1980年代の映画では、ドイツ映画の「リリー・マルレーン」(1981)も印象に残る映画の1本だった。
”リリー・マルレーン”の曲は、マレーネ・ディートリッヒが、第二次世界大戦のアフリカ戦線で
兵士の慰問で歌って、大ヒットしたといわれる。敵味方なく好まれた曲ということで、当時の
ヒットラーのお気に入りの曲でもあったらしい。
”リリー・マルレーン”の曲は、もともとはララ・アンデルセンという人がリリースした。
しかし、ドイツではマルレーネ・ディートリッヒが歌い大ヒット。ディートリッヒの
オリジナルと思われるほど。
ヒトラーのドイツに帰るようにという要請を蹴って、ディートリッヒがドイツに帰らずに、
米国に渡ったことで、ディートリッヒの映画は、ドイツでは一時期上映禁止となったようだ。
そんな、当時のディートリッヒをモデルにして映画化したのが「リリー・マルレーン」だった。
時は1938年。
ナチスの勢力が拡大していたヨーロッパ。有能な音楽家でユダヤ人のロバート
(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は、仕事の旅行で、愛人で歌手のビリー(ハンナ・シグラ)を
伴っていた。ロバートの父ダヴィッド(メル・フェラー)は大富豪で、ユダヤ人の支援者。
ダヴィッドは、ビリーがアーリア人であるという人種の違う二人の結婚には反対だった。
ユダヤ人狩りがはじまっていた矢先。
本来、アーリア人のビリーといっしょの方が安全だったが、帰路はダヴィッドの工作で
別々になる二人。
ビリーはミュンヘンで、ロバートの迎えを待った。
彼女は知り合いのヘンケル(カール・ハインツ・フォン・ハッセル)の紹介で
酒場で歌う仕事を得て、その後、ヘンケルの力で彼女はレコードを吹き込むことになった。
スタジオで歌い終えた後、入口でロバートの姿を目にした。
久しい逢う瀬に喜ぶビリーだったが、それもつかの間、チューリッヒに帰るロバート。
放送局で“若き歩哨の歌"をかけるところを誤って“リリー・マルレーン"を流したことで、
リクエストが殺倒。彼女は一躍人気スターになったのだった・・・。
”リリー・マルレーン”の曲は、耳に残る曲だ。
1980年当時は、ドイツ映画が比較的多く上映されていた時期だった。
なかでも「Uボート」「マリア・ブラウンの結婚」「ブリキの太鼓」などが
印象に残る。
最近は、「魔笛」が上映された程度で、すこしさびしい気がする。