「響-HIBIKI-」(2018)を見る。監督は「君の膵臓をたべたい」の月川翔。柳本光晴による人気漫画「響 〜小説家になる方法〜」を実写映画化。妥協を知らない15歳の天才女子高生小説家の天才ゆえの孤独と飛躍を描く。
響は、ウイスキーの名前ではなく主人公の名前。天才少女・鮎喰 響(あくい・ひびき)を演じるのは、映画初出演にして初主演となる「欅坂46」でセンターだった平手友梨奈。この映画でその年の新人賞を総なめにした。
ただ、この映画は評価が真っ二つのようだ。「面白い」「酷い」の二極化。あまりにも主人公の傍若無人ぶりに辟易というのもわかるが、それはそれで面白かった。
平手友梨奈といえば、今クールのドラマ「六本木クラス」の存在感で大注目の女優。アクションもできるようなので、将来に大きな期待がかかる。
響と対峙する小説家の山本春平役を小栗旬が演じるほか、出版社の編集者に北川景子、響と同じ高校文芸部に所属するアヤカ・ウィルソン、出版社の上司に高嶋政伸らが出演する。
タイトルだけは知っていた映画だが、平手友梨奈の映画デビュー作ということを知ってみた(Netflix)。「六本木クラス」で、圧倒する演技力を見せている”原点”の様な映画だ。
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【ストーリー】
スマートフォンやSNSなどの普及で活字離れが急速に進み、出版不況に喘ぐ文学界に天才新人作家がすい星のごとく現れる。彼女の名は響。まだ15歳という若さながら圧倒的な才能を持つ彼女の存在とその小説は、文学界どころか社会にも大きな影響を与えていく。
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響というキャラクターは、一言で言えば、”ヤバイ”性格。自分の信念は曲げない。妥協しない。怖いもの知らずで型破り。相手が、年上だろうが、ヤクザっぽい人物だろうがお構いなし。不条理な人間には、鉄槌というと聞こえがいいが、暴力をふるうのだ。
本棚の分類(右は傑作、左は愚作)
文芸部仲間のアヤカ・ウィルソンとほんの分類に関して衝突したときには、互いに譲らず、ついにはお互いにビンタの応酬が止まらない。二人とも作品を応募したが、響が史上初にして若干15歳という最年少で芥川賞と直木賞の同時受賞という前代未聞の快挙を成し遂げてしまう。
授賞式では、響の作品に関して「編集者が書き加えたりしたのでは?」(=編集者がゴーストライターではないか)というと、質問した雑誌記者に飛び蹴りをくらわすのだ(笑)。
文芸部に入部を希望した際に、自身に「殺すぞ」と凄んで胸ぐらを掴んで来た先輩の右手の小指をへし折ってしまう(響がいうには「殺すと言われたから殺されないようにしただけ」笑)。その先輩に屋上に呼び出されて口論となった時には「飛び降りてしまえばいい」と言われると、まさかまさかだが、後ろ向きになり、転落してしまうのだ(その顛末には触れない。笑)。
また「文壇はガキの遊び場じゃない」と暴言を吐いた同じく新人賞受賞者の田中康平(柳楽優弥)をスピーチの最中にパイプ椅子で殴打する。この殴りかかる映像が拡散されて、テレビでも放送されて警察沙汰になってしまう。
編集者の花井ふみ(北川景子)が、響に対して「才能があるのだから、暴力だけはやめて」と懇願される始末。
粋なエンディングだった。
響から電話を受けた花井ふみ(北川景子)が「新刊発行で100万部いきそうだ」というと、響は「いくらもらえるの」と聞く。「1,400円の1割だから、1億4,000万円かな」と答える花井ふみ。なーんだ、響もお金がもらえることを期待していたのかと一瞬思ったがそうではなかった(笑)。
響は、パトカーで輸送されているところだった。ある作家(小栗旬)が、電車の遮断機に手をかけて、自殺をしそうになったので、それを止めさせ、電車が走ってくるレールに響が立って、作家の自殺を、文字通り体を張って止めようとさせていたのだった。
この時の会話。相手が、かつての芥川作家と知って、響が言う。
「才能があったのは、5作目の芥川賞まで。その後の作品はデジャブ(既視感)しか感じない」。すると、作家は、新進の響と知って「世界を感動させるのはお前に任せるよ」「だったら、なぜ書き続けるのか」「惰性だよ。(世の中に)折り合いがついてしまった」。
その時、電車は、急ブレーキを踏んで、響の横すれすれで止まったが、危機一髪だった。そんなこんなで、響は、列車妨害の罪などに問われていたのだ。
パトカーの中にいる響は警官から「列車を止めた賠償金が、何千万か、場合によっては1億くらい損害賠償を払うことになるぞ」と諭されていた。
「お金なら大丈夫です」(笑)
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平手友梨奈を見る映画だった。平手 友梨奈(ひらて ゆりな、2001年〈平成13年〉6月25日 - )は、日本の女優、モデル、歌手、ダンサー。女性アイドルグループ・欅坂46の元メンバー。平手友梨奈の欅坂46の時代は知らないが、映画はこれまに3本出演。
【映画出演】
「響-HIBIKI-」(2018年9月14日、東宝)- 鮎喰響 役 ☆☆☆
「さんかく窓の外側は夜」(2021年1月22日、松竹)- ヒロイン・非浦英莉可役
「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」(2021年6月18日、松竹- ヒロイン・佐羽ヒナコ役☆☆☆
テレビドラマ「ドラゴン桜」第2シリーズ(2021年4月期、TBS)- 岩崎楓役もインパクトがあった。放送中の「六本木クラス」で大注目!
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「君の膵臓をたべたい」つながりの出演かわからないが小栗旬の役が、パッとしない(笑)。
北村有起哉、柳楽優弥などは、ワン・シーン登場くらいしか出ていないが、見せ場はあった。アヤカ・ウィルソンがお嬢様タイプでいつもニコニコ愛想よくしていると、北村有起哉に「いつもへらへらして」と突っ込まれる(笑)。
街角の大型スクリーンで、響の受賞ニュースと暴力シーンが映し出されて、これを見ていた若者グループが「とんでもないやつだな」などと話していると、「お前たち、本を読んでいるのか。本も読まずに決めつけるな。」と激を飛ばすのが柳楽優弥。
北村有起哉、柳楽優弥の二人は、響からともに暴力を受け、鼻に絆創膏を貼っていた二人だった(笑)。
嫌みな役をやると天下一品の野間口徹が、雑誌カメラマンの役だが、響に付きまとい、プライベート(彼氏はいるか、など)な質問で食い下がると、響がカメラを取り上げて、道路に投げ捨てるシーンがサイコー(笑)。トラックが通りかけ、キヤノンのカメラが粉々に。トラックから怖そうなお兄さんが出てきて、野間口徹に、何やってんだと怒鳴ると、たじたじに(笑)。
見どころ満載の映画だった。
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