映画「ジャズマンズ・ブルース」（原題：A Jazzman's Blues、2022）を見る。
アメリカ南部を舞台にある男女の禁断の恋を描くヒューマンドラマ。お互いに愛し合いながらも袂を分かつ二人の、1930年代から40年にもおよぶ道のりを映し出す。
ライアン・ゴズリングの「きみに読む物語」と“白人になりきる黒人”を描いた「PASSING 白い黒人」(2021）をミックスしたような映画。Netflixも良作が多い（笑）。
ブルースマンの悲劇を描いたチャドウィック・ボーズマンの遺作「マ・レイニーのブラックボトム」というNetflix映画の佳作とも通じる映画。
監督などを手掛けるのは「タイラー・ペリー マデアのホームカミング」などのタイラー・ペリー。主人公のジョシュア・ブーン、ソレア・ファイファーのほか、アミラ・ヴァン、オースティン・スコット、ライアン・エッゴールド、ミローナ・ジャクソン、ブレント・アントネッロらが出演。
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1937年。ジョージア州サマービルに住んでいた17歳の青年・バユ（ジョシュア・ブーン）は、16歳の女性・リアン(ソレア・ファイファー）（母親に捨てられて祖父の家で暮らす)に恋をする。
バユがリアンにデートを申し込もうとすると、彼女の祖父がすごい剣幕で怒り、敷地から追い出された。
夜、家の中に紙飛行機が飛んできた。リアンが家の外にいる。バユとリアンはその日から毎夜、夜中から明け方まで密会を重ねた。
ある日バユの父でブルース・ギタリストのバスターは、母ハティと喧嘩して急にシカゴに行くと行って出奔してしまう。バユの兄でトランペット吹きのウィリーも父の後を追った。
リアンにはある秘密があった。バユはそれを知ったうえで愛の告白をする。しかし後日、リアンの母がやってきて彼女を連れ去ってしまった。
バユは母・ハティとホープウェルに引っ越してからもリアンに手紙を出していたが返信はない。それからしばらく経ち、2人は思いがけない形で再会を果たすが…。
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隠された秘密を抱えながら生きる人物にとっては、それが明るみにでた時の恐怖と戦いながら生きる苦しさがある。1930年代という時代では、現在とは比べられないほどの黒人への人種差別が強かったアメリカ。
リアンという女性は母とともに黒人でありながら、色白で、”白人として”暮らしていたが、リアン16歳、バユ17歳の若者が出会い恋に落ちる。16，7歳といえば日本では高校生で、子供っぽいがアメリカでは大人に見える（笑）。
リアンの母親は、リアンには金持ちの白人と結婚して、それまでのような経済的に厳しい暮らしを抜け出したいと思っている。黒人のバユには絶対に会わないよう厳命する。
しかし、リアンはバユに対する想いが募り、紙ヒコーキを作って、バユの部屋に投げ込み、逢瀬を重ねるのだが・・・。
そんな中、裕福な金持ちに見初められリアンは、泣く泣く結婚し、故郷をあとにする…という展開が悲恋のラブストーリーとして進む。
一方、バユには、父親から溺愛されている兄がいた。この兄と父親は、バユにつらく当たり、むしろ憎しみさえ覚えていた。なぜかなと思ったら、実はバユは、別の男の子供だった！（母親の不倫？）。
兄弟は性格もまったく異なり、確執がある。兄はトランペット奏者だが、仕事も少なくなり、麻薬漬けになって、気持ちもすさむ一方。父親は、ギタリストだが、新しい仕事をするため家を出てしまう。兄もその後を追う。
バユは、歌唱力があり、歌手として成功。兄も、楽器奏者としてステージに立つが、麻薬の影響で、錯乱状態になってしまい、興行主から首にされてしまう。兄は、バユが、故郷に凱旋して母親の店で一夜だけ歌うことを知ると、地元の警察に情報を流し、バユを捕らえさせてしまう。
この警察官も腐っていて、バユの母親から、店の売り上げの一部をかすめ取っていたほか、バユが母に仕送りしていたお金までも郵便物から抜き取っていたのだ。
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冒頭のシーンは、1987年、市長候補のジョナサンという人物がハティ・メイという黒人の老女に押しかけられ、40年前の殺人事件を調べてほしいという。ジョナサンは、保安官のところに行けというと、保安官そのものが腐っているというのだ。
老女から大量の手紙を渡される。気が進まなかったが、手紙の宛名がリアン・ハーパーとあり、これが、なんとジョナサンの母だったので、読み始めると…。
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当時、バス、レストランなどでは、黒人席は仕切られているなど、かなり重いシリアスなドラマだが、音楽シーンで、女性たちがラインダンスのように踊るシーンは、ミュージカルのワンシーンのようで見ごたえがある。
エンディングでは、白髪で、認知症を患っているように思われる顔にしわのある老婆が登場し、目の前にいるジョナサンから紙ヒコーキや手紙を渡される。涙ぐむ老婆。この人物こそ、リアンだった。
予告編（英語版）。
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