今年の第36回「日本アカデミー賞」は大波乱となった。
「桐島、部活やめるってよ」が最優秀作品賞&最優秀監督賞(吉田大八監督)、最優秀編集賞の3冠を達成した。
直前の全国の映画ファンの投票によって選ばれる話題賞作品部門も受賞しており、「桐島」旋風が授賞式会場を席巻した。
有力候補だった「北のカナリアたち」も最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀音楽賞の3賞に輝いた。
最優秀主演女優賞を最年長(70歳)で受賞した樹木希林
ただし俳優部門では、最優秀主演女優賞は「わが母の記」の樹木希林が受賞。希林は「(受賞賞金の)振込だけはいただいて、名誉は吉永小百合さんや、エリカ様にあげて」と語り笑いを誘った。「来年のプレゼンターとセットとなっているしね、どんどん出てきている若い人たちにあげたいけど」とも。
阿部寛は「まさかと思いました。東日本大震災の翌日にイタリアに行き、撮影を開始した。多くの外国人の協力も得た。鳥肌が立って(うまく話せず)情けない。今度この会場に帰ることがあったら、日本人役で戻りたい」と終始緊張気味だったが、最後のユーモアが精いっぱいだった。
最優秀助演男優賞は、「あなたへ」の映画撮影後、昨年11月に亡くなった大滝秀治が受賞。最優秀助演女優賞は、「おくりびと」(2008)「ディア・ドクター」(2009)に続き3度目の受賞となる余貴美子が受賞した。優秀助演女優賞はそれまでにも受賞しており、この部門の常連の一人である。余は「意外でした。ご褒美をいただくことができ、励みになります」とあいさつした。
最優秀助演女優賞のプレゼンターは昨年最優秀助演男優賞を受賞したでんでんだったが、でんでんは「昨年、最優秀をいただいて、生活が少し楽になりました」とあいさつした。単純に笑えないほど、日本の俳優一般のギャラは低く、映画だけで食べていくのは日本の場合は難しいようだ。ハリウッド俳優のトップクラスの映画の収入ばかりが話題になり、1本の出演料が1,000万ドル(約8億円)などというのは数人。
日本では、あるお笑い芸人が映画にわき役の一人で出演した時のギャラが20万円だったというのを聞いたことがある。主演クラスでも、その10倍~20倍ぐらいと想像できる。
「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督は、スピーチで「映画が公開された当初は、客の入りが悪く、大丈夫かなと思ったが、見た人たちから、口コミで広がり、上映が続けられた」と振り返り、「若いころから、青春というのが嫌いだったが、今回の映画で、若い俳優たちに後押しをされて、この場に立つことができて、感謝している」と語った。「桐島」にクールな女子高生役で出演し、優秀新人俳優賞を受賞した橋本愛は、涙で顔がくしゃくしゃだったのが印象的だ。
「最優秀外国映画作品賞」は、「最強のふたり」だった。
ここでは「アルゴ」を負かした。
「話題作品賞」はやはり「桐島、部活やめるってよ」だった。
今年の日本アカデミー賞は、斬新な映像とスタイルで、”桐島”に振り回される若者たちの群像劇をみずみずしく描いた「桐島、部活やめるってよ」の存在が目立った。
◇日本アカデミー賞・最優秀賞受賞者◇
作品賞・・・「桐島、部活やめるってよ」
監督賞・・・吉田大八「桐島、部活やめるってよ」
音楽賞・・・「北のカナリアたち」
編集賞・・・「桐島、部活やめるってよ」
撮影賞・・・「北のカナリアたち」
照明賞・・・「北のカナリアたち」
アニメーション作品賞・・・「おおかみこどもの雨と雪」
外国作品賞・・・「最強のふたり」
こんな映画が出てくると、日本映画も、ますますこれから楽しみになってくる。
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