「tick, tick... BOOM!: チック、チック...ブーン!」(原題:Tick, Tick...Boom!、2021)を見る。ジョナサン・ラーソン同名ミュージカルを、これが監督デビューとなるリン=マニュエル・ミランダによる伝記ミュージカル映画。
第79回「ゴールデン・グローブ(GG)賞」の作品賞(コメディ&ミュージカル)にノミネートされた(受賞は「ウエスト・サイド・ストーリー」)。
名作ミュージカル「RENT/レント」を生み出した実在の作曲家ジョナサン・ラーソンが主人公で、主演は「ソーシャル・ネットワーク」「ハクソー・リッジ」などのアンドリュー・ガーフィールド。
共演は「X-MEN」シリーズ、「シャフト」のアレクサンドラ・シップ、ロビン・デ・ジェス、ジョシュア・ヘンリー、ジュディス・ライト、ヴァネッサ・ハジェンズなど。
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物語の主人公は、ブロードウェイの常識を覆すような新たなミュージカルを生み出そうとしている若き才能ジョナサン・ラーソン(アンドリュー・ガーフィールド)。
ダイナーでのアルバイトのかたわら、新作の試演会を前に創作に励んでいるジョナサンは、まもなく30歳の誕生日を控えていた。焦りを抱える彼の脳内では、時計の針が音を立てている。チクタク、チクタク、チクタク(英題タイトル)。
若者という季節が終わりを告げようとする頃、ジョナサンの幼馴染であり、ルームメイトのマイケル(ロビン・デ・ジェス)は俳優の夢を諦めて高給取りの広告マンに転身。
かたや、元ダンサーである恋人のスーザン(アレクサンドラ・シップ)は、ニューヨークを離れて自分の仕事を見つけようとしていた。スーザンの懸念は、恋人の夢をいつまで一緒に応援できるのかということだった。
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ハリウッド女優を夢見て、ウエイトレスをして、オーディションなどでチャンスを待つという映画(「ラ・ラ・ランド」など)は多いが、この映画は、舞台作家を目指して、アルバイトをする男がチャンスをつかむまでの話。
主人公のジョナサン・ラーソンは、30歳までに成功して安定した生活を送りたいと思っていたが、30歳の直前の試演会で好評を博したが、結果は「才能は認められるが次に作品を書けば舞台化される」というものだった。
そこに1本の電話があり「すばらしかった。ぜひ会って話がしたい」という舞台関係の大物からメッセージが残されていた。それが6年後に「RENT/レント」としてブロードウエイで公演されることにつながっていく。
また、恋人のスーザンが仕事を見つけてニューヨークを離れるといった時に、スーザンとしては「行かないで欲しい」と止めて欲しかったことが真意であったことも明かされ、ようやくラーソンは気づいて「行かないでくれ」と伝えることができたというハッピーエンドの結末だった。
ただ、「RENT/レント」がいよいよ1996年に舞台初日を迎えた当日に、ジョナサンは病気で亡くなり、初日舞台を見ることはなかった。
ミュージカルをただ映画化したものではなく、ジョナサンがこの世に遺したもの、そして彼が生きた時代を記憶し、語り継ごうとする作品ともいえる。
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