「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」など数々の名作ドラマで知られる脚本家の山田太一が、11月29日老衰により亡くなった事が分かった。89歳だった。残念。
山田太一は1934年に東京で生まれ、早稲田大学卒業後に松竹大船撮影所に入所。木下恵介監督の助監督につき、助監督時代には、木下自ら再編集を行ったワイド（リバイバル）版「二十四の瞳」の予告編制作も手がけた。
木下には現在まで敬愛の念を抱きづづけていたという。1960年代前半から、木下恵介の映画をテレビドラマに脚色する仕事を始め、1965年に退社して、フリーの脚本家になる。
その後は、テレビドラマの脚本家として、“山田太一シリーズ”として発表された「男たちの旅路」が人気を博した。
「東京新聞」に連載した小説を自身の脚色でテレビ化した「岸辺のアルバム」（1977年）は高い評価を受けた。
1980年に大河ドラマ「獅子の時代」を発表。大河ドラマとしては初めてのオリジナル作品となった。ただ「大河は向いていない」と二度と大河ドラマは作らなった。
「想い出づくり。」（1981）は24歳の女性たちを主軸にした群像ドラマで、人気となった。
1983年にスタートした 「ふぞろいの林檎たち」は、大学生の青春群像をリアルに描いて、1997年まで継続する人気シリーズとなった。
ラフカディオ・ハーンを主人公にした「日本の面影」（1984）により第2回向田邦子賞受賞。「日本の面影」は1993年に自身の脚色で舞台化されて再演を重ね、2001年にはダブリンとロンドンでも上演されている。
1988年、小説「異人たちとの夏」で山本周五郎賞を受賞。この「異人たちとの夏」は、イギリス映画「All of us Strangers」として2024年春に公開予定。
ご遺族のコメントは以下の通り。
「突然のご報告となりますが、かねてから療養中でありました山田太一は、令和5年11月29日にお世話になっていた川崎市内の施設にて老衰の為に息を引きとりました。享年89歳。とても安らかで静かな旅立ちでした。
山田は仕事に対しては常に厳しく真剣でしたが、私たち家族にはユーモアにあふれ、楽しく優しい父として心に残っています。
ファンの皆様、メディアの皆様、長い間父を支えていただき、誠にありがとうございました。これからも父の作品を楽しんでいただけたら幸いです。（以下略）」
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青春ドラマとして「想い出づくり。」は、テンポのいいザンフィルの音楽と女優たちでお気に入りのドラマだった。当時は、田中裕子押しだった（笑）。
20年ぶりに再会して「行く？」「…」
山田太一のドラマで、もっとも印象深いのは渡辺謙と夏川結衣主演の「遠まわりの雨」（2010）。「グぅぅぅっ～ぅ」っとしびれるセリフがあった（笑）。
それは…ラストシーンで、駅のホームで夏川結衣が渡辺謙に対して「今だけ恋に落ちよう…」というセリフ（山田太一、すごい。笑）。
ご冥福をお祈りいたします。
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