「清須会議」(2013)は、三谷幸喜作品でありながら、見逃していたが、ようやく見ることができた。三谷監督が17年ぶりに手がけた小説を自らメガホンを握り、映画化した。歴史の一点のみを描いて、2時間以上飽きさせない娯楽映画に仕立ててしまう三谷監督には恐れ入る。
出演者は、三谷作品の常連の他、初めて出演する女優、俳優も含めてオールスター映画的な賑やかさだ。”猿”と呼ばれた羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)を演じた大泉洋を中心に物語が描かれている。この大泉洋、最近は大活躍だ。
ストーリーは、織田信長亡き後、その家臣たちが集まり、後継者問題や領地の配分を決めた、5日間に及ぶ清須会議の顛末を描いている。日本史上、初めて合議によって歴史が動いたとされる、同会議に参加した人々、それぞれの思惑など、入り乱れる複雑な心情が明らかになる。
三谷監督にとっては初の時代劇。
歴史に詳しい人は、人間関係もすぐに理解できるだろうが、まず登場人物の相関図をある程度、頭に入れておかないと、戸惑うかも知れない。織田信長が本能寺の変によって討たれ、その後の織田家の跡目を決めるため織田の家来達が清洲の地に一堂に会し会議をしたときのごたごたを描いている。
見所は、跡目をめぐって対立するグループの駆け引きや、影響力のある人物の取り込み、裏切りなどで、登場人物像がかなり漫画的にわかりやすく描かれている。
秀吉と対立する柴田勝家を演じる役所広司は、黒沢映画における三船のように堂々とした出で立ち。それに対して、大泉洋演じる秀吉といえば、表面的には、お調子者で軽薄そうな存在だが、要所要所を押さえていて「てっぺん(天下統一)を目指すんや」と、野心家ぶりを見せ、歴史の流れを自身に引き寄せている。小日向文世、佐藤浩市、寺島進、妻不木聡、松山ケンイチ、篠井英介などが出演。
女優陣では、寧を演じる中谷美紀の、ひょっとこのような踊りが、絵になっていて、うまいのが印象的だ。お市様を演じる鈴木京香は、秀吉を不倶戴天の敵として、勝家に、秀吉を始末するように頼むのだが、お市に好意を寄せている勝家は、お市が余りにも顔を近づけてくるので、汗だくだくで、思わず後ずさりするところがおかしい。
秀吉が最も憎いと思っている勝家とお市が祝言を挙げることが、秀吉にとっては、最も大きなボディブローとなる。松姫を演じる剛力彩芽は、演技的に見劣りがする。ドラマ、映画で主演も演じるほどの天海祐希はほんのわずかな出番でもったいない。
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