fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」(2010)</span>

 

 
何とも長いタイトルの映画「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」(2010)を見たのは、「愛のむきだし」「愛と誠」と見てきて、こんなインパクトのある女優もいるのかと、もっと見てみたくなった安藤サクラがでているので見てみたのだった。この映画を見て、安藤サクラにハズレなしと確信した(笑)。
 
映画は、全体がゆるい展開でカメラも同じシーンが長く、いらだちも覚えるほどの”長回し”が多い映画で、東京から、北海道の網走(あばしり)を目指してバイク2台3人旅によるロードムービーだ。
 
一見、虚無・厭世的で破壊的な行動は、あの「イージーライダー」を思わせる。網走には、幼女誘拐事件を起こして刑務所に収監されているケンタの兄・カズ(宮崎将)がいて、ケンタが一度会いに行きたいと旅に出たのだが、ジュンもカヨも、”アバシリ”と聞いても、何のことか、見当もつかないほど一般常識が欠落している。
 
八戸を「はっこ」と読み、連絡船で、”はちのへ”出発は、XX時とアナウンスされても、「はちのへ、って何」という始末。ジュンに至っては、算数の単純な計算もできない。建物などの解体会社の従業員からも、「ばーか!ばーか!」を連発され、嫌味を言われる。
 
主人公のケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)の背景が次第にわかってくる。
ふたりは、幼いころ孤児院に入っており、そこで育った友達同士だったが、ケンタが兄貴分だった。
 
「すべてをぶち壊して、”ここ”(社会の底辺の人間には住みにくい現実社会)から抜け出し、新しい世界に進みたいという過激な考えのケンタ。
 

ジュンは、どちらかといえば、自分からは行動を起こさず、流れに任せて、ケンタと行動を共にする主体性のない優柔不断の人間。このジュンは、手の病気を持っている。
ジュンは、緊張すると右手が白くなり固まってしまう。緊張するようなことがあると思考が止まってしまい、そのため緊張すること
を意識的に避けようとする傾向がある。
 
ジュンは、ケンタがナンパに行こうと言えばついていき、一人でいる若い女性を見ては声をかけ、何人かに断られたり無視された後、見るからに持てなさそうな女に声をかけると、すぐアパートまでついてきたのが20歳の女・カヨ(安藤サクラ)だった。そこから奇妙な3人旅が始まる。
 

ケンタは、職場をぶち壊し、職場のトラックで、網走に向かうのだが、途中、何回もジュンに「お前は何でおれについてくるんだ」と怒鳴りちらすが、ジュンは明確な答えを言わない。
 
ところで、安藤サクラの両親は、父が俳優の
奥田瑛二、母がエッセイストの安藤和津、姉が映画監督の安藤モモ子という映画芸能一家に生まれたといっても「ケンタと~」では、監督の大森立嗣からは「ブスでバカなキャラ」役と念を押されるほどのイメージが非美人系(ブス)のルックス(失礼)で定着している。監督の希望で映画のために8キロ太って撮影したという。
 
カヨは、次々に男と関係しては捨てられ・・を繰り返しているが、「私はブスだということは分かっている」と自身でも認識していているが、いつかは愛する相手から「愛している」という言葉をかけてもらいたいという乙女チックで、すぐにすねてしまう20歳(旅の途中で21歳の誕生日を迎える)。
 
車で旅の途中、カヨが手洗いに行っている時に、ケンタがカヨの財布をのぞいてみると、一万円札が何枚もあり、「結構ある」とケンタが、ジュンに目くばせすると、財布の中身だけ抜いて、カヨのバッグなどを車から放り投げ、ケンタとジュンの二人だけでカヨを置き去りにしてしまう。
 
しばらくして、八戸の連絡船の中で、偶然にカヨも同船していて(ストーリーができすぎ!?)、カヨは、何のわだかまりもなく、ジュンに指を絡ませてきて、「タイタニックしたい」と、あのディカプリオとケイト・ウインスレットの有名なシーンをまねてみる。
 
”バカップル”としか言いようがないが、カヨにとっては、一時でも幸せを感じた瞬間かもしれない。
 
ケンタは「壊しても、壊しても何も変わらない。俺たちは隅っこに追いやられていたんだよ。ふざけんなよだ」とつぶやく。
 

 
ケンタ(松田翔太)が銃で撃たれ血が出るシーンがあるが、翔太の父・松田優作のシーンを彷彿とさせるのは、優作へのオマージュか。
 
エンディングでかかる曲「私たちの望むものは」が、映画のテーマを表している。
 
♪私たちの望むものは
生きる苦しみではなく
私たちの望むものは
生きる喜びなのだ

私たちの望むものは
社会のための私ではなく
私たちの望むものは
私たちのための社会なのだ

私たちの望むものは
与えられたことではなく
私たちの望むものは
奪いとることなのだ

私たちの望むものは
あなたを殺すことではなく
私たちの望むものは
あなたと生きることなのだ

今ある不幸にとどまってはならない
まだ見ぬ幸せに今跳び立つのだ!♪
 
歌はこちら:http://youtu.be/9a5Evs4vwg0
 
2年前の映画公開時は、ほとんど気が付かなかったほどの地味な映画だが、脇役陣には、豪華な俳優が出ている。宮崎将柄本佑多部未華子、美保純、山本政志新井浩文小林薫柄本明などだ。柄本明などは、脇役の名優だ。
 
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加してます:クリック♪。