「美に魅せられて」（原題：Haseen Dillruba（英）Beautiful Beloved、Netflix、2021）を見る。インド（ボリウッド）映画。「ユージュアル・サスペクツ」風どんでん返しのラブロマンス・サスペンス。主人公の女性ラニが夫殺害容疑で捜査官の取り調べを受けるが、その女性の語りで、物語が進み、驚くべき展開が待っていたというお話。
ある映画Youtuberが「9月のNetflix 映画おすすめ3本」の1本に上げていたので見た。ラブストーリーと思いきや、後半一気にサスペンスが加わり、スプラッター（＝身体の一部の切断と血しぶきあり）的シーンもあり、覚悟も必要。
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リシュという男性が自宅でガス漏れ爆破に遭い死亡。現場には彼の左腕（リシュに間違いない刺青がある）が残されており、ラニが容疑者となり、捜査官ミスラが執拗な尋問を繰り返す。
ラニは6ヶ月前に夫リシュと見合い結婚をしたところから話しだす。
【ラニの回想】
ラニは都会育ちで、田舎ジュワラープルのリシュの実家での暮らしに不満を持っていた。生真面目で堅物のリシュの初夜における不満から、夫をバカにして実家に電話したことで仲が悪くなり、さらにリシュのいとこのニールが現れると、その社交性と筋肉隆々としたニールに惹かれてラニは関係を持ってしまう。
リシュはデールへ行き、妻に不貞を働いたニールにドライバーで襲いかかるが逆にボコボコにされてしまう。
リシュは階段に石鹸を置いて、ラニを転ばせたり、屋上から落とそうとしたりと恨みを見せるが、 ラニが不倫を改心したことで仲直り。しばらくは夫婦仲良く過ごしていた。
【現在】
捜査官ミスラの見立てでは、事件当日にニールが家に来ていたことで、 ラニがリシュを殺してニールと逃げるつもりだったと怪しむ。
付近の監視カメラから、裏口から川に逃げるニールの姿が映っている映像が発見された。
捜査官はラニを嘘発見器にかける。しかし、ラニはわざと釘を足で踏んで痛みで心拍数を上げて、発見器に引っかからないようにしていた。
釘に気づいて、とりのぞいた後も、 ラニは「夫を殺したのか？」という問いへの質問に反応しなかった。結局、証拠不十分で捜査は終了となった。
【5年後】
捜査官は、ラニが好きだったミステリー作家・パンディットの「カンソーリの怒り」という小説を読んでみた。すると、 ラニが何をしたのかがわかった。
【捜査官の推理】
事件当日、家にニールが訪ねてきて、夫リシュは彼に殴りかかる。
しかし、逆にボコボコにされたので、 ラニが冷凍庫の肉でニールを殴るとそれが致命傷で彼は死んでしまった。リシュはパンディットの小説にヒントを得て、ニールの左腕を切断した後、自分の腕も切断し、家の一角を爆破する用意をした。
リシュは自ら左腕を切り落として川に飛び込むと、爆発がおきニールの死体がバラバラになって吹き飛んだ。
リシュは川で力尽きて、そのまま沈んで死んだというのが、本の顛末。
ラニはその少し前に家を出ていて市場で、ニールを撲殺した凶器の冷凍肉を切ってもらい、野良犬に食わせた。捜査官はなぜ、そんな推測を考え付かなかったのかと、苦笑いをする。
しかし現実には、リシュは逃げ延びて生きていた。ラニはどこか他の土地で、左手のない夫リシュと暮らしていたのだった。
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タイトルの「美に魅せられて」は、いとこである男の妻の美貌に魅せられて関係を持った男の悲劇といった意味なのか平凡だ。冷凍肉の塊で頭を殴って死亡させ、その肉を、屋台のような店で、細かく切ってもらい、野良犬に食べさせるといった証拠隠滅の手口は面白い。
殺害した男の腕をスパッと切って、夫の刺青のある手も切り落として、差し替えるという狂気がおぞましい。手を切り落とした夫が、現場から逃げて川に飛び込んで逃げおおせるというのも現実離れしている。
愛人の登場で、夫との真実の愛を知るという結末だが、腕を切るまでとは、痛々しすぎる。完全犯罪が成功してうまくいったとしても・・・。
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