「ロング・グッドバイ」（1973）が公開された当時、この映画は知っていたが、「M★A★S★H」（1970）や「You」（1970）でのインパクトが強かったエリオット・グールドが私立探偵？と、どうしてもハンフリー・ボガートのクールなイメージと違うのではという先入観で見逃していたのだった。
これも、ツタ○の「発掘良品」シリーズ（第６弾）の中の作品に含まれていたもの。
ハードボイルド作家で名高いレイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵フィリップ・マーロウが登場する作品の一つ「長いお別れ」の映画化。
マーロウ（エリオット・グールド）は、真夜中に腹をすかせた猫に起こされてしまった。真夜中の3時、あいにくペットフードを切らせていたマーロウはオールナイトのスーパー・マーケットに買い物に出た。
いつものブランドの缶詰がなく、類似品を購入するが、買ってきたペットフードが口にあわないのか、猫は外に出て入ってしまった。この猫は贅沢だな。好みでないのは目もくれない（笑）。
マーロウが住むアパートの隣には、ヨガなどで瞑想にふける若い女性たちが、素っ裸で、日中からパーティをしたりしているグループが住んでいた。猫が出て行ってしまうのと、入れ代わりに友人のハリー（デイヴィッド・アーキン）が入ってきた。
夫婦喧嘩の末、家を飛び出し、頭を冷やしにメキシコに行くというハリーのためにマーロウは、メキシコ国境の町まで車で出かけた。
翌朝、帰ってきたマーロウを待っていたのはハリーの妻の殺人事件であった。ハリーを匿っていると疑われたマーロウは警察にしょっぴかれたが、ハリーがメキシコのある町で自殺したため、すぐ釈放された。
翌日、マーロウの元に高名な作家ウエイド（スターリング・ヘイドン）の妻アイリーンから、行方不明の夫を捜してほしいと依頼があった。早速ウエイド家を訪ねたマーロウは、夫人から「助けて下さい。ドクターＶ」というメモを見せられ調査に乗り出した。
そして“ドクターＶ”が神経科のバリンジャー博士であることを突き止めた。作家として自信を失ったウエイドは、バリンジャーの病院で酒びたりの毎日を送っていたのだ。
アパートに帰ったマーロウはいきなり大勢のやくざに取り囲まれた。彼らはハリーの持ち逃げした大金をマーロウが隠していると信じているのだ。彼が1味の車を尾行すると、車はウエイド家に入っていった。
事件の複雑な展開に行き詰まりを感じたマーロウは、鍵であるハリーの自殺したメキシコの田舎町オタトクランを訪れたが、何も握めなかった。再度ウエイド家を訪れたとき、ウエイドは隣人を集めてパーティを開いていた。
そして、診察科のことでバリンジャーとトラブルを起こしたウエイドは再び姿を消してしまった。35万ドルの行方を追っているやくざのマーティ（マーク・ライデル）はマーロウを捕らえ、拷問をしてもその行方を聞き出そうとしていた。
そのとき、マーティに謎の電話がかかり、金のありかを告げた。マーティから解放されて道路に出たマーロウの前をウエイド夫人の乗った車が走り抜けた。
追跡しようとしたとき車にはねられた彼は、病院にかつぎこまれたが、幸いけがはたいしたことなく、その足てウエイド家に行ってみるが、すでに引っ越した後だった。
ウエイド夫人の暗躍にハリーの存在を感じたマーロウは、再度メキシコに飛び、検死官に5千ドルの賄賂を握らせた。やはり偽装自殺だった・・・（HPより)。
衝撃的なラストシーンのあとの並木道。
ジープに乗ったウエイド夫人とすれ違ったマーロウは無言のままだった。
オモチャのハーモニカを吹いて、マーロウはおどけながら歩いていった。
何やら「第三の男」のオマージュのようだった。
マーロウ（エリオット・グールド）は、とにかくタバコを離さない。
タバコの本数を数えた熱心なファンもいるようで、この映画では、ほぼ３分に１度タバコを吸っているシーンが登場するという。映画の中で、３８本吸っていると数えた人もいるようだ。ご苦労様です（笑）。
「カサブランカ」のハンフリー・ボガートにしても「仁義」のアラン・ドロンにしても、当時は今のように喫煙に対する抵抗感がなく、吸い方がむしろかっこいいと思われていた時代だった。映画にあこがれて、マネをして、吸っている人も、周りに確かにいた。
グールドのマーロウも悪くはなかった。
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