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映画「彷徨い」(さまよい、原題:The Strays、2023)を見る。

「彷徨い」(さまよい、原題:The Strays、2023)を見る。最近の映画の傾向で人種差別、多様性、LGBTなどが描かれることが多いが「彷徨(さまよ)い」は、黒人が黒人を差別するというのが根底にある。

監督はドラマ「コラテラル 真実の行方」で俳優としても活動するナサニエル・マーテロ・ホワイトで、これが監督脚本デビュー作。主人公のニーヴ役をドラマ「リベンジ」のアシュレイ・マデウィが演じる。

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映画は、登場人物ごとにチャプター(章)が分かれている。

イギリスの高級住宅街に住むニーヴ(アシュレイ・マデウィ)は、褐色系の肌の色をしているが、実は黒人で、白人のように振る舞い、私立学校の副校長として社会的な地位を得ていた。

二ーヴの夫のイアン(ジャスティン・サリンジャー)は、保険会社を営み、息子のセバスチャン(サミュエル・スモール)、娘のメアリー(マリア・アルメイダ)と郊外の豪邸に住み、何ひとつ不自由のない幸せな家庭を築いている。

          豪邸でベッドルームもゴージャス

ニーヴは職場の学校内で、清掃員の黒人青年マーヴィン(実は二―ヴの息子カール:ジョーデン・マイリー)と息子のセバスチャンが話している光景に異常に反応し、車を運転中にも、通りに黒人を見かけると精神が不安定になり、交通事故を起こしそうになる。過去の幻覚に怯えるようになったのだ。

ニーヴは近所の人たちを集めて貧困支援のチャリティ・パーティーを自宅で開催する。そこに黒人の兄妹カール(ジョーデン・マイリー)とディオン(ブッキー・バックレイ)が現れた。ニーヴは彼らを見て発狂したように叫び出す。

 

そして18年前の過去の秘密が明らかになるのだった…。
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完璧な人生を歩んできたと思われた主人公ニーヴは、実は18年前に2人の子供を捨てて逃げ出し、そのあとで新しい裕福な家庭を築いていたのだった。

  ラテン音楽に合わせて踊ることもあるが…

ニーヴがパーティを開くということを知った18年前に捨てられた子供たち、カールとディオンが、パーティ会場に乗り込んできたのだった。

  妻に二人の子供がいて突然やってきて驚くイアンと子供たち

サスペンスと謳っているが、サスペンス的な要素はなく、カールとディオンが母親への復讐のために、ニーヴの夫に自宅にあるジムの重量挙げ、最大級の重さを持ち上げることを強要したり、水道の蛇口をひねりっぱなしにして家族4人のスマホや家中を水浸しにしてしまう。

カールがメアリーに、ウーバーイーツに食料を運ばせるように命令。ウーバーイーツの配達があると、食料を受け取ったニーヴは、チップを渡そうと財布を取りに戻って、配達人に渡そうと外に出る。

二―ヴの戻りが遅いので、家の中に残った家族たちは玄関先まで向かい、入り口方向をポカーンと見つめるところで…エンディング。
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ラストには玄関口の映像や説明が何もない。
ニーヴは自分だけウーバーイーツの配達人と一緒に逃げてしまったというのを想像させるというシュールな終わり方だった。

ストーリー的には「ニーヴは自分も黒人でありながら黒人文化を遠ざけてきた事実から、またまた逃げ出した」ということになる。ニーヴの母親の選択は、またまた利己的な許されない選択となった。

自分が黒人であるというアイデンティティさえも否定し、現実から目をそむけたいということかもしれない。

同じように、黒人が白人として生きるという映画「PASSING 白い黒人」に通じる。ただストーリーの意外性、面白さなどの点では「ゲット・アウト」などを意識したのかわからないが、雲泥の差がある。「ゲット・アウト」「アス」「NOPE/ノープ」などのジョーダン・ピール監督と比べるのは、ジョーダンにもできないようだ。

 

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