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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「二十四の瞳」(1954)・・・日本映画の金字塔(追悼:高峰秀子)


映画「二十四の瞳」 予告編
 
 
2011年の新年を迎えて、最初に観た映画が「二十四の瞳」(1954)で、今年最初に
泣かされた(笑)。昨年末、昭和の名女優・高峰秀子の訃報に接し、その主演映画で代表作品を”完全”には見ていなかった映画があまりにも有名な「二十四の瞳」だった。物語や背景はある程度は知っていたが、今回じっくりと初めて見た。感動で胸が詰まり、込み上げるものがある映画だ。
 

 
二十四の瞳」は、1954年の公開で、この年のキネマ旬報のベストテンは・・・。
1位:「二十四の瞳」(木下恵介監督)
2位:「女の園」(木下恵介監督)
3位:「七人の侍」(黒澤明監督)
 
七人の侍」よりも上なのか、といった声が当時はあったようだが、今となっての評価は、「二十四の瞳」「七人の侍」の2作品は、同じ年に作られた日本映画の金字塔とともに言われている。
 
2007年にデジタルリマスター版としてリバイバル公開された(松竹としてのデジタルリマスター版は、あの名作「砂の器」に続くもの)。
 

 
映画は、昭和3年(1928年)から終戦直後の昭和21年(1946年)までの約20年間を描いている。大石先生(あだ名:小石先生)を演じた高峰秀子がすばらしい
 
1928年、師範学校を卒業したばかりの大石久子訓導「おなご先生」は、島の岬の分教場に赴任し、そこに入学した12人(男子5人、女子7人)の児童を受け持つ。
 

 
それぞれの個性にかがやく二十四の瞳を前に、この瞳をどうしてにごしてよいものか、との感慨を持つ。
 
若く朗らかな大石先生に子供たちはすぐになつき、信望を集めた。しかし颯爽と自転車に乗り洋服姿で登校するおなご先生は「イカ」であることを理由に、保守的な村の大人達から敬遠される。些細な誤解から面罵され、思わず涙する事も。しかしいつでも子供たちはおなご先生の味方であり、支えであった。
 
そんな折、大石先生は年度途中で子供たちの作った落とし穴に落ちてアキレス腱を断裂。分教場への通勤が不可能になってしまう。大石先生が不在の中、「おなご先生」を一途に慕う子供たちの姿を目の当たりにした村の大人達の態度も軟化する。
 
大石先生が子供たちにとってかけがえのない存在であることを理解したのだった・・・(HPより)。
 
ここに登場する12人の子供たちが、健気で、純朴だ(昨年の話題の映画「告白」に登場する生徒たちとは雲泥の差だ)。
 

 
大石先生は、教え子たちが兵隊となって命を落とすことには反対。「ただの(普通の)人間になってもらいたい」と願っただけだが、学校の校長などは、大石先生が子供たちに反戦を吹きこんでいるととり、「アカ」の噂が広まっていると大石先生に注意を促す。大石先生は、国定教科書通りの教えしかできないのならと、教職を辞してしまう。
 
 

 
12人の子供たちは、貧しさから波乱の人生を余儀なくされた者、戦死して2度と帰ってこなかった者、戦場で負傷し失明した者などがいた。
 
やがて終戦を迎え、大石先生が再び、先生として戻ってきたときには、小学1年生の初めての担任となった12人のうちの7人が、大石先生の謝恩会に参加した。あの日皆で一緒に撮った写真を見る・・・。目が不自由になった子どもは、当時の写真を
みて(記憶に残っているので)「先生が真ん中で、横には・・・」というシーンは、ちょっときつい(締め付けられる)。
 
映画は前半は、のどかな田園風景の中で、子供たちが元気に、唱歌、童謡を歌っていたが、後半は、歌が軍歌に代わるところが時代の変化を感じさせる。
 
18年ぶりに、小学校に戻って、出欠をとると、名前を聞いて、教え子の子供だったり、教え子の妹だったり・・・。12人の中で、戦死した教え子の墓参りのシーンなどは、
見ている方も苦しくなる。将校になりたいと言っていた子供が、「軍曹」になって、墓にいるのだから。
 
映画の中では、多くの唱歌、童謡、軍歌が流れた。
 
♪村の鍛冶屋
♪故郷(ふるさと)
♪朧月夜
♪七つの子
♪春の小川
♪荒城の月
♪浜辺の歌
 
♪暁に祈る
♪若鷲の歌
・・・
 
貧しい時代ながら、懸命に生きる姿が胸を打つ。貧しくて「修学旅行」に行けなかった
子供や、小学校6年で、中学には行かないことを条件に、修学旅行に参加した子供がいたり、親から運動靴を買ってもらったが、すぐに大きくなるからと、「11文」の大きい靴を履かされる子供など、切ない。
 
ちなみに、11文(もん)というのは「26センチ」だから小学生では大きい(笑)。fpdでもはける(実際は26.5センチですが)。ジャイアント馬場は「16文」キックと言われた!
 
大石先生の言葉の中に、含蓄のある言葉も多い。
子供の一人が「XXちゃんの家は貧しくて、こういう状況だ」などというと、先生は、「あまり人のことはいわないほうがいい」と諭す。苦労をしている子供に対して「自分ばかりが不幸だと思うな」という言葉など。
 
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余談ながら、fpdが小学校の6年生の時の音楽の担任の先生が「fpdちゃんのお父さんは、XXちゃん?」といって、小学校で親子2代で教わった先生もいた。父親が教わったときは、まだ20代前半の先生だったようだ。田舎では、ありうることだ。
 
名作は色あせない。感動作品だ。
 
☆☆☆☆
 
 
配役:
 ☆☆☆☆
 
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