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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

三谷幸喜ドラマ「大空港2013」(Wowow):”ワンシーン・ワンカット”第2弾。

 
こんなにわくわくさせる面白いドラマも珍しい。
三谷幸喜の脚本・監督による”完全ワンシーンワンカット”のドラマの第2弾(第一弾は「short cut」)。12人の主要キャラがそれぞれ秘密を抱えているのがおかしく、主役の竹内結子が偶然知ってしまうが、立場上、個人の秘密は洩らさないのだが、
間接的に洩らして反撃するところもいい。
 
竹内結子は、昨年格安航空会社(LCC)を扱った「チープ・フライト」という単発ドラマでCAを演じていたが、今回も地上スタッフながら空港職員の制服がキマッている。
 
三谷監督によると、役者に相手には伝えず随所にアドリブを入れるよう仕掛けたのだという。そのほうがリアクションがリアルで面白いというのだが、俳優・女優もとっさの反応も楽しんでいるようなのですごいことだ。同じセリフを何回も練習すると、初期の新鮮味が薄れるからだという。
 
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帰省先の佐賀から東京に戻る途中だった田野倉一家は、天候不良で羽田空港への着陸ができなったため長野の松本空港に降り立つ。上司の村木(甲本雅裕からのプロポーズをどう断わろうかと気に病んでいた空港職員の大河内千草(竹内結子は、乗客のアテンドをすることに。
 
大河内の案内で、弁護士の守男(香川照之ら田野倉家の6人はレストランを目指すが、守男の義父・清正(綾田俊樹のみが待ち合いロビーに残ると言い張る。レストランの順番を待つ間、守男は同じ飛行機に乗っていた訳ありげな女・百合子(戸田恵梨香と話をするため、家族に隠れて大河内に部屋を用意させる。
 
一方、守男の妻・美代子(神野三鈴は偶然会ったパイロット姿の男・国木田(オダギリジョーが幼なじみだと気づき、運命の再会に心ときめく。そのころ、美代子の兄でルポライター蔵之介(生瀬勝久は、守男への何度目かの金の無心を画策していた。
 
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三谷監督の力が入ったプロモーション映像↓。
 
     ”ドラマ界を揺るがす?”「大空港2013」は、Wowowで、1月19日にも放送がある。
 
FC2動画でも見られる:
(無料動画だが、登録が必要かも)
 
 
ワンシーン・ワンカットの魅力は観客がカメラの目になって動くことで、自分がそこにいるような臨場感がある。このドラマに登場するのは12人の主要キャスト。それぞれに対して、関わるのがグランドスタッフの大河内千草(竹内結子)。一挙手一投足に無駄がなく、対応するところがすごい。
 
大河内は、以前の職場で社内恋愛を理由に、地方の松本空港に配属されたが、上司の主任(甲本雅裕から、しつこくプロポーズされている。この主任、母親が病気とかで、だれかれ問わず声をかけていたことが終盤判明し、大河内は、「やれやれよかった」と思う反面、なんなんだこれはと絶叫するところもすごい。
 
一方、登場人物がそれぞれに秘密や問題を抱えているのだが、それらが群像劇となって、さまざま関わりあっていく面白さがある。オープニングから、主要人物の周りにいる不審な人物から目が離せない。中盤から後半にかけて関わってくる伏線だからだ。
 
大学生(早稲田大学商学部)の息子は、飛行機の遅延で、何とか東京に早く着く方法を探すが、不審に思った父親(香川照之)が問いただすと、俳優をめざし「著名塾」(無名塾のパロディ)のオーディションに受けるのだという。選考で10人のなかに残ったという。21歳の娘は、46歳の風采の上がらない男と結婚するといいだし、家族は知らないが、”できちゃった”婚の様子。そのほか、一人一人の俳優・女優の演技がとにかくおかしい。
 
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キャストの性格など:

大河内千草 -
竹内結子(グランドスタッフ):前職場での社内恋愛で懲りているらしく、地方空港に転勤。社内恋愛は絶対ご法度と決め、言い寄る上司・村木を適当にかわすが、空港案内係の友人・砂田には、プロポーズされたと話してしまう。相手が誰かとは言わない。さまざまな客に機敏に対応する才にたけている。グランドスタッフとしての職務に忠実で、機転が利くが、好奇心も旺盛で、茶目っ気と遊び心も持ち合わせている。
 

田野倉守男 -
香川照之(父親):東京で通っている歯医者の若い女医・倉科百合子と関係を持ってしまい、付きまとわれている。空港にまであらわれた倉科に驚き、家族に知られないように個室で、説得を試みる。人前もはばからず倉科からキスを求められ、大河内の助言で、裏庭に逃げ込む。娘のボーイフレンドがバツ3の46歳男と知り断固反対する。大学生の息子が、劇団「著名塾」に入りたいというのを聞き、反対するが・・・。

田野倉美代子- 神野三鈴(守男の妻):夫の浮気は薄々感じている。自分も、憂鬱感が漂い、屋上で声をかけてきたパイロット姿の男(国木田)と会話するうちに、気持ちが惹かれていく。実は国木田は空港にいて、変装して客などから金を巻上げる空港関係者の間では知られたワル男だった。
 
田野倉真弓 - 石橋杏奈(守男の娘):世間知らずの21歳で、25も年上の男(バツ3)と親しくなり、両親に紹介するタイミングを見計らっていた。たまたま大河内に相談したが、大河内は、今は止めておくように忠告するのだが・・・。
 
田野倉睦男 - 池松壮亮(守男の息子):早稲田大学商学部の学生だったが、家族に内緒で1年前に退学し、演劇俳優を目指している。「著名塾」の最終オーディションの当日、羽田空港の天候の具合で、松本空港に着陸してしまい、焦っている。代替交通手段(列車、バス、タクシーなど)の所要時間を大河内に確認する。携帯でキレたように怒鳴っていたのは、オーディションに向けた演技練習だった。

鶴橋蔵之介- 生瀬勝久(美代子の兄):プラネタリウムを作るために資金が足りず、義兄(田野倉守男)に頼むが、義兄は拒否している。義兄と謎の女(倉科百合子)が、密会しているところをカメラに収め、ゆすりにかかる。
 
60万円(豆電球60円x10,000個分)借りたがっていたが100万円に跳ね上がっている。小学校の時に演技経験があり、甥・睦男の演技テストをする。姪・真弓の彼氏が金持ちとわかり、金づるになりそうだと近づく。お調子者の中年チャラ男。
 
鶴橋清正 - 綾田俊樹(蔵之介と美代子の父):一家のおじいちゃんだが、妻を亡くしてひとり。皆の前で「自分は幼いころからゲイだ」と告白するから皆驚いてしまう。男の胸板を見ると、気が散ってしまい、孫娘が中年男ト結婚したいといっても、「胸板が厚いからいいのでは」と賛成に回る。

村木繁 - 甲本雅裕(大河内の上司):母親が病気で、余命も心配なことから、大河内にプロポーズしているのだが、なんと、大河内の友人の砂田にも声をかけていたことが後からわかる。羽田行きの便の変更をマイクで知らせる話し方が、奇妙な中国人のような話し方でアナウンス。(共演者が吹きださなかったか心配。笑)。
 
砂田かおる - 青木さやか(大河内の友人。空港案内係):一日、2-3便の暇な空港業務だったが、羽田の悪天候で、急きょ着陸する便があるというので、大河内と元気よく出迎えることに。村木にプロポーズされており、結婚することにした、と大河内に伝える。大河内は驚きと安堵の表情を見せるが・・・。
 
国木田修 - オダギリジョー(偽パイロット):空港に出没し、同年代の婦人がいると、近づき、「覚えている?」と親しそうにしながら、相手の出身地、高校、中学名などを聞き出し中学の同級生のふりをして、財布を落として・・・と演技をして、お金を巻上げる詐欺師。
 
倉科百合子 - 戸田恵梨香(謎の女):歯医者に勤務しているが、患者の一人、田野倉守男が、歯が痛そうにしているのを見て、「男の人が苦しそうにしているのを見て好きになった」と大河内の「田野倉のどこがよかったの?」という質問に答えて。大河内は「意味わかんない」と独り言。
 

犬山寅男 -
梶原善(謎の男):最初から、田野倉一家の周りをうろついていたが、服装もよれよれで、食事のタダ券がもらえるということを耳にして、大河内に食券をもらいたいというのだが、身なりなどから、乗客でないと判断し、「搭乗券」を見せるように言う。探すふりをするが出てこない。
 
この中年男は、田野倉真弓の彼氏ということで両親に紹介されるのだが、実はあとから経済的には豊かであることが判明し、娘の母親・美代子、その兄・鶴橋蔵之介などは、反対の態度が急に軟化する。
 
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ワンシーン・ワンカット・ドラマの第一弾「short cut」は登場人物が3人だけで、山中の話だったが、「大空港2013」は、空港関係者数人と一家族を含む12人の人間模様がコミカルに描かれる。早くも第3弾が期待される。
 
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