第36回高崎映画祭の授賞式がきのう19日、群馬県高崎市の高崎芸術劇場で開かれたので参加した。この映画祭は、横浜映画祭と並んで、賞を受賞した俳優、監督たちのほとんどが参加するという日本でも数少ない映画祭として知られる。
ことしの最優秀作品賞は「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱監督)で、あわせて同作品で岸井ゆきのが最優秀主演俳優賞に輝いた。岸井ゆきのなど受賞者10人の全員が出席し喜びを語っていた。
(右から)岸井ゆきの、永山絢斗、三宅唱監督、杉田協士監督、嵐莉菜ほか
三宅唱監督は十年前に同映画祭新進監督グランプリを受賞した体験に触れ、当時は「映画祭や賞は何のためにあるのかと少し斜に構えていたが、来てみたらめちゃくちゃおもしろかった。皆さんが真剣で信頼感を持てたからだと思う。また新しいものをつくり、ここに来たい」と力を込めた。
初めて参加したときは、スニーカーでジーパンで出席したのが今から思うと気恥ずかしいと、今回はネクタイとスーツで参加したと会場を笑わせた。
最優秀監督賞に輝いたのは「春原(はるはら)さんのうた」の杉田協士監督。杉田監督は、2002年に短編ドキュメンタリーのスタッフとして同映画祭を訪れた際のエピソードを紹介。
「映画祭スタッフが本当に映画が好きなことが伝わってきた。いつか自分の作品で戻りたいと思っていた」と涙で声を詰まらせていた。
聴覚障害と向き合いながらリングに上がるプロボクサーを演じた岸井ゆきので「『ケイコ』は自分の人生で特別な体験だった」と振り返った。
「皆さんが本当に映画が好きで、ものづくりへの誠実さが伝わってきた。ここに立てて幸せです」と語り、とくに…
「(映画関係者やファンにとって)高崎映画祭は希望です」
というスピーチがあり、会場にいた観客の心をとらえた。
「LOVE LIFE」で最優秀助演俳優賞の永山絢斗は「役者を始めて16年ほどになり、芝居を楽しめない時期もあった。この作品に出合い、幸せをかみしめながら芝居ができた。役者を続けてきて良かった」と感慨を込めた。
最優秀新人俳優賞を「マイスモールランド」で受賞した嵐莉菜は長身で晴れやかなドレス姿でひときわ目立っていた。映画では「監督、共演者、スタッフの方々のサポートにより素晴らしい体験ができ感謝しています」と喜びを語った。
「第36回高崎映画祭 受賞者」は以下の通り。
■「最優秀作品賞」 :三宅唱 監督(「ケイコ 目を澄ませて」
■「最優秀監督賞」 :杉田脇士 監督(「春原さんのうた」)
■「最優秀主演俳優賞」:岸井ゆきの(「ケイコ 目を澄ませて」)
■「最優秀助演男優賞」:永山絢斗(「LOVE LIFE」)
■「最優秀新進俳優賞」:佐々木詩音(「裸足で鳴らしてみせろ」)
■「最優秀新進俳優賞」:諏訪珠理(「裸足で鳴らしてみせろ」)
■「最優秀新人俳優賞」:嵐莉菜(「マイスモールランド」)
■「最優秀新人俳優賞」:大沢一菜(「こちらあみ子」)
■「新進監督グランプリ」:工藤梨穂 監督(「裸足で鳴らしてみせろ」)
■「新進監督グランプリ」:森井勇佑 監督(「こちらあみ子」)
受賞者が全員ステージであいさつして記念のトロフィーや高崎だるまを受け取り、笑顔を見せた。
映画祭は今月31日まで、高崎芸術劇場やシネマテークたかさき、高崎電気館で開催されている。
(つづく)
■「にほんブログ村」にポチッと!。