「君たちがいて僕がいた」（1964）を見る。人気絶頂だったコロムビアの舟木一夫と可憐な人気スタ－本間千代子とのフレッシュコンビの青春ドラマ。
小田原を舞台に大学受験とクラスメイトの初恋、若い教師への慕情、PTA会長が絡んだ大騒動を織り込んで社会に目覚める世代を清々しく描いた青春大作。
千葉真一が、体育教師で鉄棒の大車輪やトランポリンでの回転を見せるがさすが日体大出身のアクションスター。
本間千代子の全く物おじせず、ズバズバという物言い（○○さんと出来てるの、など。笑）が直球で、大人たちをあたふたとさせるところが面白い。
東京オリンピック（1964）が開催された年に公開された映画で「アベックで歩いていた」など昭和の時代を感じさせる言葉もあり、古めかしさはぬぐえない。
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舞台は、小田原にある城山高校。生徒たちは進路、とりわけ大学受験を控えて戦々競々としている。ＰＴＡ会長の田中大造（須藤健）は、校長を前にして息子・彰（堺正章）が東京大学に入れるなら、いくらでも金は出すという。
学校側は、成績から見て無理だというが、大造は、何年浪人してもいいから、東大にいれると聞き入れない。
これらの会話を窓の外で盗み聞きしている彰も、被害者の一人で、父親の有名校病にすっかり、精気をなくしていたのだ。
友人の佐藤洋（ひろし、舟木一夫）や久保知恵子（本間千代子）も彰に同情する仲間たちだった。洋の姉は、町一番の芸者・幸奴（宮園純子）で、洋を大学に入れるために、町のボス・大造に追いまくられていた。
大学進学を思い悩む洋を励ましているのは、母・キヨ（高峰三枝子）と高野医院長（佐野周二）との再婚を秘に願っているお茶目でよく気のつく知恵子だった。
幸奴も弟・洋を気づかって矢吹先生（千葉真一）に相談をもちかけたが、二人でいるところが新聞に書きたてられ、大きな誤解を招くことになった。
受験勉強にかこつけて体育の授業をサボろうとした彰に矢吹先生が体操を強制して怪我をさせてしまう。怒った大造が「矢吹先生を追い出せ」と校長に詰め寄るが、校長は矢吹先生を庇って対立。
大造は、町の新聞を利用して、矢吹先生と幸奴のこと、また、女子学生も毒牙にかけたなど、でっち上げた記事を掲載した。矢吹先生に好意をもっていた知恵子が、先生の下宿を訪ねたのが誤解されたのだ。
校長の援護もかいなく、放校寸前となった矢吹先生を救をうと、生徒達も立ちあがった。
ＰＴＡ総会の日努力して集まった生徒達は、大造と犬飼教頭の強引な方法で、矢吹先生放校の採決がとられようとした時、洋と知恵子たちが、会場に崩れこみ、ボスとして権力をほしいままにする大造を詰問した。
そして、彰も加わって、矢吹先生をかばい、ついに、生徒たちは大造の陰謀に勝った。芦の湖にピクニックに来た皆の前で矢吹先生と幸奴の結婚宣言が発表された。
また、千恵子も、それまで気持ちを抑えていたが、はにかみながらも「洋（ひろし）くん、好き」と告げると、洋の顔にも笑顔が戻ってきた。
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主題歌が冒頭にバックに流れるが、終盤には、千恵子ら仲間たちが一緒になって歌うシーンが、映画のハイライトにもなっている。今では「カラオケバトル」の司会で「何点、何点、何点だぁ～」という堺正章も10代で若い。
堺正章は、この映画の2年前にザ・スパイダースのボーカルとして、音楽バンドのメンバーに加入。映画は、2，3本出演した後、学園物では、舟木一夫の「高校三年生」「学園広場」に続いて3作目の作品だった。
千葉真一は、テレビの「新・七色仮面」でさっそうと登場してfpdら子供たちのヒーローとなり「アラーの使者」などで活躍。器械体操などが得意で「スティーブ・マックィーンのような俳優になりたい」と語っていたという。先輩の高倉健とは気が合い、高倉健は「アクションスターというイメージが付きすぎるのはよくない」とアドバイスをしたという。その後「網走番外地」シリーズなどでも共演している。
■本間千代子：久保知恵子…はきはきモノを言う。洋に好意を持つ。
■高峰三枝子：久保キヨ子…知恵子の母。結婚して5年で夫を亡くし、以来13年間、女で一つで千恵子を育てた。旅館を切り盛りする女将。
■千葉真一：矢吹先生…体育教師。運動万能。独身でプラモ組み立てが趣味。女生徒から人気がある。無精で洗濯もせず、使用した靴下を押入れの隅に投げ込んでいることが知恵子により発覚。
■須藤健：田中大造…PTA会長。彰（堺正章）の父。町のボスで傲岸不遜。東大至上主義。
■宮園純子：幸奴…芸者。洋の姉。
■堺正章：田中彰…大造の息子。大造の東大に行けに嫌気がさし、うんざり。
