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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">「不毛地帯」(第19回:最終回)</span>

不毛地帯」(第19回)は、いよいよ最終回。
まだ先まで続くと思ったら、とうとう終わりか。

最終回だけあって見ごたえがあった。
最後は目頭が熱くなった。

壱岐が、なぜ執拗に大門社長の退陣を迫ったのか。
決して自身が、社長の後釜を狙うものではなかった。
当の大門社長は、壱岐が自分の後に社長になることをもくろんでいるとみて、
関連子会社の社長に転出させた里井を、本社副社長に復帰させ、里井の望む条件である
壱岐を外に出すことを決めていた大門社長だったが・・・。

壱岐の思いは別のところにあったのである。
今日まで16年間、商社のことなど何も知らない自分を重用してしてくれた大門社長の
おかげで、石油事業に成功し、大門社長には、最後の花道を成功しているときに飾ってほしかったのだ。
そして、壱岐自身も、辞表を提出。「大門社長がいない会社にはとどまることができない」と。

社長が役員会を招集して、自らの退陣を発表した時に、当然次期社長は壱岐とだれもが思った。
その時に社長が、壱岐君も同様に退陣するといったものだから、役員一同は驚きの表情だった。

しかし、壱岐の一言で全員が納得する。

「これからは、君たちが中心となって組織で近畿商事をさらに発展させていかなくてはならない」と。

それにしても、壱岐は戦略家・策士と言ったら語弊があるか。

それは、戦後の経済成長、なかんずく近畿商事を発展させて来たのはひとえに大門社長の
トップとしてのリーダーシップによるものだったが、これからは、組織で会社を発展させることが
時代にかなっていると、大門社長に悟ってもらいたかったのだ。

そして、壱岐自身はと言えば、シベリアの地で亡くなった戦友の遺骨を、できる限り祖国・
日本の家族のもとに届けるのを、自分の残された使命と決めていたのだ。

シベリアを再び訪れた壱岐の頭の中には、収容所時代の戦友たちが命を絶っていった
光景が脳裡に浮かんでくるのだった。壱岐を演じた唐沢寿明が、商社に入った16年前の
はつらつとした若さは無くなっていたが、人生の辛酸を経験してきた苦闘と充実した
人生のこれまでの軌跡がよみがえるとともに、額にもその歴史が刻まれているようだった。

原作者の山崎豊子が「白い巨塔」に唐沢を主演に指名して、一応の成功をおさめ、今回の
不毛地帯」でも、唐沢に主演を望んだ理由もうなずける。十分に応えた唐沢だったように思う。


最終回の話:

近畿商事は、副社長の壹岐正(唐沢寿明)、エネルギー部門の担当常務である兵頭信一良(竹野内豊)を中心に、イラン・サルベスタン鉱区の掘削を開始した。


だが、60億円もの費用を投じて4本の井戸を掘ったにもかかわらず油田を掘り当てることはできなかった。そんな中、最後の望みを託した五号井が、ガス暴噴を起こしたとの連絡が入る。


それ以来、現場からの報告は途絶え、電話も繋がらない状態が続いたため、壹岐は焦りを隠せなかった。


2日後、壹岐のもとに現地にいる兵頭からの連絡が入る。2日間に及ぶ徹夜の作業で、五号井はようやく正常循環に戻ったという。壹岐は、ガス暴噴は油がある兆候だという兵頭の言葉を信じ、すべてを彼に任せて掘削の再開を指示するのだった。


一方、黄紅子(天海祐希)は琵琶湖を訪れていた。琵琶湖に国際チェーンのホテルを建てる計画を進めていた紅子は、その下見に来ていたのだ。そこに秋津千里(小雪)を呼び出した紅子は、壹岐と結婚しないのか、と尋ねる。


そんなある夜、壹岐のもとに東京商事の鮫島辰三(遠藤憲一)がやってくる。そこで鮫島は、近畿商事社長の大門一三(原田芳雄)が綿花相場で苦戦している話を切り出した。近畿商事のメインバンクである第三銀行の頭取が、その件で大門のことを心配していた、というのだ。


あくる朝、壹岐は、ただちに綿花部長の伊原(上杉祥三)を呼び出し、真相を問いただした。


伊原によれば、すでに大門は、50億円近い損失を出しているのだという。それを知った壹岐は、伊原に進退伺を出すよう指示すると、大門にも綿花相場から手を引いてほしいと進言する。聞き入れられない場合は役員会議で決議を出す、という壹岐の言葉に危機感を抱いた大門は、タクボ工業を訪れて里井達也(岸部一徳)に会った。大門は、壹岐を社外に出すのなら戻る、という条件を聞き入れ、里井を近畿商事に復帰させることを決意するのだった・・・。

ドラマのエンディングで流れる曲は、最初はやや違和感があったが、回を追うにつれ、重み、輝きを
ましていった。メインテーマも、「華麗なる一族」にも劣らない重厚な音楽で印象に残った。

ドラマが終了して、次週の予告がなく(当然だが?)、「終わってしまったか」という余韻に
浸っております(笑)。

千里と壱岐の会話が大人の会話だった(笑)。

壱岐が「勝手だが、今までのことは、今日限りで終わりにしてほしい」というと、千里は「壱岐さんは、本当に勝手な人ね」というが、「壱岐さんが好きです。これからも変わりません。待っています。待っているから」と・・にこやかに言われたら、壱岐でなくても男たるもの、にこやかにうなずくしかありませんね(爆)。いいシーンでした。

19回、約5か月、とうとう終わったか(まだ言っている!)。

久しぶりに、最初から最後まで熱心に見たドラマだった。
ここ10年くらいでは、4-5本のうちの1本か。