ケヴィン・コスナー主演の「ドラフト・デイ」(原題:Draft Day, 2014)を見た。
アメリカでは、野球よりも人気があるといわれるアメフト(アメリカン・フットボール)だが、映画タイトル通り、そのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のドラフトを描いた”スカッ”とする痛快な映画だった。
”出来すぎでは!”と思えるくらいの面白さ。
アメフト選手が本人役で多数出演しており、NFLの宣伝のような映画だという批判もあるようだが、アメフトに詳しくなくても楽しめるドラマが展開され、文句なく面白い。
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全米が注目する2014年NFLドラフト会議、開催当日。
ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージックホールの会場の外壁には「NFLドラフトへようこそ」の大きなバナーが飾られている。
ナレーションで、「32チームにより7巡の指名で224人の新人が選ばれ、運命が決まる。それがドラフト・デイ!として「DRAFT DAY」のタイトルが出る。
クリーブランドのブラウンズのGM、サニー・ウィーバー・Jr.(ケヴィン・コスナー)は、この日の朝、身が引き締まる思いで目を覚ました。今は亡き名監督たる父親の後を受け、ブラウンズのGMを務めているサニーは、過去2シーズンのふがいない成績に多大な責任を感じている。
来る3年目のシーズンにその汚名を返上し、チームをこよなく愛する地元ファンの期待に応えるためには、今夜のドラフトで何が何でも即戦力となる超大物ルーキーを獲得する必要があった。
ドラフトの12時間前。今年の全体1位、すなわちNFL全32チームのトップの指名権を持つシアトル・シーホークスのGMから思わぬ電話がサニーにかかってきた。
ドラフトの12時間前。今年の全体1位、すなわちNFL全32チームのトップの指名権を持つシアトル・シーホークスのGMから思わぬ電話がサニーにかかってきた。
ブラウンズが2年分の1巡指名権と再来年の3巡指名権を差し出せば、全体1位の指名権を譲り渡しても構わないというのだ。その上から目線のトレード話を「ふっかけてきやがって」と拒否するサニーだったが、内心は穏やかではない。
全体1位の指名権さえあれば、今年のドラフトの最大の目玉であるクォーターバック(QB)、ボー・キャラハンを獲得できる。ブラウンズにはドリューという優秀なクォーターバックがいるが、昨年は故障でシーズン後半を棒に振った。
そんなドリューの穴を埋めてあまりあるキャラハンは、チームの新たな要になりうる逸材で、華やかなスター性も抜群。目立ちたがり屋のオーナー、モリーナ(フランク・ランジェラ)からも、客を呼べるキャラハンを指名するよう露骨にプレッシャーをかけられたサニーは、ドラフト戦略の練り直しを迫られる。
オーナー(フランク・ランジェラ)の意向にも逆らったサニーの決断だったが・・・。
サニーのもとには、キャラハン以外の有力選手やその関係者からも売り込みの電話がかかってくる。オハイオ州立大学のボンテ・マック、フロリダ州立大学のレイ・ジェニングス。
サニーの胸の内にはある意中の選手がいたが、オーナーやファンの意向は無視できない。ドラフトの10時間前、シーホークスのGMに連絡を入れたサニーはトレードを受け入れる意向を伝えるが、こちらの苦しい事情を見透かした相手に条件を釣り上げられ、3年分の1巡指名権を失ってしまう。それは当面の補強に目が眩み、チームの未来を売り渡したも同然の無謀なトレードだった。
ブラウンズのコーチやスカウトが集結した作戦司令室に入ったサニーは、全体1位の指名権を得るために大きな代償を払ったことを打ち明け、新監督のペン(デニス・リアリー)の猛反発を買うことになった。
ブラウンズのコーチやスカウトが集結した作戦司令室に入ったサニーは、全体1位の指名権を得るために大きな代償を払ったことを打ち明け、新監督のペン(デニス・リアリー)の猛反発を買うことになった。
「決断は私が下す」と平静を装うサニーだったが、心の中はぐらぐらに揺れ動いていた。キャラハンは誰もが認める超一流の実力派だが、本当に彼は完全無欠のスーパールーキーなのか。おまけに、キャラハンを獲得すればお払い箱になるドリューがケガから完全復活を遂げ、絶好調をアピールしていることもサニーを動揺させた。
チーム強化のことで頭が一杯のサニーは、父親になる心の準備がまったく整わず、アリとの会話はどこかぎこちない。
ドラフトまで残り3時間を切った頃、アリのオフィスを訪ねたサニーは、チーム内で唯一心を許せる彼女に本音を打ち明ける。今季こそ自分が望むチームを作りたい、しかし心に迷いが生じてミスを犯しそうだと。
GMとしてのキャリア最大の正念場を迎え、珍しく弱気を覗かせるサニーの苦境を察したアリは、さりげなくも優しく彼を励ますのだった。
メディアや関係者が発するさまざまな情報や新たなトレード話が飛び交うさなか、サニーはスカウトからキャラハンの人間性に疑問を抱かされる重要な情報を耳にする。それは、キャラハンの21歳の誕生日に、チーム・メイトの誰一人として集まらなかったというのだ。サニーは、そのことをキャラハンに直接質すと、よく覚えていないとはぐらかした。
メディアや関係者が発するさまざまな情報や新たなトレード話が飛び交うさなか、サニーはスカウトからキャラハンの人間性に疑問を抱かされる重要な情報を耳にする。それは、キャラハンの21歳の誕生日に、チーム・メイトの誰一人として集まらなかったというのだ。サニーは、そのことをキャラハンに直接質すと、よく覚えていないとはぐらかした。
さらに折り合いの悪い母親バーブ(エレン・バースティン)と別れた妻アンジー(ロザンナ・アークエット)が突然オフィスに乗り込んできて、混乱に陥ったサニーをいっそう苛立たせていく。そしてブラウンズとシーホークスの大型トレードの実現によって沸き立つドラフト会議が、ついに開幕の瞬間を迎えた。
指名権が回ってきたチームは、与えられた10分間のうちにどの選手を指名するか正式に事務局へ伝えなくてはならない。
指名権が回ってきたチームは、与えられた10分間のうちにどの選手を指名するか正式に事務局へ伝えなくてはならない。
全米のアメフト・ファンが固唾をのんでテレビの生中継を見守り、刻一刻とタイムリミットが迫るなか、全体1位の指名権を握るサニーは執務室に独りでこもり、ぎりぎりの自問自答を繰り返していた。
大方の予想通り、キャラハンを獲るという最も現実的な選択に従うべきか、それとも理想のチームを作るために信念を貫くべきか。
やがて人生のすべてを懸けた”サニーの驚くべき決断”は、NFLドラフト史上希に見る大波乱を呼び起こすのだった・・・。
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ドラフトが始まると、報道キャスターが、「歴史はドラフトで作られる」と声高に告げる。大きな文字で「IT'S TIME」の文字がでて、コミッショナーが”2014 NFLドラフトのキックオフです”と宣言した。会場は熱気に包まれ、全体1位の指名権を持ったサニーが指名した人物とは・・・。
誰もが予想していた人物ではなかった!
クリーブランド・ブラウンズの誰もが耳を疑うものだった。「なぜだ?」だった。
これには、サミーが恋人アリから手渡された紙の切れ端に書いてあったメモが
モノを言った。そこには、このように走り書きされてあった。
”○○○・○○○だ。何があっても!”
アリは、アメフトにその人生のすべてを捧げてきた冷静な分析の持ち主だった。
・・・
全体1位の獲得権があるのに、最大の目玉選手であるボー・キャラハンを選ばなかったのは、ボー・キャラハンになにか欠点でもあるのか、という疑心暗鬼が、2番手、3番手の選択権のあるチームに波及していった。どのチームも選ばず、なんと全体6位の指名権を持つブラウンズにまできてボー・キャラハンはまだ残っていた。
ここにきて、ボー・キャラハンを獲得すると宣言したところ、シアトル・シーホークスから、またもや交渉の連絡がやってきた。”キャラハン”という絶対の切り札で、なんと、交換条件に、こちらから与えていた向こう3年の全体1位指名権の返還とパットナー選手をセットでなら交渉に応じると伝えたのだった。まさに今度は相手が、苦渋の選択を迫られる番となったのだ。この戦略は見事に的中。1つのチャンス(One pick chance)を3に換えたとして、オーナーや、チームの同僚は歓喜の渦に。
”だからこの仕事はたまらない”が作戦勝ちのサニーの言葉だった。
一方、サニーと仲違いの状態だった母親(エレン・バースティン)も、サニーの功績を理解したのだった。亡くなった前監督で夫のシニアも喜ぶだろうと・・・。母親にも、サニーの恋人が妊娠し、「おばあちゃんになるよ」と伝え、母親、サニー、アリの3人は固くハグするのだった。
スーパーボウル・ファンには、迫力あるスーパーボウルの試合などがるわけではなく、ストーリーも全て良しとなっているので、やや不満が残るかもしれないが、後味もよく、アリ役のジェニファー・ガーナーや、母親役のエレン・バーンスティン、サニーの元妻役のロザンナ・アークエットなど女優陣がよかった。
スクリーンの分割があるのはよく見かけるが、携帯で電話している者同士のシーンが頻繁に2分割で画面に現れたときに、相手の画面上の一部にまで人物が入り込む作りになっているところも面白い。
ドラフトといえば、日本のプロ野球のドラフト会議くらいしか知らなかったが、アメフトのドラフトが、これほど大規模であるのには驚いた。しかも、GM同士の指名候補の探り合いや、トレードを見込んでの取引(Deal)が、活発だというのも面白かった。
原 題: Draft Day
製作年: 2014年
製作国: アメリカ
デヴィッド・ラムゼイ
トム・ウェリング
予告編
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