「花とアリス」のタイトルは、登場人物の二人の名前。
映画は、タイトル「Hana & Alice」から、エンディングのクレジットまですべて英語。
一目惚れした先輩・宮本(郭智博)と同じ落語研究会に入部した高校生のハナ(鈴木杏)。ある日、宮本がガレージのシャッターに頭をぶつけて意識朦朧としているどさくさに紛れて、自分が今カノだと信じ込ませることに成功。

ハナは、その嘘の為に幼なじみの親友で、モデルを目指すアリスを宮本の元カノ役を演じるように頼みこむ。ところが、このことがきっかけで宮本はアリスに好意を寄せるようになり、アリスもまた宮本に心惹かれるようになっていく・・・。
脚本、セリフの妙で、面白い個所が多くある。
たとえば、アリスは、両親が離婚しており、母・加代(相田翔子)と暮らしているが、母子で相手のことを呼ぶのは「キミ」。
アリスがコーヒーショップで、ケーキを注文していると、そこにボーイフレンドの男(阿部寛)とやってきた加代は、アリスを見て、とっさに、隣の家の娘さんだと男に説明し「さようなら、さようなら」と、何回も淀川長治のように念を押すように言い、早くいなくなるように促す。
さらに、家では、アリスが、肉料理を作って母を待っていたが、母・加代は食事は済ませてきたという。加代はアリスに「キミ、今度の日曜日の予定は?」と聞くのだが、「どうして?」というと「友達が来るから、出かけていて」というのである。
その時のアリスのセリフは「キミはもう大人なんだから、恋愛は必ず結婚を前提にしてくださいね!」とまるで、友達同士のような言い方!「私に対するあてつけ?」と母が言うと、「あてつけですよ!」と応えるアリス。
一方、ハナとアリスは、宮本が記憶喪失をいいことに、うその話を仕組んだが、喫茶店での「ところてん」の一件ですべてが泡になる。小さい時からところてんだけはアレルギーで一切食べたことがない宮本だった。そうとは知らずに、元カノを演じていたアリスは、「よくこの店でところてんを食べていた」というのだから、うそはばれる。

この映画は、鈴木杏が一番の主役のようだが、最後に見せ場があるものの、蒼井優がはつらつとして、うまい。主人公3人で、海辺のシーンがあるが、トランプをまき散らして、最初に「ハートのエース」を探したものが願い事をいうというものだった。
周治が「ハートのエース」を見つけたが、それを言わないでいると、アリスがクローバーのエースであるのに「見つけた」と名乗り出て、「ハナは周治を諦めて」というのだった。動揺したハナに、アリスから口をついて出てきた言葉は・・・。
「なんちゃって」。
「じょうだんだよ」とおどけて見せるしぐさが、おかしい。
浜辺には食堂もなく、食べ物に困ったなと宮本、ハナがいうと、「こんなこともあろうかと思いましてね、用意してきました。アリスの特製弁当」とおにぎりなどを差し出すアリス。牛乳と味噌汁の両方がほしくなるね、と宮本。
アリスは、離婚した父(平泉成)と時々会うのだが、高校の入学記念の際に万年筆をプレゼントされる。万年筆は、インキの取り換えなど面倒だが、しぶとく生きていると父。学校では「制服か?」と父がアリスに聞くと「制服」と答えるアリス。「制服着てくればよかったじゃないか」という父に「やらしい」とアリス。(中年男が、女子高生の制服というと、変なコスプレおやじと映るらしい)。「今度いつ会えるのか」とアリスが聞くと、電話、いやメールするよと応える父に、またしても「やらしい」(笑)とアリス。
父と娘が散歩しているときに落ちていた携帯電話を拾うと、電話がかかってきて、説明するが通じないので、父親がとると、相手は中国人。父が中国語を話して、相手に説明。
「我愛你(ウォー・アイ・ニー)」(=I love you)と「再見(ツァイ・チェン)」(=See you
again)の言葉をアリスに教えてくれた父。
この言葉を、アリスは周治との別れの言葉に使うのだが・・・。
蒼井優の映画は、20代前半のころの「百万円と苦虫女」「フラガール」などが面白かったが、最近やや下降気味に思っていたが、CMではショートカットにして、イメチェンを図っているようだ。先月27歳となり、演技派として面白い作品を残してもらいたいものだ。
共演は伊藤歩など。
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