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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「銀座化粧」(1951)を見る。”成瀬監督に進路を取れ!”② 田中絹代主演。

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銀座化粧」(1951)を見る。成瀬己喜男監督作品で、新東宝で撮ったわずか87分のモノクロ映画。ストーリーらしき起伏のある展開は全くなく、平凡な日常の人々を淡々と描いているということを理解しないと退屈を覚える。

当時の銀座の風景は、いまと違って、戦後わずか数年の頃で、華やかさには欠ける。ただ、子供たちが多く登場し、紙芝居に群がったり、草野球をしたりのびのびとした光景がみられる。

公開当時、田中絹代41歳、香川京子19歳、成瀬巳喜男監督45歳。香川京子は、デビュー3年目で6作品目。その後、成瀬監督作品の常連になった。

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舞台となるのは、銀座にあった「バー・べラミ」。昭和17、8年からこの場所にあった場末のバー。女給たちの間での客の飲み代の踏み倒し、女給たちの客への小さな嘘、バーの身売り話、借金の用立てをする話、客の下手な歌を延々と聴かせられる話など、細々としたありふれたエピソードがつづられる。

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(ストーリー)雪子(田中絹代)は、十数年の間、銀座のバー「ベラミ」で女給をしている。焼け残った新富町界隈の長唄の師匠・杵屋佐久の二階を借りて、昔の愛人・藤村(三島雅夫)との間の子供・春雄(西久保好汎)と暮らしている。

その藤村は、戦後落ちぶれて、相変わらず雪子に小使銭をせびりにくるありさまだった。

昔からの友人・静江(花井蘭子)は、葛西(小杉義男)という関西商人の世話になってのんきに暮らしているが、いつも雪子に旦那を持てとすすめるのだった。

雪子の勤め先の酒場のマダム幸子(津路清子)が、25万円の金策ができなければ店を手放さなければならないと相談をもちかけてきたとき、雪子はその金策のため、静江のすすめる男の世話になろうとしたが結局はそんなこともできない彼女だった。

静江が疎開していた時に知り合って、”心の恋人”と思っていた疎開先の村の資産家の息子・石川京助(堀雄二)が上京したとき、静江は夫が上京中であることから、東京の案内役を雪子にたのんだ。

村の観測所に勤める京助から、素朴な調子で星の話など語られると雪子はふと忘れていた少女時代を思い出して、ロマンチックな気持ちになり、この京助と結婚して田舎へ住むことを考えたりするのだった。

しかし、春雄が見えなくなったという知らせに、おどろいて家に帰り、歌舞伎座の芝居見物の案内は、妹分の京子(香川京子)にたのんだ。

幸い春雄は帰ってきた。

一方、京助と京子の若い青年男女は、ギリシャ神話の星座の話など、星空の話で盛り上がり、一晩のつき合いで意気投合し婚約をして、いずれ京助が京子を迎えに来ることを約束して帰って行ったのだった。雪子はふと抱いた仄かな希望を忘れて、また夕方になると相変わらず銀座へ通うのだった。

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「銀座化粧」は、2013年3月末に閉館した映画館・銀座シネパトスの最終上映作品でもあった。

 

主な登場人物:

津路雪子:田中絹代

津路春雄(子役):西久保好汎

佐山静江:花井蘭子

葛西英治郎:小杉義男

菅野平兵衛:東野英治郎

マダム幸子:津路清子

女給京子:香川京子

女給弓子:春山葉子

女給朱美:明美京子

女給かほる:落合富子

岡本龍治:岡龍三

石川京助:堀雄二

杵屋佐久:清川玉枝

杵屋清吉:柳永二郎

藤村安蔵:三島雅夫

ポイントの鉄:竹中弘正

白井権六:田中春男