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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「ウォルト・ディズニーの約束」(2013)</span>


 
ウォルト・ディズニーの約束」(原題:Saving Mr. Banks、2013)を観た。
メリー・ポピンズ」(1964)という1本の映画を作り上げるまでの経緯を縦軸に、原作者のP. L. トラヴァースが本に込めた少女時代の思い出、とりわけ8歳のときに亡くなった父親への憧憬が、横軸として描かれている。
 
ウォルト・ディズニーを演じるトム・ハンクスとパメラ・トラヴァースを演じるエマ・トンプソンが真剣勝負で迫力のあるドラマにしている。後半、何度か泣かされるシーンがある。やや目をくしてしまったのは、何年ぶりか(笑)。
 
 
メリー・ポピンズ」が映画化されるまでに原作者との交渉が20年間にも及んだことにまず驚かされた。一代でディズニー王国を築いたウォルト・ディズニーが、ディズニーランドに本人が案内するというのを渋ったり、原作者トラヴァースの駄々のこね方、気難しさは天下一品で、尋常ではないと思ったが、やがて幼いころのトラヴァースの生き様が描かれ、ディズニーの生い立ちとも共通するところがあり、全く折り合わなかった話し合いにも糸口が見出されていく。
 
メリー・ポピンズ」が公開されて50周年の今年、公開当時ミュージカル映画として話題を呼んだが、今では忘れ去られた存在かもしれないが、「ウォルト・ディズニーの約束」を機に、見直されることになるだろう。
 
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物語は1961年にスタート。ウォルト・ディズニートム・ハンクス)は、どうしても作りたい映画の原作者の許諾がとれず思い悩んでいた。その企画を思い立ったのは、1940年代の始めごろ。娘のダイアンが読む「メリー・ポピンズ」の原作本に自身も魅せられたウォルトは、愛娘に「これをパパが映画にするよ」と約束するのだった。
 
ところが、原作者のP・L(パメラ・リンドン)・トラヴァース(エマ・トンプソン)は、頑なに首を縦に振らない。一方のウォルトも決して諦めず、いつしか20年近い歳月が過ぎ去っていた。
 
そうしたなか、ウォルトに最大のチャンスが訪れる。
本の売れ行きが落ち始め、経済的に苦しくなってきたトラヴァースが話し合いに応じるという返事を寄こしたのだ。かくしてイギリスに暮らすトラヴァースが、2週間の滞在予定でロサンゼルスに到着。これで道が開けると思ったウォルトだが、映画化に乗り気でないトラヴァースは、用意された脚本などの映画化に向けた準備資料に次々と難癖を付け始める。
 
いくら自身の作品に愛着が強いといっても、注文があまりにも多く、妥協はしないので、さすがのディズニーも、手こずって困惑の連続。
 
アニメやミュージカルはノー、歌曲もノー、主演に予定していたディック・ヴァン・ダイクもノー、赤の色を使うのもノー、と”ダメ出し”のオンパレード。
 
はたして、ウォルト・ディズニーは映画化にこぎつけることができるのか。
 
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ウォルト・ディズニーは、ニュース動画や写真などでしか知らないが、ディズニー役のトム・ハンクスは、まるでディズニーに乗り移ったような印象を受ける。写真は、左がウォルト本人。
 
トラヴァース役のエマ・トンプソンは、とにかく気難しく、生い立ちから来るのか、頑固そのもので、自分の考えはテコでも曲げない性格。
唯一、打ち解けたのが、ロサンゼルスでのディスニー側のリムジンの運転手ラルフ(ポール・ジアマッティ)だった。
 
このラルフは、天候の話をトラヴァースにするが、そのことがきっかけで、なぜ天候を気にするのかを知って、心を通わせることになる。ポール・ジアマッティがなかなかいい味を出していた。曲に合わせて、ラルフが、トラヴァースと踊るシーンがあるが、このあたりは、ウォルトの秘書もまさかの展開を目の当たりにして、歓喜の声をあげて、ウォルトに伝えに行くのだが・・・。
 
トム・ハンクスは米映画界では、押しも押されもしないトップスターだが、エマ・トンプソンも負けてはいない。喜怒哀楽の豊かな表情が素晴らしい。
 
エマ・トンプソンの映画は、これまでに大統領候補夫人を演じた「パーフェクト・カップル」(原題:Primary Colors)、「主人公は僕だった」(原題: Stranger Than Fiction)の作家、「新しい人生のはじめかた」(原題Last Chance Harvey)などが印象に残るが「ウォルト・ディズニーの約束」は間違いなく代表作の1本になるだろう。
 
映画のエンディングの後も、席を立たないほうがいいだろう。
 
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