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映画「クレイマー、クレイマー」(原題: Kramer vs. Kramer、1979)を見る(3回目)

クレイマー、クレイマー」(原題: Kramer vs. Kramer、1979)を見た(3回目:劇場、テレビ、Netflix)。

第52回アカデミー賞「作品賞」、第37回ゴールデングローブ賞 ドラマ部門「作品賞」受賞作品。公開当時アメリカで社会問題となっていた離婚親権裁判というテーマで全く古さを感じさせない、素晴らしい映画。

40年以上前の映画だが、主演を演じたダスティン・ホフマンメリル・ストリープは今もなお現役で活躍するレジェンド的な映画俳優であることにも驚かされる。

アカデミー賞では、作品賞のほか、主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、助演女優賞メリル・ストリープ)、監督賞・脚色賞(ロバート・ベントン)と5部門で受賞。子役のジャスティン・ヘンリーは、当時最年少(8歳)で、助演男優賞にノミネートされた。

ラストシーンは、ややどんでん返しの結末だが、観客にそのあとのシーンを想像させる見事なエンディングだった。

原題の意味は「クレイマー(原告)対クレイマー(被告)の裁判」の意で同じ名前の人が争っている裁判、つまり離婚裁判を題材にした物語ということ。

・・・

【ストーリー】

舞台はニューヨーク・マンハッタン。仕事熱心の会社員テッド・クレイマー(ダスティン・ホフマン)は、家事と育児を妻のジョアンナ・クレイマー(メリル・ストリープ)にすべて押しつけていた。

ジョアンナは何か自分が打ち込める仕事をしたいと夫に相談を持ちかけるが、それに対してテッドは、夫が順調にキャリアを重ねて収入が増え、家族の生活にまったく不自由がないのに、何が不満かと言ってとりあわない。

やがて、ジョアンナはテッドに別れを告げてきた。はじめは冗談だと思っていたテッドだったが、翌日会社から自宅に電話をかけても誰も出ないことから初めてことの重大さに気づく。テッドの生活はその日から一変した。

テッドは5歳の息子ビリー(ジャスティン・ヘンリー)と戸惑いながらも父子二人きりの生活を始める。息子の分まで朝食を作り、学校まで送った後、自らは急いでタクシーで会社へ向かう。

ビリーのために作ったフレンチトーストは、最初のうちは真っ黒にしてしまっていた。順調に進んでいた会社の仕事も家まで持ち帰る羽目になり、かまってもらえない寂しさからビリーはその仕事を邪魔するかのように振舞う。

そんな二人はまるで噛み合わず、とても父子とは思えないような有様だったが、次第に協力して一緒に生活することを自覚するようになり、時間とともに二人の絆は深まっていった・・・。

・・・

シングルファーザーとなったテッドの生活は一変。会社での昇進が決まりかけていたが、子供の送迎などもあり、会社側は、テッドの担当するクライアントの取引中止などから、テッドをクビにしてしまう。

そんな中、一人息子ビリーを引き取りたいと元妻から裁判を起こされるのだ。父親が無職では養育もできないということから、裁判で不利になると思い、収入の低い会社に強引に雇ってもらい恰好だけはつけるが、裁判では、そのあたりを相手弁護士から突っ込まれ、裁判は負けてしまう。

フレンチトーストの作り方も雑で、うまくいかない新米のシングルファーザーが、息子と生活するうちに、共に成長していくところがいい。最後には、フレンチトーストを作る手さばきも慣れたものになっていた。

子供を育てるための経済面も重要なテーマの一つということが裁判でもわかる。元妻は離婚後、仕事に就き、30,200ドル(年収)があるという(注:当時の換算レートは1ドル約300円なのでかなりいい)。

これを聞いた、テッドは、一瞬、驚く表情を見せた。一方、テッドは、元の会社では33,000ドルだったが、「今の会社では?」と相手弁護士に聞かれ、「およそ29,000ドル」ですと答える。「正確に!」と迫られると「28,200ドルです」と返答するテッド。

その他諸々を勘案して、テッド側は敗訴。弁護士に上告をというと、弁護士は、ビリーを証人にするというので、「それだけはだめだ」と言って席をけっていくのだった。

まさか、幼い息子を裁判に駆り出すことなど容認できるはずはないのだ。

テッドは、息子を説得。息子ビリーを演じたジャスティン・ヘンリーが、母のもとで暮らすと告げられた時に、悲しそうな表情で、ベッドはどうなる、おもちゃは・・?極めつけは「いやになったら帰ってきていい?」と聞いてくるところは泣かせる。

引き取りに来る元妻を待つテッドが聞いた言葉は「よく考えたけどビリーはここにとどまるのがいちばんいい」というものだった。エレベーターで元妻一人がビリーに会いに行くことになりエレベーターのドアが閉まるところでTHE END。

おそらくビリーには「ここでパパと一緒に暮らすのがいちばんいい」と話していたのだろうと想像する。

ビリーが父親にアイスクリームを買ってくるように頼んでいたが、食事がまずいと冷蔵庫からアイスクリームを取り出し、食べようとするビリーを制止するテッドのやり取りがほほえましい。子供にアイスクリームを食べるなと言ってもそれは無理な話(笑)。

食べ物(ましてはアイスクリーム)の恨みは怖い(笑)。

味わいのある映画だった。

 

ブログを始めたころ、「1970年代の映画」として100本紹介。そのうちの1本。

16年前の記事。

fpd.hatenablog.com

 

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