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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「暗い日曜日」(1999、ドイツ、ハンガリー合作)</span>


 
 
暗い日曜日」(1999)という映画を見た。
先日「映画の小道具」という記事を書いたところ、「暗い日曜日」という映画の毒入り小瓶はどうか・・・とジーナさんからコメントがあり、YouTubeにも前・後編でアップされていたので見ることができた。確かに小道具としてはうまく使われていた。
 
映画は、ドイツとハンガリーの合作。
言語はドイツ語で「英語の字幕」が入っていたので理解しやすかった。
ナチス占領下のブダペストを舞台に、名曲「暗い日曜日」に関わった男女4人をめぐる愛憎劇。
 

監督・脚本は「Derlndianer」でヨーロッパドキュメンタリー映画グランプリ、ベルリンインターフィルム賞に輝いたロルフ・シューベル、撮影は「大理石の男」のエドヴァルド・クオシンスキ。出演は、ハンガリーの演技派女優といわれるエリカ・マロジャーン写真)、「ラン・ローラ・ラン」のヨアヒム・クロール、「年下のひと」のステファノ・ディほか。
 
・・・
そもそも、「暗い日曜日」というタイトルは、1933年にハンガリーで発表された、この曲を聞くと自殺するといわれているシャンソン曲に由来している。
 
当時、この曲を聞いて自殺する人が、後を絶たなかったため、ヨーロッパの一部の放送局では放送禁止曲扱いにしているという。

この曲の作者は、この曲を作った後で自殺し、その恋人も自殺したらしいという。
歌詞の内容は、ある男性と別れた女性がその男性への思いを捨てきれず、過去の回想をし最終的には、生きる事が辛くなり自分の命を絶つ決意をすると言う歌になっている。
 
実際にこの曲と自殺者の因果関係は証明されておらず、ヨーロッパでは数人が死んだが、当時の情勢と自殺の関連は闇の中である。
 
・・・
映画は、ある日、ハンガリーのブタペストにあるレストラン「サボー」に、一組の老夫婦がわざわざドイツから食事にやってきたというところから始まる。その老紳士の80歳の誕生日を祝うのが目的だった。

老紳士は、このレストランの先代サボーと親しかったようだ。
バイオリニストにチップをやり、例の曲を弾いてくれとリクエストする。
その曲が「暗い日曜日」。
この歌の原題は「悲しい日曜日(Gloomy Sunday)」。
 

 

 
曲に浸っていた老紳士がふとピアノ上に飾られた若い女性の写真に気がつく。
急に、老紳士の顔が強張り、震えだす。そして、その場でバッタリと床に倒れ、あっけなく死んでしまう。老紳士をもてなしていた支配人が「あの曲のせいだ。のろわれた歌だ」と叫ぶ。

場面は一気に変わって、額の中の写真の女性が、現れる。
時代は60年前に遡り、物語が始まっていく・・・。

女性の名前は、イロナ(エリカ・マロジャーン)といい、「サボー」というレストランのオーナーであるサボー(ヨアヒム・クロール)のレストランで働いていた。二人は恋人同士でもあった。

ある日、サボーが店のピアニストのオーディションを開くと、アラディ(ステファノ・ディオニジ)という青年が応募してきた。サボーは、アラディをを雇いいれた。

 

サボー(左)とイロナ

イロナは、魅力的で、人当たりもよく愛嬌があったため、イロナを目当てレストランにくる来る客も多かった。そんな中に、ドイツ人で実業家を目指すヴィークもいた。
 
イロナの誕生日にサボーは花かんざしをプレゼントした。
金のないアラディは愛する彼女のためにつくった曲を贈った。それが「暗い日曜日」だった。
 
ヴィークは「将来輸出入の会社を興して、事業を拡大する。結婚してくれ」と会って間もないのに一方的に、しつこくプロポーズするが、イロナは、断る。ヴィークはフラれたことで川に飛び込むが、サボーに救助される。が、翌日、ドイツへ帰国してしまう。
 
その頃、イロナはアラディのアパートで一夜を過ごしていた。
以後、三人の三角関係が始まる。イロナはサボーと別れようとしなかったからだ。

サボーとアラディの二人を見ていてイロナもさすがに辛くなり、
二人と別れようとしたが、二人は拒否した。こうして、サボーも完全にイロナと分かれるよりも、アラディとイロナを共有するという奇妙な三角関係が始まっていくのだが・・・。
 


店に来た音楽制作者たちが、「暗い日曜日」を気に入りレコーディングした。
曲はまたたく間に世界中に流れはじめることになった。
だが一方で、この曲を耳にし、自殺するひとたちが現れはじめた。
 
アラディは自分の曲でといたたまれなくなり、自殺しようかと思ったが、イロナとサボーが思いとどまらせた。

この頃、ハンガリーには黒い雲が漂いはじめていた。
実質的には、ハンガリーは、ナチドイツの占領国のようになっていた。

そして、ある日、突然、あのヴィークがナチドイツ軍の軍服を着て隊長として店にやってきたのだ。サボーもイロナも心臓が凍りつく思いだった。

サボーはじつはユダヤ人で、ナチはユダヤ人たちを収容所送りするという噂がひそかに広まっていたからだ。

イロナはヴィークを頼り、サボーの身の安全を図ろうとした。
ある日、ヴィークが仲間を連れて食事に来た。アラディに「暗い日曜日」のリクエストをしたが、アラディは弾こうとしなかった。

イロナはアラディの危機を救おうと、ピアノのそばに立ち、アラディがつけた歌詞を歌い始めた、「私のために弾いて」と言う。そうしないことにはその場は収集しない雲行きだったからだ。アラディはイロナの歌に合わせてピアノを弾く。
 
暗い日曜日」に初めて歌詞がつけられて歌われた。
その間、アラディはヴィークに銃を借りると、こめかみを撃ち、自殺してしまう。
映画では、ナチドイツへの「抗議」として描いている。

身の危機を感じたサボーは、自分の身の安全を図ってくれないかとヴィークに頼むが、ヴィークは、その代わりに、金をもったユダヤ人たちを紹介しろ、そうすればかれらを中立国に脱出させると条件を出す。サボーはユダヤ人たちを紹介し、ヴィークは私服を肥やすのだった。

戦後、ヴィークは、ユダヤ人1000人を救った人物として国民に評価されるのだが、
実際には、ヴィークのようなビジネスとして、金儲けに利用していたのだ。
 
イロナが、ナチに捉えられたサボーを解放してくれるように頼むと、ヴィークはからだを要求し、かねてからの思いを遂げる。しかし、ヴィークは、サボーを助ける気はなく、サボーは列車で強制収容所へと送られた。

数ヵ月後、イロナはアラディの墓前へ行き、サボーが収容所で殺されたことを報告した。彼女のお腹は大きく膨らんでいた。

そして再び、映画は、
老紳士が死んで病院へ搬送された場面に戻る。
レストランの現在の支配人は、じつは、あの時イロナのお腹にいた子供だったことがわかる。サボーの子だ。

サボーの息子は店内に戻るとシャンペンを抜き、厨房へ入る。
老いた女が「暗い日曜日」を口ずさみながら、花かんざしと、小さな小瓶を洗っている。かんざしはサボーが誕生日にイロナにプレゼントしたものであり、小瓶は、アラディの遺品である。 この老女こそイロナだった。

死んだ老紳士は、あのナチ将校のヴィークだった。
かれらは「暗い日曜日」で、ようやく積年の恨みを晴らしたのだった。
 

          「誕生日おめでとう」・・・イロナの後ろ姿しか見せない演出が憎い。

イロナの息子は母にシャンペンを渡し、言った。
「誕生日、おめでとう」。
 
・・・
なかなかいい映画だった。曲もメランコリックで哀愁が漂う。
何よりもイロナを演じた女優がいい(笑)。
 
 
☆☆☆
 
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