「シークレット・ルーム」(原題:WAKEFIELD,2016、劇場未公開)を見る。別タイトル「アイ'ム ホーム 覗く男」(WOWOW)。現実から抜け出したいという弁護士が、妻子のもとから”蒸発”して、半年間も向かいの倉庫の屋根裏から、妻たちの様子を除き見るという話。Netflixとはいえ、未公開映画などを買い付ける中には、イマイチ作品もあるという例。「バルク(まとめ)買いのおまけ作品」か(笑)。
出演は「プライベート・ライアン」「アルゴ」などのブライアン・クランストン、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「JUNO/ジュノ」などのジェニファー・ガーナーほか。
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ハワード・ウェイクフィールド(ブライアン・クランストン)は、ニューヨークで働くやり手の弁護士。今日も、いつも通りグランドセントラル駅から自宅に向かう電車に乗った。ところ乗っていた電車が突然停電となってしまう。
疲れた体を引きずって、やっとのことで帰宅したハワードは、自宅の前にいた野生のアライグマを追い払ううちに、自宅の物置の屋根裏部屋に入り込んでしまう。
屋根裏部屋の窓からふと自宅を覗き込むと、妻・ダイアナ(ジェニファー・ガーナー)が電話をかけていた。以前、ハワードはダイアナが元交際相手のダーク・モリソン(ジェイソン・オマラ)と話していたことに嫉妬したことをきっかけに、喧嘩していたのだった。
電話に出ないハワードに痺れを切らしたダイアナは、ハワードの用意していた夕食をゴミ箱に。その様子をみたハワードは、帰宅せず、家族が寝静まった頃に家に帰ろうと考えた。
しかし、仕事の疲れもあり、椅子に座ると眠ってしまい、気がつくと朝になっていたのだった。「しまった。大変だ」と慌てたハワードだったが、今帰宅すると自分の浮気を疑われてしまうと考え、捨ててあった昨夜の夕食で飢えを凌ぎ、妻が仕事に出るまで待つことにする。
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誰しも、ときには現実から逃避したいと思うことはあるが、そんな時は映画館に行けばいいわけだが、このハワードは、どうせ自分がいなくなったって、大したことはないと、家の向かいの倉庫の二階で暮らすことにするという変わった考えの持ち主。
食料は、自分の家から妻が捨てた残飯をあさって、それを倉庫に持ち帰って食べるというホームレス状態。ひげはぼうぼう。たまに公園のベンチに腰掛けていると、子連れの母親が、こどもに1ドル紙幣をもたせて、男に与えると、母は「よくできた」と子供をほめる。
妻も、最初は、警察を呼んで、失踪手続きをしたが、その後は、何もなかったかのように、知り合いを招いてパーティを開いたり、日常生活は変わらない。たまに元の交際相手のダークがたずねてくるが・・・。
ハワードは、思案の末、散髪にいき、もとのように衣類も買い整え、迷った挙句、自宅のドアを開け、家族の前に姿を現す。「ただいま!」はたして家族の反応は?「THE END」。
「ただいま」と帰ってきたハワードに対する家族の反応を見たかった(笑)
現実にはありえないような展開だが、衝撃やドラマといったものがないのが残念。向かいの倉庫の屋根裏から望遠鏡で、自分の妻の行動を監視するというのは「裏窓」に似た、のぞき見で面白そうになるはずだが、淡々としていて、盛り上がらない。
主な登場人物:
■ハワード・ウェイクフィールド(ブライアン・クランストン)
企業相手の訴訟を専門にする弁護士。ちょっとした口論をきっかけに長年抱えていた夫婦のわだかまりが溢れ出し、屋根裏部屋で監視生活を送ることになる。
■ダイアナ・ウェイクフィールド(ジェニファー・ガーナー)
ハワードの妻で博物館に勤めている。以前はダークと付き合っていたが、ハワードがダークについた嘘をきっかけにハワードと結婚した。ハワードが失踪した後も、二人の娘の面倒を見ていたしっかり者。
■ダーク・モリソン(ジェイソン・オマラ)
ダイアナの以前の交際相手のビジネスマンで、ハワードとは友人だったが、彼のついた嘘をきっかけにダイアナと破局。現在では一流のビジネスマンとして雑誌に取り上げられるほど出世している。
■バープ(へヴァリー・ダンジェロ)
ダイアナの母で、ハワードの義母。夫はすでに他界しているものの、彼の遺産で悠々自適に生活している。ハワードと仲が悪い。