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【第36回高崎映画祭授賞式】③作品賞受賞作「ケイコ 目を澄ませて」を高崎芸術劇場ホールで見る。

ケイコ 目を澄ませて」(2022)を遅ればせながら見る(高崎映画祭の会場の一つ、高崎芸術劇場ホールにて)。原案はプロボクサー小笠原恵子の自伝「負けないで!」。監督:三宅唱。上演時間1時間39分。

岸井ゆきのの圧巻の演技を見ると主演女優賞を与えないという選択肢はないと思った。多くを語るまでもなく、主役の気迫のこもったすごい映画。

キネマ旬報」ベストテン1位をはじめ、映画祭の作品賞を数多く獲得した本作は、2022年の年を代表する作品となった。ただ、日本アカデミー賞だけは最優秀主演女優賞のみの受賞で、一般の映画賞との乖離を感じてしまう。

ケイコを演じる岸井ゆきのボクシングの練習シーンが素晴らしい。毎日の日課をノートに細かく、ぎっしりと記している。ボクシングの練習メニューなどの用語も知らなかったが、「ロード10キロ、ロープ2ラウンド、シャドウ3Rを行った」といった記述が続く。

ジム・ワークとしては、縄跳び、シャドウ、サンドバッグ、パンチングボール、ミット打ち、スパーリングなどがあるようだ。

鏡の前で、会長と並んでシャドウボクシングをするシーンや、グローブをつけ実戦スタイルで行うスパーリングでのスパーリングパートナーとの動きは華麗そのもので、まるでダンスを踊るようでもあった。

川本三郎氏が書いていたが、会長が紹介した新しいジムを断ったのは、女性オーナーが習いたてのにわか手話で話しかけてきたが、その行為が健常者が相手を下に見るような手話に偽善を感じたのではないかと書いているが、確かに映画はそのことを伝えているようにも感じた。

手話は、健常者に近づくためのものではなく、自分の言語として手話をするともあった。

岸井ゆきのは、撮影開始までにボクシングの基本動作をマスターして、ミットを構える相手とのパンチの応酬などの動きには自信があったとテレビで語っていたのを聞いたことがある。

この経験が生きるかという記者の質問には「同じものは二度と使えない」とどこかで語っていたが、次回は全く違う新たな領域に挑戦したいようだ。

・・・

<あらすじ>
嘘がつけず愛想笑いが苦手な小河ケイコ(岸井ゆきの)は、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねるケイコは、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。

母・喜代実(中島ひろ子)からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。

「一度、お休みしたいです」と書き留めたジムの会長(三浦友和)宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す――。そしてジムの会長もまた目の具合が悪く、視力を失いつつあった。

<キャスト>
■小河ケイコ(岸井ゆきの)…生まれつき聴覚障害がある。ハンディを克服するようにジムでトレーニングに励む。会長を慕っている。会長によると「子供のころいじめにあい、ケンカに勝ちたい」という動機からボクシングを始めたという。反抗精神が強く、孤高の狼のよう。昼はホテルの清掃、ベッドメイキングの仕事そしている。
■会長(三浦友和)…下町の古びたボクシングジムの会長。視力などに問題があり、体力の衰えもあることからジムの閉鎖を決断する。
■林誠(三浦誠己)…ジムのトレーナー。
■松本進太郎(松浦慎一郎)…ジムのトレーナー。
■小河聖司(佐藤緋美)…ケイコの弟。姉を心配するが拒絶される。
■小河喜代実(中島ひろ子)…ケイコの母。
■会長の妻(仙道敦子
■最新設備のあるジムの女性オーナー(渡辺真起子)…会長がジム閉鎖のためケイコをこの女性オーナーに紹介する。

<主な受賞>
■第36回高崎映画祭
・最優秀作品賞
・最優秀俳優賞(岸井ゆきの
■第77回毎日映画コンクール
・日本映画大賞
・女優主演賞(岸井ゆきの
・監督賞(三宅唱
・撮影賞(月永雄太)
・録音賞(川井崇満)
■第96回キネマ旬報ベスト・テン
・日本映画作品賞(ベスト・テン第1位)
・主演女優賞(岸井ゆきの
助演男優賞三浦友和
・読者選出日本映画監督賞(三宅唱
■第46回日本アカデミー賞
・最優秀主演女優賞(岸井ゆきの

 

(高崎映画祭関連、終わり)

 

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