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<span itemprop="headline">映画「HAZARD ハザード」(2002制作、2006公開)</span>


 
女子高生の数十人が手をつなぎあい一斉に駅のプラットフォームから線路に飛びこむ衝撃的な「自殺サークル」の奇才・園子温監督が、当時(製作時2002年)まだ無名に近かったオダギリ ジョーを主演に迎えた映画「HAZARD ハザード」(制作2002年、公開2006)を見た。
 
手持ちカメラで撮影しているようで、ドキュメンタリー・タッチで、画面・画質も意図的なのか、荒っぽい。夜でも照明などを使わず、そのまま。低予算だったのだろう。ニューヨークの撮影は、ゲリラ的な撮影もあったようで、リアリティはあった。
 
園子温監督作品は、「愛のむきだし」を見て以来、「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「自殺サークル」「紀子の食卓」「恋の罪」「ちゃんと伝える」「や最近の「地獄でなぜ悪い」などを見てきたが、どれも一筋縄ではいかない作品が多い。
 
その監督が描く映画は、登場する人物の奥底に潜む狂気や暴力性を暴き出すところにあるようだ。エロ、グロ、バイオレンスは決して肯定できないが、暗部をむき出しにすることで、人間の表と裏の顔を白日のもとに晒しているようだ。「恋の扉」では、昼は、大学の女教師あるいは女刑事でありながら、夜は、娼婦のような別の顔を持つ人物を描いていた。
 
冷たい熱帯魚」のでんでんが演じる金魚屋の経営者の顔は表の顔で、その裏には殺人鬼の顔があった。人体を切り刻み、焼いて、殺した人物の名前を呼んで「○○さん、さようなら」といいながら、骨を地面に埋めるのだ。
 
・・・
HAZARD」は、日本の20歳の大学生・シン(オダギリ ジョー)が、平凡な生活に耐えられず、”眠いニッポン”を脱出して、図書館で目にした本のタイトル「HAZARD in
New York」に惹かれて、「ハザード(危険)」を求めて単身ニューヨークに渡り、そこで、ギャング仲間と繰り広げる、それこそ危険きわまりないストーリーだ。
 

 
一種の青春映画と言えるが、ニューヨークのギャング生活をしているハーフの男リーを演じるジェイ・ウエストが異彩を放っている。スラングの英語で喋りまくり、強盗を繰り返す。このウエストという役者、日本語のほか英語、フランス語も操るという素顔を持つといい、その一端を、エネルギッシュに見せている。
 
銃を構えて、店に強盗に入る格好は、あの「パルプ・フィクション」のギャングの世界を彷彿とさせる。
 
この映画には、幼い女の子供の舌足らずなナレーションが入る。
~眠い国、ニッポン。でも、眠れないニッポン。
シンは思った。幸せで安全なニッポン。退屈でしみたれたニッポン。
足のかかとがむず痒いニッポン。ニッポンにはバカな要素がすべてつまっている。
オレは漂流していた。漂流していたら、たまたまこの島(アメリカ)に着いた。
オレたちはアメリカ人だ。
 
いつもシンは夢を追っていた。ときどき滑走路が遠のく気がする。
彼はずっと飛び出そうとしている。だが、彼には翼がない。ずっと滑走路を走っている。そんな夢だ。だが、シンは思った。3人なら歩ける。仲間たちと飛ぶんだ。~
 
・・・
シンというキャラクターは、監督自身の実体験か、分身か・・・。
メッセージとして園監督の一部をシンに投影させているといえそうだ。
 
ラストで、主人公シンは、帰国して、東京・渋谷駅の前に立つ。
不良グループが絡んでくるが、シンは、果たしてアメリカで今後の行き方や進むべきみちについて、何を学んだのか。眠たいニッポンでどう生きていくのか。
 
・・・
その監督によると、オダギリ・ジョーは壁にぶち当たると、この映画を何度も見るのだとか。オダギリ・ジョーにとっては、この映画は、思い入れがある映画のようだ。
 
 
★★
 
 
 
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