ本を盗み見したりする老人ばかり)を半ば脅迫するようにして、押しかけてヘルパーとなる強引さが描かれる。そうしたエピソードも長々と続くので、見ている方が疲れてくる。
 
 
監督が安藤サクラの姉であり、安藤サクラを綺麗に撮るという意図が見え隠れしてしまう。「百円の恋」では、監督にしごかれた、と本音で語っていたように体当たりだったが、「0.5ミリ」では、安藤サクラが、優等生のように捉えられ、いい人過ぎて毒がないのが気にかかる。
 
 
★★ 
 
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