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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「現金(げんなま)に体を張れ」(1956)S.キューブリック監督のハリウッド第1作。


現金(げんなま)に体を張れ」(原題:The
Killing、1956)を見た。モノクロ。90分。予想を超える、スリリングな展開に釘付けになるほどの面白さ!60年前の映画のほうが面白いとは・・・! 
 
スタンリー・キューブリック監督ハリウッド映画第1作となるアメリカ映画。音楽もダイナミックでサスペンスを盛り上げている。
 
競馬場の売上など総額200万ドルもの大金を奪うという犯罪計画を立案した主人公が綿密な計画から実行、破綻するまでを時間経過とともに一種のドキュメンタリータッチで描いたフィルム・ノワールの1作である。
 
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タイトルだけ見るとフランス・イタリアの合作「現金に手を出すな」(1954)と混同しがちだが、あちらはジャン・ギャバン主演のフレンチ・フイルム・ノワール(フランス犯罪映画)の傑作。
 
現金に体を張れ」も、アメリカ製だが、脚本とスピーディな展開がおもしろい。
後の犯罪映画に多くの影響を与えているような印象を受けた。例えば、犯罪に加担する人間は、全体のパーツであり、役割を演じてもらうだけで、それをコントロール、実行する人間だけが全体像を掴んでいるというのは、「華麗なる賭け」(1968)がそうだった。
 
現金に体を張れ」のラストシーンは、「地下室のメロディー」(1963)でも見られる似たようなエンディングで、あっと驚かされる。
 
この映画の特徴のひとつは、時間経過の描き方。
実行する時間のリアルタイムのシーンから、過去にさかのぼり、登場人物の経過が、何度も繰り返して描かれ、やがて当日に集結していくという脚本の妙味。今ではよく使われる手法だが、見ている側にはわかりやすく、引き込まれる。
 
 
人生に問題を抱える男達が、5年の刑期を終えて刑務所から出たばかりのジョニー・クレイ(スターリング・ヘイドン)が立てた競馬場売上金強盗計画の仲間にくわわる。この中には3,000ドルの借金を抱えている警察官も含まれていた。
 
競馬の重賞レースの当日。
第七競走は、当日最大のレースで、賞金10万ドル「ランズダウン・ステークス(賞)」(1,600メートル)があり、この競争に出馬している一番人気馬、レッド・ライトニングを、仲間が狙撃して、混乱状態を作り、その間に、競馬場の売上を奪うというもの。
 
当日に競馬場内で、カウンターバーで騒ぎを起こして警察官を引き付ける”暴れる役”、射撃の名手で、1番人気馬を、ライフルで狙撃するという”ライフル男”、調達したライフルをバス停車場のコインロッカーから運び出す”運び屋”、妻から能無しと小馬鹿にされ、「大金」があれば振り向くと思い、仲間に加わる男など、さまざまな人間模様も描かれていく。
 
ジョニーの計画は確実に成功するものと思われたが、チャッピーのような小さな犬がきっかけで、事態は予期せぬ方向に・・・。
 
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毎日、胃が痛い小心男のジョージは、結婚5年の妻シェリー(マリー・ウィンザーからは、相手にされず、腐っていた。そんなとき、ジョージに、数十万ドルという報酬の話があった。
 
妻は、いかにも性悪女といった風情で、若い愛人ヴァルがいて、ダンナには「結婚は気の遠くなるような賭け」とうそぶくが、大金がはいる話を漏らすと、途端に態度が変わってきた。妻は妻で、愛人ヴァルとその計画で得た全てのお金を奪い取ろうという魂胆が頭をよぎる。そして愛人にそのことを話してしまう。
 
セリフのスピードも、物語の進行もテンポがよく、1時間30分で、コンパクトにまとまっていて見応え充分だった。
 

主演のスターリング・ヘイドンは、「ゴッドファーザー」(1972)で、貫禄たっぷりにニューヨーク市警の汚職警官(警部)を演じて、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)を小僧扱いしていたが、結局殺され役だった。
 
1970年11月7日、テレビ朝日土曜映画劇場」で「華麗なる完全犯罪 競馬場現金強奪作戦」の題名でTV放送されたことがある。アメリカの黒人に対する人種差別問題などもさりげなく描いていた。
 
次は、未見の「現金に手を出すな」(テレビで見ているかもしれないが忘れている)に手を出すことにしたい。
 
原題:The Killing
1956年 アメリカ映画
製作:ジェームス・B・ハリス
出演:スターリング・ヘイドン、コリーン・グレイ、ヴィンセント・エドワーズ
撮影:ルシエン・バラード
編集:ベティ・ステインバーグ


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